甘美なる傷
ある日湊が、階段落ちしてやるよ!と言い出した。
「でもやっぱり怖いから、尊背中を押してくれ!」
みことも軽いノリで
「任せろ」
とか言っている。
階段の上から尊が湊を突き飛ばす、それほど強い力ではなかったが、湊は派手に階段を転がって行った。
みことが走り出す。
「おい!大丈夫か」
僕は医務室に走った、湊は医務室から救急車に運ばれて行った。
ぴぴぴぴ。
快楽指数十五
お見舞いに行った僕たちは、湊のあまりの満身創痍ぶりに驚いた。
両足骨折、頭部打撲。
湊は快楽指数十五まで行ったぜ!と喜んでいる。
正直みんな思っていた。
湊が転げ落ちた瞬間、頭の中がぞくりとするほど気持ちがよかったことを。
それから、湊が復帰するまではみんな大人しかった、少なくともみんなの前では。
そして湊が復活した日、松葉杖をついた彼に、みんなが勇者を称えるような目を向けていた。
その日の講義終わり、人の少ない場所で僕たちは集まった。
車のライトが通る度に、尊が笑う。
「次、あれなら行ける」
心臓がばくばくしていた。
怖いはずなのにみんなの視線が、僕の装置に集まっているのが、既に気持ちいい。
「今だ、行け!」
ぴぴぴぴ。
薄れる意識の中で装置を見つめる。
快楽指数二十九。
みんなも気持ちよさに満たされた顔をしている。
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