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ダスト  作者: るりはる
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 部活動記録004〈宣戦布告〉

 今日は部室に宮野先生がいる。

 その理由は部活の存続にかかわってくる大切な日だ。

 宮野の先生が入ってきたら続々と部員が集まってきた。

 光と充はなぜ呼ばれたか知らない。

「影、なんで今日呼ばれたの?それに宮野先生までいるし。なんかあるの?」

 その問いに宮野先生が答えた。

「今後の方針と新体制についての議論がある。そこで向こうの流れに乗ったらきっと色んな課題が出てくる。生徒会に反発する覚悟を決めていくよ。」

 僕はそのつもりだが、光たちはどういってくれるかと思っていたら、

「影君がそうするっていう顔をしてたらそうするしかないですよ。この部活のリーダーは影君ですもの。」

 光に続いて充も頷いた。

 意思疎通ができたときに扉が開いた。

 この学校の校風を決めることも、生徒の自由も左右できる絶対王政生徒会長の國木田先輩をはじめた生徒会。通称【氷結島】のメンバーが集まった。

「どうも皆さん。生徒会会長の國木田です。今日はわざわざ時間を作ってくれてありがとうございます。」

「いえいえ、わざわざ来ていただきありがとうございます。ほかの皆さんもごゆっくりしてくださいね。」

 あとの生徒会のメンバーは副会長の轟メイサ、書記の桜岡紗季、そして新人の二人合わせた計五名だ。

「初めまして!轟メイサです。メイサ、メイッチ、メイサ様等々好きに読んでね❤」

「書記の桜岡。仲良くお願い」

「・・・書記補佐の鹿島うつり・・・よろ・・しく」

「秘書の瀬川コロンです❤」

 なんだかうちと同じ感じだな。生徒会も大変そう。

「とりあえずこちらにどうぞ、お茶をお出ししますから。」

 もともとあったソファーと椅子でちょうどだった。

「ここの部長の偽騰影です。」

「お初にお目にかかります。西木戸光です。」

「青柳です。」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・ふぅ」

 ため息をついてしまった。

 向こう側の流れに乗ってしまったら一巻の終わり、細心の注意を払いながら進んでいかなければ。

 本題に入るはずだが、なぜか牽制し合っている。

 お茶をすすった会長が話を切り出した。

「さて、自己紹介が一通り終わったので、本題に入りますか。」

 沈黙から緊張に変わった。

「前にも話した通りで、今後のこの部活の方針の会議と、今回に依頼についてだ。」

「はい、今回の報告ですが、」

 その時、宮野先生が口をはさんだ。

「偽騰、先に方針の方だ。」

「・・・・わかりました。先生がおっしゃるのなら構いませんよ。」

 珍しく先生がマジ切れ直前だ。

 怒ったら収拾がつかなくなってしまう。

 光よりめんどくさいことになる。

「じゃあ行くか、君たちの提示した条件はそちらが用意した人員をこの部活に温かくお向かいしてお手てつないで仲良くやっていってくれというやつですよね?」

「言い方がイマイチ違うようですが、大方合ってます。」

「こういう事だみんな。どうだ?」

「ごめんね、影君。耐えられないや。」

 そう言ってシュシュをとり、スイッチを入れた。

「ちょっといいです、生徒会会長國木田先輩」

「ん?どうしたのかな西木戸君。」

 本気で怒ってる。

「あなたの提案にはもちろんそれなりの理由があってのことだよね?」

「光、せめて敬語を・・・・な?」

 睨まれてしまった。

「自分も文句がないわけではないですよ。ここの部長は自分です。説得をしてください。」

 國木田先輩は不審な笑みを浮かべ、僕らを見渡し、

「わかりました。では、説明します。僕たちの裏の名前が氷結島なのは皆さんご存知ですよね?」

「まぁ、ここまで広まってますし。」

「その名前は僕たちのうつり君が広めてくれたんだ。」

 意味が分からない。

 やることに対するメリットがわからない。

「それをして何になる?第一瀬川コロン?君は僕たちでさえ初めて聞いた名前だ。そんなことができるわけ、」

「私なら可能です。」

 力強く言い放った。

「偽騰先輩ならわかるはずです。同じ環境に立っているあなたなら。」

「!まさか君もか。」

 驚愕した。

 してしまった。

 こんなに近くに同じ境遇に立っている人間がいると思ってなかった。

「そうです。【ダスト】です。私のは印象伝達。名を【ルート】私の思ったこと、言ったことが瞬く間に広まっていく。範囲の操作まではできないですが、効果は保証できます。」

 この能力は恐ろしい。

 味方についたらいいが・・・・

「そちらの鹿島君もそうなのか?」

「・・・はい。・・僕のは・・・意思交換・・通称【チェンジ】・・・・名前の通りてん・・相手の気持ちをもう一人と変える能力」

 この学校には何かあるのか?

 いくらなんでも都合がよすぎだ。

 こんなに集まってしまったらこの学園は破滅の道を歩んでしまうかも。

「ここまで都合がいいのは会長の差し金ですか?」

「たまたまだろう。こんなことはさすがにできないよ。」

 そう言いながらも裏があるように思える。

「話を戻そうか。氷結島にしたのはこの生徒会がどれほど恐ろしく、全面対決したらどんな裁きを受けるか、それを教えるためなんだ。だが、本当に対決してくる馬鹿な部活はないからこの方法しかなかったんだ。それをわかってほしい。学園を支配するためにはどんな汚名をもかぶる覚悟をした。目標のためだ。」

 その目にもオーラにも恐怖や虚言のようなものは見えない。

 きっとこの男に任せたら学園生活は必ずいいものになるが、代償として色んな積み上げたものがなくなってしまう気がしまう。

「そこまでの覚悟があったんですか。わかりませんでした。」

 なんだこの衝動は?

 怖くなった。

 恐ろしくなった。

「だから最初にこの部活の事情を知って、僕たちの仲間になって僕の計画に近づくためにも、僕たちの提案を聞いてほしいんだ。どうだい?」

 このままではだめだ。

 この男に学園を渡してはいけない。

 どうすればいいんだ?

 いや、わかっているはずだ。

「やったらどうなのよ、影」

「えっ?」

「やったらいいじゃないのって言ってるのよ。」

「わかるのか?」

「長い付き合いなんだよ?その暗い顔でわかる。ずっと影についていくし、手を差し伸べるし、何でもする。私だけでなくメンバー全員だから、思いっきり言ってやりなさい!」

 今がどっちなのかわからない。

 お嬢様か、ギャルなのか。

 でもどっちでもいい、みんなの顔を見回した。

 自分にもこんな時があったかもしれない。

 昔のことなんて思い出したくないと思っていた。

 けどやっぱり覚えているものなんだな。

 忘れていてことを一つ思い出した。

 幼いころ仲良くしてくれた女の子に言われた一言を・・・

 『みんなを引っ張るには強く言わなきゃだめだと思うよ?だってわからないから。』

 この言葉に今は反論をしよう。

 伝わるんだ。一緒にいた長さじゃなく、思い合った長さで考えは伝わるんだ。

「会長!自分はこの学園が好きです。あなたの思い通りの学園にしたくない!あなたの提案は受けますが、あなたの考えはつぶしに行きます。氷結島の噂を蹴散らしてやりますよ。勝負です生徒会!」

「つまり、生徒会長の座をとりに来ると。」

「・・・はい。」

 こんなに熱くなったことは初めてだ。

「わかりました。なら返り討ちにします。ですが、今回はこちらの提案を受け入れてください。」

「はい。部員ですね。誰ですか?」

「こちらの二人です。」

 瀬川君と鹿島君が前に来た。

「「私たちです。」」

 なぜか照れながら言った。

「という事なんでお願いします。」

 混乱した。

「期間はとりあえず2か月後、延長なら本人たちと一緒に来てね」

「会長そろそろ・・」

「わかった。ではお暇させてもらうね。報告は紙に書いて会長席においてくれ。」

「わかりました。本日はありがとうございました。」

「うん。最後に一つ。」

「はい?」

 人差し指を上げ、

「頂に立つ厳しさと優越さ、孤独さを味わっておくれ。」


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