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ダスト  作者: るりはる
14/24

部活動記録014《傲慢》

まずはこの度、北海道胆振東部地震により亡くなられた方々にご冥福をお祈り申し上げます。

大小さまざまな被害を受けた北海道の方々にこの小説を読んでいただけていれば光栄です。

こんな状況だからこそ、楽しい小説を書いていきます。

さて、今回の14話の見どころを紹介させていただきます。

ポイントは三つ。

・密室に閉じ込められたわけ

・【紅の乱舞】の真相

・偽騰の心の動き

この三つです。

この話は偽騰の心の変化が今までのないくらい進歩がある話となっています!

さて、14話をご堪能あれ!!

                     『傲慢』

 おごり高ぶって人を見下すこと。また、そのさま。また、人に愛されなくなってしまう行為。

 七つの大罪の一つとして数えられる。省庁の動物は孔雀、グリフォン、蝙蝠(コウモリ)。対応悪魔はルシファー。魔王サタンの堕落前のことを指しており、ラテン語で『光をもたらすもの』という意味がある。ets.

 こんなことを考えていた。

  というよりか、それ以外考えることがなかった。

 あたりを見渡すとモニターが一つとスマホがあった。

 突然、スマホに着信が来た。

 着信音が「アンパ●マンマーチ」なのが引っかかる。

「おっはよー偽騰影君。今は朝の七時だよ。よく眠れたかな?」

 電話の相手は神谷だった。

「・・・・姉さんはどこだ?」

「ずいぶん不機嫌だね。ちゃんと生きてるし危害を加えないから」

 陽気な様で言い終わるとモニターに四分割された映像が表示された。

 そこには里中、コロン、うつり、そして大きく『5』が映りだされていた。

「この文字は何を表してるんだ!」

「それは今見つかってる『ダスト』の数だよ。」

「先輩・・・?」

 画面からコロンの声がする。

「コロン!大丈夫か!?」

 必死に画面に向かって叫び続けた。

 画面の奥でコロンが涙ながら叫び続けてるが、まるでこちらの声が聞こえてないようだった。

「ダメだよ偽騰影君。マイクもなしに会話しようなんて何考えてるのさ」

 弄ばれているようだった。

「ほかに二人はまだ寝てるんだから静かににしないと、ね?」

 今、僕たちはこの男の手のひらの上にいるようだった。

「コロンと話をさせてくれ」

「そんなの許さないよ。みんな(・・・)で話そうよ。」

 だが、ほかの二人は一向に起きる気配がしなかった。

 動く(・・)気配すらしなかった。

 【フレア】は画面越しでは発動されない。

 どんな感情なのか、どころか生きているかも確認できない状況だった。

「二人は生きてるんだろうな!」

「僕は人殺しなんてしたくないから安心してよ」

「『紅の乱舞』を起こした張本人が何を言っている!ふざけるのもたいがいにしろ!神谷!」

 聞いた神谷は疑問符を浮かべていた。

「はて、それ内一体何のことだい?身に覚えがないのだが」

 人生で一番怒った瞬間だった。 

「いい加減にしろ!今から十年前、ある街をお前は一晩にして火の街にしただろ!」

「それが『紅の乱舞』なのかな?」

「あぁ、そうだ」

 この会話に何か矛盾というか、かみ合ってないことがある。

 何か引っかかるような感じではあったが、よくわからなかった。

「あ、そうか。そういうことか。ごめんね偽騰影君。そうだそうだ、『紅の乱舞』ね。たしかにあれはすごかったでしょ」

「あれで何人の人がなくなったと思っている!」

「ざっと千人くらい?」

 さっきからとぼけるような言い方をしたり、何にも感じてないようだ。

「五万人だ!その中には」

「「俺の両親もいた」」

 神谷が重ねてきた。

「もともとはそのつもりだったから知ってるよ。まぁ、子供がいることは知らなかったけどね」

 自分のオーラが、『憎しみ』のオーラが自分を包んでいった。

 視界が赤紫色に染まっていき、何にも考えられなくなってきた。

「きぃーさぁーまぁー!」

 思わずモニターの置いてある机をたたいた。

 気が晴れることがなく、何度も何度もたたいた。

 手から血が出てきて、机を真っ赤に染めていったが痛みよりも憎しみが勝ってしまっている。

「先輩落ち着いて!」

 そんな中コロンの声で動きが止まった。

「ん?どうしたんだい?ってマイク切るの忘れてたよ」

「・・・・コロン・・」

 涙とともに痛みが込み上げてきた。

「聞こえてる?私に方には何にも聞こえてないからとりあえず話します。」

 コロンの表情は少し寂しそうになった。

「これはあなたを好きになるまでの話です。」

 聞こえる声を一字一句聞き逃さないように息を殺した。

「私の両親は、」

 話そうとした瞬間、マイクが切れた。

「感動の流れだったけど、そんなことさせないよ?それじゃあここに連れてきた意味がなくなっちゃうからさ。怒んないでね?」

 さっき流れた涙とは全く違う涙が流れた。

「ここに連れてきた意味は、君たちの能力を貰うこと、ただ一つだけ。」

 言っている意味が分からなかった。

 能力を貰う?つまり、俺から【フレア】を奪うってことになる。

「君たちが使っている【ダスト】っていう能力はとても危険で、とても素晴らしい宝物なんだ。それにはちゃんと意味がある。君たちが持ってても意味がないことなんだ。」

 これ(フレア)は俺にとって一体何なのか。

 一体なんの役に立ったのか、色々考えた。

 ハートドロップに訪れる人はみんな変人ばっかりだし、【フレア】があるからいろんな人に迷惑をかけた。

 命は狙われるし、嫌なものも見てきた。正直言って人生のお荷物だ。

 そのはずなのに今は失いたくない。

 そう考えているうちに頭の中に現れたのは

『光』

 ただ一人だけがふと出てきた。

 ハートドロップがあるのも、自殺してないのも、すべて光がいてくれたからだった。

 あの笑顔、あの泣き顔、あの幸せそうな顔、あの怒り顔、あの嫉妬顔、あの髪型、あの・・・

 あいつのすべてを守りたい。あいつの環境を守りたい。あいつを守りたい・・・

「そんなことさせない。俺の生きる希望をあげやしない!」

 初めての感情だった。

 温かく、熱く、厚い。

 重く、愛おしく、それでいて大きい。

 どんな感情よりも強い感情。

 あぁ、これが『恋』。

 これが『愛』。

 初めて想い、初めて考えた感情。

 僕が持っていなかった感情だった。

「僕に愛情を誰も教えてくれなかった。なのに光はそれを教えてくれた。」

「だから西木戸光を守ると?」

「あぁそうだ!」

 単純だと思われもいい。

 そのくらいの恩がある。

 そのくらい、好きなんだ。

「やっとその感情を得たのか。おめでとう」

 その瞬間、部屋の隅に扉が現れた。

「もう出ていいよ。ほかの人も感情を得たわけだから。」

 扉を開けるとビルの中だった。

 他の部屋からコロンやうつり、里中も出てきた。

「せんぱぁ~~い!!」

 走って胸に飛びついてきた。

 そこには涙があった。

「今日は・・・許してあげて・・・」

 言いながら袖を少しつかんだ。

 その手は小刻みに震えていた。

「迷惑をかけたな。ごめん」

「先輩が生きているならいいです。」

 ここまでしてきたということは最終局面になってきたってことだ。

「見ていろ神谷ぁ!」

 空が雲に包まれている中、一人の“光”が闇に奪われていた。


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