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2 馬の嘶き

読んでくださってありがとうございます。読んでくれる人、いるかなぁ?と思っていたので嬉しかったです。

 馬の声というものを聞いたことがあるだろうか。


 ヒヒヒーン!!


 確かにそれも声なのだが、基本馬は人間のように喋るわけではない。犬や猫とも違う。


「おはよう、いい天気だね」

「ヒヒヒーン!」

「走りに行こうか」

「ヒヒーン!」


 そんなことはあり得ない。多分。私の知る限り、そんな馬はいない・・・・・・。


 例えば、私がいつも乗る仔だとこうだ。


「おはよう、いい天気だね」


 ガッコン! ガッコン!

 

 飼い葉桶が揺れている。勿論風で、とかではない。口でくわえて音を鳴らして、何かくれと催促しているのだ。


 はっきりいってうるさい。


「もお! 静かにしてよ。運動しようね~」


 ガーリガーリ・・・・・・。


 前脚で地面を掻いている。これもニンジン頂戴の合図だ。


 うん、知っているよ。これは駄目な例だね。なんだか目から汗が出てきたよ。


 自分の鞍の準備とかをしていると、なつっこい仔がブブブッ! と鼻を鳴らす。これはいい例だ。自分が可愛いことを熟知しているといってもいい。


 さっきの仔の行動を言葉であらわせば『おはよう、さっさとニンジンくれ』だけど、この仔だと『おはよう、いい天気だね。ニンジン持ってる? 欲しいな』ってニュアンスがある。


 結局ニンジンの催促かと思ったかもしれないが、まぁ、そういうものですよ。たまに私のことニンジンと間違えてない? とか思ったりもしますが、どの仔も可愛いものです。


 話がそれました。


 じゃあ、ヒヒヒーンは言わないの?


 いえ、言いますよ。何度も聞いたことがあります。


 馬に乗っていると突然どこからともなく、ヒヒヒーン! と聞こえました。それを聞いた乗っていた仔がヒヒヒーン! と応えました。


 突然乗っている馬が嘶いたので、私はとても驚きました。それくらい乗っていて嘶くことはないです。お腹の横隔膜でしょうか震える感じがしました。遠くにいても届くようになっているのでしょうね。

 スタッフがいうには、新しい馬が入ってきたらしいです。仲間がいるか確かめるために嘶くのです。


『誰かいないの? 寂しいよ!』


 という声に、私の乗っていた馬が応えて、


『ここにいるよ!』


 と嘶いたそうです。


 でもこんな風に応えることも乗馬クラブの馬は群れになっていないので、珍しいと思います。馬が馬に応えたのを聞いたのは、それっきりです。もしかすると五歳くらいの仔だったので育った場所が一緒で覚えていたのかな~? なんて思ったりもしますが。


 後は、乗っていた馬が運動直後に疝痛を(お腹痛)起こした時も、曳き運動をするのですが(お腹痛は、馬の死因にもなります。まずは歩かせて様子を見るんです)、歩きながら「ヒヒヒーン!」と嘶き、正直な話凄く怖かったです。普段、疝痛になる仔でもないし、嘶いたのも初めて聞いたので。


 あとで厩務(お医者さんとは違うのですが、怪我を見てくれたり、病気の仔をお世話してくれたり縁の下の力持ちさんです)の人がいうには、余程痛かったか、普段慣れてない痛みに驚いていて『助けてー!』って言ってたんでしょうねということでした。


 馬が嘶くということは、乗馬クラブではあまりありませんが、馬ばっかりの群れで暮らしていたら、また違うかもしれませんね。


 嘶くとは違いますが、「ギャン!」と怒ったり? 「ギャオス!」と威嚇したりするのもあります。牝馬ひんばは、いわゆる女の子の日に近いものがありまして。発情的なものらしいのですが、触ると、そんな声を出して、『触らないで!』と怒ったり、近寄ってきて柵に押しつぶしてくることもあります。何度か潰されかけました。


 感情は基本、耳とか脚で表現するので、嘶くというのは余程のことなんだなと思います。


 競馬場とかなら、不安になったり、知っている馬を探したりで、結構嘶いたりするのかなと思いますが、あまり乗馬クラブで馬の声は聞きません。 飼いの時間になると、ブブブッコールがあちこちから起こりますが声というより鼻を鳴らすって感じです。うるさいくらいです。



 だから、たまに毅然と馬に乗った人が「行くぞ! ○○!」と言って馬を促し、立ち上がってヒヒヒーン! と嘶くシーンを見たりすると笑ってしまいます。


 そんな怖い馬乗りたくねぇ・・・・・・と思ってしまうわけです。

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