表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ららばい  作者: kikuna
1/8

①出会い

この作品は、ルルドの風の原点になった話です。

ショートショートの一分で読み切れてしまう内容のものだったのですが、手を加えて、少しだけ長くして見ました。

ポツリポツリ呟くような物語です。

良かったら読んでみてください。

 「あの」

 震える声でそう言われた俺は、下から突き上げるようにそいつを睨む。

 エプロンをぎゅっと握り、足をぶるぶるふるわせたコンビニ店員だった。

 タバコを吹かし、俺はいたぶるようにそいつを見上げ、

 「何じゃこら」

 どすを利かせた声。誰も寄せ付けないように身に付けた、俺なりの防衛策だった。

 「そこでタバコを吸われると、他のお客様にご迷惑です。お止め下さい」

 「何だこりゃ。何ならこの店、燃やしたろうか」

 どうしようもない俺は、さらに凄みを入れる。

 大概の奴はこれで怯む。

 遠巻きで見ている奴らは、汚いものでも見るように俺を見ていた。

 店長らしき人物が、

 「江夏さん、危険だからそのくらいで」

 か細い声で止めを入れる。

 いつだって俺は黴菌扱い。だったら徹底的に黴菌、勤めさせて貰おうじゃないか。親の金をむしり取り、弱そうな奴らから金を巻き上げる。気が済むまでバイクを飛ばし、気に入らない奴はぶっ飛ばす。

 次の瞬間、俺はぽかーんとその店員を見上げていた。

 銜えていたタバコを取り上げ、足で揉み消していた。

 「何をするんじゃい」

 「タバコなんてやめた方が良いですよ。体に百害あって一利なしです。それよりこれあげます」

 その店員はエプロンのポケットから飴玉を出し、俺に差し出した。

 ふざけやがって。

 殴ってやろうかと見上げた俺を、その店員は微笑んで言ったんだ。

 「美味しいですよ。食べてみてください」

 いまだに足を震わせているくせして、包み紙を開き、「はい」なんて笑いやがって。

 その内サイレンが聞こえて来て、遠くにいた店長が急に大きな態度に変わる。

 「まったく、何時間かかっているんだ」

 なかなか手を出さない俺の口に飴玉を放り込んだその店員は、早く逃げてと叫んだ。

 「江夏君、何を言っているんだ」

 そんな咎める声を背に、俺はバイクのエンジンを入れ、その場を走り去った。

 いちごミルクの味が口いっぱいに広がり、俺は泣きそうになっていた。

 何なんだ。

 理解不能の笑顔。

 女を知らないわけではない。

 欲望のまま、いろんな女を相手にしてきたけど、こんな感情は初めてだ。

 どうにかなってしまった気がする。

 それが倫子みちことの出会いだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ