部活動記録005〈実力紹介〉
教室に入ったら教室中の視線が集まった。
「おい、影。彼女ができたって本当か?」
「はぁ!?」
なんだかデジャブを感じる。
「噂は全学年にいきわたっているんだ。新しい部員と一日でできたって。」
「そのうわさどこから聞いたんだ?」
「詳しくは知らんがなんでも一年生の子が噂してたぞ。知り合いか?彼女ってやっぱりその子か?」
あー、ピンときたわ。
理由はわからんがあいつ《コロン》だな。
みんなから嫉妬や興味のオーラが刺さってくる。
そんな中教室の扉が開いた。
「あの~一年のコロンですが、偽騰影先輩っていますか?」
うわー。
来ちゃったよ。
なんで来ちゃうのさ。
「影だな。影なんだな!」
「あ、はい」
若干引き気味に答えた。
「影!彼女が来たぞー」
いやいや違うから。
瀬川もなぜ頬を赤くしてるんだ。
「どうした教室まで来て?」
瀬川はもじもじしだして、
「もぉ~先輩♪いつもみたいに『コロン』って呼んでくださいよ。」
周りがざわつきだし、男子は呪いのオーラを出しているみたいだ。
「ちょっと来い。」
教室に居づらくなって出たが、光と鉢合わせた。
「すまん光」
光を後にして教室から走ってフリースペースに向かった。
「影?」
震えるような声で光が言った。
フリースペースに着くと
「もう先輩ったら大胆なこと❤」
「勘違いを起こす言動は控えろ。あと、教室までなんだ?」
瀬川はコホンと咳とこんで髪をかき上げ言った。
「私の実力はわかりました?こんなこと簡単なんですよ。」
「それのために来たのか?」
髪をいじりながら寄ってきた
「うぅ、じゃあ他は?」
にこやかに笑って
「赤くなってかわいい。光先輩とはどんな関係かなって気になったもんで。」
そんなことのついでにやることじゃないだろ。
「光は俺の人生を導いた先導者だ。だからあいつの頼みはできる限りかなえてお礼をしているんだ。」
「ふーん。」
うらやましいな。
「瀬川なんか行ったか?」
「いえ。なんも言ってないですよ。」
瀬川は小走りで教室に向かい、途中で振り返って
「私のことも『コロン』って呼んでくださいよ」
不覚にもドキッとした。
「または『コロンちゃん』とか、好きな風に読んでください。」
最後の最後でこいつは。
「また後でなコロン」
「・・・・!はい」
コロンの顔には薄っすら涙と赤い頬があった。
「ほんと先輩ってひどい人です。」
♦
「やっと戻ったか色男。さっさと席に着け。」
クラス中の笑いものになった。
その放課後
「・・・っていう事があったのよ?青柳君はどう思う?」
「あはは・・・大変だったね。でも、それは影・・・・・」
俺は部室の会話を盗み聞ぎしている。
入ろうとしたら大きい声で光が怒鳴っていたからだ。
「僕は影の能力があるじゃない?」
「そうね。それがどうしたの?」
「光っちもそれがあったから今の関係があるんでしょ?」
「んん?うん。そうね。そうよ。」
「影は決して不幸だから能力をもらったんじゃないと思う。仲間を作る機会を与えるためのものなんだと思うよ。この学園にいるのも全て運命なんだよ。」
視界が潤んだ。
そんなこと言われたら、死ぬのがつらくなるだろ。
でも避けられない。
逃げたくても逃げれない。
これもまた運命なんだか。
そんなことを思い扉を開けた。
「あっ影!あの時なに話したの?」
怒りながら聞いてきた。
「コロンの悪ふざけを怒っただけだ。」
お茶を飲みながら言った。
「そうなんだ。」
ほっとしているように見えた。
「おっ邪魔しまーす。コロンとうつり到着でーす。」
「・・・依頼者。」
後ろの女の子が会釈をした。
「はじめまして。五月雨暦です。」
「わかりました。とりあえずこちらにどうぞ。」
「それで依頼内容は?」
「好きな男子がいるんです。」
「まとも!これこそ恋愛相談!」
とっても嬉しそうな光。
「その男の子はどんな人?」
「それが・・・・私の元カレで、今の彼女から奪いたいんです!」
「「「ええ~~」」」
結局こうなる。
なんでこうなる。




