妖精
出発初日で王宮の部屋に逆戻りしてしまった。
ゴブリン大発生の確認、現状の調査が今行われているらしい。
その結果いかんでは、俺がメインとなって討伐隊が編成されるそうだ。
俺がほとんど吹き飛ばしたから何も残ってないのに調査してる連中はご苦労なことだ。
と、それよりも”神の声”に感謝をささげねばならない。
「神様、どうもありがとうございました」
深々と土下座をしてまだ見ぬ神にお礼を言う。
”私は神ではありませんがあなたの感謝の気持ちは受け取っておきましょう”
また唐突に脳内に声が響いた。
誰かの魔法かと思い、周囲の確認とマップを開いてみたが妖しい人物はいなかった。
”いきなりのことで困惑されていると思いますが私はスキル”助言”です”
スキルリストを表示させて急いでスクロールしてそのスキルを探すと、
====================================
・
・
・
・千里眼 LV.MAX
・読心 LV.MAX
・助言 LV.MAX
・マッピング LV.MAX
・罠無効化 LV.MAX
・
・
・
====================================
サポート系のスキルの中にあった。
ていうかそのちょっと上にある千里眼が気になるな。
”スキル’千里眼’は遠くのものを見渡す能力です。あなたの場合はレベルが最大なのでこの星のほぼすべての物を見渡すことができるでしょう”
って俺が考えたことが読まれてる。
”私は本来はレベルアップ通知などの各種通知機能や簡単な質問への解答が能力です、いうなれば’鑑定’の亜流なのですが、あなたの場合は通常あり得ない”助言 LV.MAX”なので私は人格を得てある程度ものを考え
、発言することができます”
チートしたからこそ起きた状況っぽい、とりあえずは便利そうなので助かる。
”そうですね、あなたがチートをしたので私は発現しましたし、あのゴブリンの大量発生は起きました”
どうやらこいつは俺が召喚時にチートをやらかしたことを知っているらしい、いつから俺を見ていたのか気…
「あのゴブリンが俺の性!!」
”助言”の言葉につい、部屋で大声を出してしまう。
”そうです、あなたがチート行為を行ったため、世界の因果律は狂わされ、良くない方、良くない方へ物事は当分転がって行くでしょう”
「当分ということはいつかは落ち着くのか?」
俺の性ということで若干申し訳なさを感じるも、当分という言葉に救いを感じた。
”因果律とは水面のようなものです。人々の行動によって小石が投げ込まれ、絶えず揺らいでいます。その中であなたは岩石を放り込んでしまったのです。でもその波もいつかは収まります”
とりあえず時がたてばいいのかもしれない、何か起きても力づくで対処して、対応しきらなくてもこいつにアドバイスしてもらえばいい。
”そうですね、あなたがこの間の時以上に私に頭を下げ、媚びへつらうのであればお助けしましょう”
思い返してみれば最初の発言が、”しょうがないですね、ほっておいたほうが面白いのですが、”だ。
さらに思い返す、スキルを偽装したときに、”チッ!!”と誰かが言っていた気がする。
「おまえか〜〜〜!!」
どうやらこいつは俺に対してあまり協力的ではない。
というか俺のスキルのくせに、俺に媚を売れだのどうだのと、生意気なのも甚だしい。
超便利スキル’洗脳魔法’を使おうにも相手は俺の中、イライラが募って地団太を踏む。
”私をどうにかしようだなんて無駄ですよ、それと、’洗脳魔法’なんてスキルはありません。あるのは’魔術(闇)’の洗脳魔法です。間違えてやがんのプ〜〜クスクスス”
俺の頭の中で俺をバカにするこいつの声が響き渡ってイライラする。
的確に間違いを指摘して訂正してくれるのもありがたいんだがむかつく。
本当にどうしてくれたものか。
とりあえず、何か使えそうなスキルがないかとスキルリストを漁る。
多分、こいつに体を作ってそれにこいつの人格を移せばいいはず、
”そんなことできるわけないじゃないですか、全く諦めてくださいよ”
俺を笑っているようにも聞こえるがさっきとは違い言葉に焦りを感じた。
どうやら俺の考えは間違っていないようだ。
体はゴーレムかホムンクルス、もしくは森に戻ってゴブリンを…
”やめて~~~、ゴブリンはいや~~~、作るならかわいらしいフェアリーがいい、そっちなら手伝うから、後生だからゴブリンだけは~~~”
こいつも俺の心が読めるだけに俺の本気度合いが伝わったようで、素直に体のつくり方と、意識の移し方を教えてきた。
といっても単純だった、俺はスキル’魔力操作’で魔力をボール状に固めて魔力球を作り、あとはこいつが意識をその魔力球に自分で移ればどうにかなるらしい。
ということで’魔力操作 LV.MAX’を使って魔力球を作り出す。
初めての魔力操作であったが、スキルのおかげで難なく作り出すことができた。
俺の頭から何かが抜け出すような感触がしたと思ったら、突然魔力球がきらめいた。
突然の光に目がやられて、徐々に視野が戻ってくるとそこには羽虫がいた。
「羽虫言うな!!私だ、スキル’助言’様だ」
そう言いない胸を精いっぱい張る。
「はい、はい、わかった、さて、アド子、わかっているだろうな」
手を怪しくくねらせながらアド子に近づく、
「アド子って私の名前ですか?ってやめてください、その手」
背中についてる羽は伊達ではないようで飛んで逃げようとするが、まだ慣れてないようで飛んだり落ちたりを繰り返している。
「そ、アドバイスするから、アド子、さあ、おとなしく捕まるがいい」
部屋中をバタバタと駆け回りやっと捕まえた時に唐突にドアが開け放たれた。
「何だ、この魔力は!今度は、な、に、を?」
そこに立っていたのはエルカとその奥に隠れるようにシルが立っていた。
そして、裸のフェアリーを力づくで組み敷いている俺、
「ちょっと、待て、誤解だこれは」
でも、自分でもはたから見たらどう見ても異常性愛者だ。
そんな俺を見た彼女たちは顔を真っ赤にして、エルカが殴りかかってきた。
「不潔だ~~~~」
その後、彼女たちの誤解を解くのに小一時間かかった。
そしてアド子を森で拾ったフェアリーだと紹介して新たな修行のメンバーとして加えることになった。
ブックマークしていただいてる方に感謝
展開遅くてごめんなさい




