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お米にまつわるいろんなこと

作者: 真澄

 私が初めてSF小説でお米の話を読んだのは、新井素子さんの『チグリスとユーフラテス』(1998年 集英社)です。このお話は、ほかの惑星に移住した人類の話です。この中で移住する惑星までの数年間、稲作をしながら旅をするんです。宇宙船の中で稲作をするその理由が、日本人はお米がないと生きていけないから。稲作もやって、日本酒まで作っちゃうんです。手元に本がないので確かめようもないのですが、違っていたらごめんなさい。

 これを読んだとき、衝撃でした。それまで宇宙食といえば、チューブみたいなものを吸っているイメージしかなかったからです。今なら、いろいろ突っ込みたいところはあるのですが、その当時は驚きの方が勝ってしまって、細かいところに気が回らなかったのです。

 気になったので、無重力でも植物が育つのか調べてみましたら、今でもサラダ菜くらいのものなら可能だそうです。そこに書かれていたのは、麦や米は栽培に手がかかり、食用にする時にも手がかかるので宇宙での食用に栽培するのは不向きと書かれていました。惑星移住ができるくらいの時代ですから、宇宙船内での稲作も問題ないのかもしれません。

 

 なろうの作品に接するようになってからの稲作といえば、やっぱり異世界転生ものです。異世界に転生した主人公が、稲作を行うというお話。ファンタジーだし、異世界だし、何があっても不思議ではありませんが、そんなにお米に執着するのかな?というのが実感です。前世の記憶があるとはいえ、その世界で生まれ育っているのですよねぇ。稲作が自分でできるようになるまでの数年間は、その世界のものを食べて育っているのですから、転生しても味覚を引き継ぐのか疑問もあります。でもやっぱり日本人は、お米なんですかねぇ。


 コメ問題といえば、平成の米騒動でしょうか。記憶もあやふやなので、当時のことを調べてみました。平成5年のことだそうです。20年以上も前のことがつい最近のことのように感じるって、年寄りの証拠ですねぇ。

 この年の3年前に、フィリピンのピナツボ火山が噴火。その影響によって3年後に日本が冷夏に見舞われたことにより、大凶作になりました。どのくらいお米ができなかったかというと、作物には作況指数というものがあります。平年並みを100として出来が良いと100以上、出来が悪いと100以下になります。この年稲作の全国平均は74だったそうです。東北のでは50を下回るところも出ました。あいまいな記憶で、在所の作況指数は80くらいだっと思います。余剰米があれば出荷してほしいと、農協から要請が来ていたように記憶しています。

 その後の、世間の騒動が印象に残っています。お米の売り出しに並ぶ人の列。それまで10キロ単位で販売されていたお米が、小単位で売り出されたりもしました。電気屋さんでお米を特売商品にして、話題にもなりました。そんな騒動を見ながら、政府は、緊急にタイ米を輸入しました。ところが、日本で作られているお米は、ジャポニカ米。タイ米はインディカ米で、ジャポニカ米と同じように食べることが出来なかったようです。公園にタイ米が投棄されていたことが報道されることもありました。

 そんな騒動をテレビで見ながら、

「お米がないなら、うどんでもパンでもパスタでも代わりに食べるものはあるでしょうに」

「大体、せっかくほかの国が譲ってくれたお米を公園に捨てるのは何事か」

と、母が怒っていたことを覚えています。

 次の年には、平成の渇水と言われるほどの水不足になったのですが、幸いなことに全国的にはコメの作は回復して、米騒動は終息しました。ですが顔見知りの方が離農しました。その方の水田は、山の上にあり稲作に必要な水が確保できなかったとか。冷夏に水不足と2年連続の不作で、稲作を続けていくことに疲れてしまったようです。

 

 ですが、我が家の周りではいまだに稲作を続けている家が多数あります。水田は放っておけば、雑草がものすごい勢いで茂ります。それでは周りの田畑に迷惑がかかります。それを防ごうと思えば、一ヶ月毎に草を刈るか水を張って除草剤を使うしかありません。結果的には、稲作をしているのと同じだけの労力がかかります。それならば、苗を買ってでも、人に頼んでも、稲作を続けることを選ぶ人がいるということです。

 どのくらい前のことか定かではなのですが、ローカルニュースで報道されたことです。県の農業試験場で今後の温暖に対応するために、稲の品種改良を始めたとか云々。今まで『日照りに不作なし』と言われてれていたそうです。ですが、酷暑日や熱帯夜が何日も続くようなことになると、稲も高温障害が出ます。詳しいことは省きますが、収量が減り美味しくないお米になってしまうとか。ですから各地の気候に合ったお米が、開発されています。小売りの時には、高温対策米とは表示されません。美味しい新しい品種ができました、宣伝されているようです。


 新米の季節がやってきますが、お米は好きですか。?

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― 新着の感想 ―
[一言] 『チグリスとユーフラテス』懐かしいです。個人的には、日本人ならあり得るかも……と思った次第。 米は他の穀物と比べると生産効率が無茶苦茶いいのですよね。現代のデータ(農水省作況調査2015)…
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