女騎士
体よく国王よりお目付け役を押し付けられることになった。
でも、それでよかったのかもしれない、あそこでああいったものの俺にはまだ人を殺せる自信などない。
なので今は城に与えられた勇者用の個室で自分の能力を検証していた。
試しに部屋にあったペンらしきものを折ってみようとした。
ステータスを異常な数値にしたので赤子をひねるかの如く、まるでプリッツを折るのかの如く折れるのかと思いきや、全く折れなかった。
力を込めてやっと折ることができた、それも前の世界の感覚でいうと少し折りやすくなった程度であった。
あれだけ時間をかけたにもかかわらず、少し涙が出てくる。
考えるに、表示上の値を変更していただけで内部の値を変更できていなかったのかもしれない。
ホント、泣けてくる。
ただし、スキルに関しては習得しているはずである。
現に王女様と国王の心の声を聴き、洗脳魔法を反射している。
今も周りの様子を探ろうとするとまるで某ダンジョンゲームのように目の前に青いマップが表れてて周りの人が青い光点、そして幾人かが赤い光点で表示されている。
赤い光点はおそらく俺を利用として召喚した国王の一派であろう、城の一室に集まっている、きっと今後の作戦会議でもしているのであろう。
今度は俺の部屋に近づく黄色と2つの青の光点が見え、それが部屋の前に来ると、コンコン、とノックの音とともに、
「勇者様、シルフィアです。少しお時間よろしいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
そういうと扉が開けられた、そこにはシルフィアとメイドさんと見知らぬ女騎士がいた。
「勇者様、ご紹介いたします。今回勇者様の武技の指南役として任命された、エルカ・ユーリカです」
姫からそう紹介されると、女騎士は前に一歩出る。
「国王様より指導の役を賜ったエルカ・ユーリカです。勇者殿が一刻も早く魔王を倒せるようにご助力します」
マップを表示させたが黄色の光点はこの女騎士であった、そしてここの炉の声を聴くと、
”勇者と聞いたが雰囲気がない、国王様に見張るように言われたが…、私がビシバシしごいて導かねば”
どうやらスパイらしい、本人には明確な敵対意思がないので注意人物ということなのだろう。
「エルカは私の幼馴染でとても真面目で優秀で騎士団の中でもトップクラスなのできっと勇者様のお役に立つはずです」
王女様はまるで自分のことかのように嬉しそうに語った。
そしてそういわれた女騎士も誇らしげにしているが顔はやや照れ気味に頬が赤く染まっていた、それをごまかすように、
「そ、そうだ、訓練は明日からなのだが本日は勇者殿の強さを確認したい、姫様はステータスの確認の方法をお教えしましたか?」
「申し訳ありません、すっかり忘れていましたわ、勇者様、’メニューオープン’と念じてください、すると目の前に’ステータス’と’スキル’という項目が表れます。確認したい方を念じてください」
言われるがまま’メニューオープン’と念じると、
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・ステータス
・スキル
・アイテム
・パーティ
・マップ
・オプション
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明らかに説明以上に多くの物が表示された。
スキルによる恩恵だと思われるが検証したいが置いといて、まずステータスを確認する。
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Level.1
HP 16777215
MP 16777215
STR 16777215
DEX 16777215
VIT 16777215
INT 16777215
AGI 16777215
MND 16777215
LUK 16777215
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そこに表示された数字は確かにチートで弄った数値であった。
ここでも見た目だけ変わって中身が変わっていないのであろう、マジで泣けてくる。
俺の称号はきっと虚構の英雄とかだろう、そんな中二病な称号は嫌だ。
このステータスは絶対に他人には隠さねばならない、と思うと同時にステータス画面が更新された。
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~ステータス偽装中~
Level.1
HP 100
MP 20
STR 10
DEX 10
VIT 10
INT 10
AGI 10
MND 10
LUK 10
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ステータスは仕事をしていないがスキルはきっちり仕事をしてくれる。
これを見られても幻滅されることは間違いない、ただ過度に期待されあれこれ押し付けられるよりはましである。
今度はスキルも確認してみる、
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・鑑定 LV.MAX
・剣術 LV.MAX
・槍術 LV.MAX
・弓術 LV.MAX
・杖術 LV.MAX
・格闘術 LV.MAX
・錬金術 LV.MAX
・魔術(火) LV.MAX
・魔術(水) LV.MAX
・魔術(土) LV.MAX
・魔術(木) LV.MAX
・魔術(光) LV.MAX
・魔術(闇) LV.MAX
・魔術(無) LV.MAX
・
・
・
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これだけでも十分チートである、これも人に見られてもいいように偽装を念じた。
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~スキルリスト偽装中~
なし
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俺の称号が決まった、ポンコツ勇者、まずいまずい偽装しすぎだろ、もうちょっとでろ~、もうちょっとでろ~、と念じると、
”チッ!!”
頭の中で舌打ちが響くと同時に、
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・鑑定 LV.1
・剣術 LV.1
・魔法反射 LV.1
・力加減 LV.1
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舌打ちの主の詮索は後回しにして俺を期待のまなざしで見つめる王女様に結果を伝える。
「申し訳ありません、ステータスは平均がわかりませんがあまりよろしくなさそうです。スキルは鑑定、剣術、魔法反射、力加減でした」
そういわれ少し落ち込んだようであったが、
「そうですか、念のためにステータスを確認したいので、ステータスを開いた状態で開示と念じてください、スキルも同様に見せることができます」
言われるがまま偽装されたステータスを王女様に見せると、さらにやや諦め気味つつ残念さを隠せない笑顔で、
「そうですね、数値的には平民より少し上といった感じでしょうか、訓練した兵士といった感じです。ただ勇者様はみな成長が早く、伸びしろが長かったと聞き及んでおります。落ち込まずエルカと訓練されて力を延ばしましょう」
俺のステータスを見た女騎士も唸っていたが覚悟を決めたかのように、
「明日からとかぬるいことを言ってる場合ではないな、この程度、私にも到底及ばない、今から訓練だ、さ、行くぞ」
そういわれて俺は首根っこをつかまれる、その様を王女様は面白そうに口に手を当て笑っていた。
絶対俺がひどい目にあわされるところを想像して笑ってやがる、いつか同じ目に合わせてやると俺は心に誓いつつずるずる引きずられた。
登場スキル
マップ
トル○コ風な青地に赤:敵、青:本人・味方、黄色:味方かつ注意人物
未攻略ダ○ジョンもオートマッピング、アイテム、トラップ全網羅
メニュー拡張
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隠蔽
ステータス、スキルを隠蔽します
2016/02/28
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