好き好きアピールする義妹と気付かない義兄 ~ただし効果はバツグンであるものとする~
「義兄さん、あーん」
「あー」
年の瀬のリビングで義妹の舞依と一緒に炬燵でぬくぬくしてたらその舞依がみかんを剥いてこちらに渡してきたので口を開いてそれに応える。
大丈夫?
これ恋人の距離感じゃない?
俺達はただの義兄妹で一度としてそんな関係になったことはない。
出会って1年未満でこの距離感は多少おかしいかもしれないがよくよく考えたら同じ家で過ごす関係上必然的に近くなってもおかしくはない、よな。きっと。
今この距離感なのは俺と舞依がともに歩み寄った結果であって、お互いそれなりに尊重し合えたことの証明でもある。
年末年始で新婚旅行にいった両親も、俺達の仲が良かったからこそ二人だけで行ったんだろう。
親戚集まりに俺達だけ行くって選択肢もあったんだけど行く行かないを決める時に舞依と家でのんびりすることを選んだ訳だ。
「まったりした年末も良いですねぇ」
「そもそも年末ってまったりするもんだからな」
「大掃除もすぐ終わりましたし」
「住み始めて1年経ってないからな。あと二人だったし簡単にしかやってないのもある」
今年の4月に新しい家族がスタートし、8か月経ったことになるけど上手くやれてる方だと思う。
初めは年頃の異性同士ということでギクシャクもあったけど今じゃ笑い話だ。
「まぁまったりできて良かったよ。一年振り返ると割と激動だったし」
「義兄さんが義兄さんでホント良かったです」
「俺も舞依が舞依で良かったよ」
親の再婚というビッグイベントがあり、二つ下の普通に可愛い女の子が義理とはいえ妹になった。
少しウェーブがかった長い髪も、炬燵と暖房で上気した頬も、ご機嫌なことが伝わる口元も、全部が全部魅力的な女の子だ。
赤色のどてら姿でもそれは変わらない。
……待ってそれ俺のどてらじゃん。わざわざ返してなんて野暮なことは言わないし別に良いけどさぁ。
落ち着いた雰囲気と澄んだ声で正直に言うと義兄としてより男として舞依を見てることが度々ある。
こっちの気も知らないで今みたいなことする舞依の距離感が近すぎるんだよ。
顔や身体つきにあどけなさが残るけど話していると年下とは思えないほどしっかりしてる。精神年齢は女の子が早熟って話は多分本当だ。
「えへへ。嬉しいこと言ってくれる義兄さんにはもう1つ追加あげちゃいます」
舞依の手が一房のみかんを口元に運んできたのでもう一度口を開く。
舌の上にのっけられたそれを噛んで果汁で口の中を満たす。甘い。
「愛媛? 和歌山?」
「第三勢力の静岡です」
ひょいとみかんのネットに入っていた紙を見せてくれた。
みかんってその2県以外でも作ってたんだな。
いや、別に当たり前の話なんだけどほら、言われるまで当たり前を認識できないってあるじゃん。
「静岡かー。なんだろ、別に影薄い訳じゃないけどいまいちぱっと浮かばない」
「静岡より浜松とか三保、熱海って言った方がむしろイメージつきやすいかもですね」
「あー。餃子とかウナギ、松原、温泉ね」
結構いっぱいあった。
静岡の人ごめんなさい。
「あとは九州も強いですよ。英語で薩摩オレンジなんて言われるくらいですからね」
舞依はそう言ってごみ箱をちらりと横目で確認し、手を伸ばして届く距離でもなかったのでみかんの外皮を丁寧に畳んでちょこんと天板の隅に置いた。ウェットティッシュで指先を綺麗にして皮は後で捨てるんだろう。
炬燵から出ていきたくない気持ちには共感しかない。
どんなに賢くても人は炬燵に勝てないことが分かる一幕だ。
ちなみに俺だとポイって投げて2割くらいの確率で炬燵から出なきゃいけなくなる。いや、1割、もっと小さいんじゃないかな。失敗した時の印象が強いだけできっとそんなにミスってないって。
「舞依はどっか言ってみたい場所ある?」
「んー。義兄さん海と山ならどっちにします?」
「じゃあ海?」
「シンプルに釣りとかどうですか? 船乗ってちょっと沖に出る奴です。どっちがたくさん釣れるか勝負しましょう」
ナチュラルに俺と行く想定なのは何故だ。
懐いてくれているのは嬉しいけど義兄妹ってこんなに距離近いものなんだろうか。
周りに聞いても妹とは半絶縁状態って奴か義妹とか攻略対象だろって奴だけだった。対極すぎる。
その二択なら攻略対象になっちゃうじゃん。
普通よりは仲良いって感じの関係において参考になる奴がいない。
まぁ別に最近二人で出かけることも増えてきてるし一緒に行くのはそんなに変ではないかな。
「良いけど二人とも坊主かもよ」
「船出す人はプロなんですからその辺は信じましょう」
思ったよりノリ気になってしまった舞依と一緒に海釣りの計画を詰めていく。
途中親に連絡して晩御飯の確保を条件に軍資金まで手に入れ本格的なものになった。
炬燵に入りながらスマホでちょちょいと操作するだけであれよあれよと予定が完全に決まった。
冬休み中は流石に予約でいっぱいだったので2月の都合が良い日を予約。
俺も舞依も釣りに関して道具も知識もないから手ぶらプランの完全おまかせコースだ。
「義兄さんとお出掛け、お互いの趣味が絡まないのは初めてですね」
「そういやそっか。結構一緒にいると思ってたけど」
義兄さん、趣味の押し付け合いをしませんか?
俺と舞依の関係はこの一言から始まったと言って良い。
学校だとメジャーなもの以外は趣味を語る相手がいない。ちょっと王道からそれただけでもう自分の周りに同じ趣味を持つ人がいないなんて状況がざらにある。
現代のエンターテイメントは細分化され過ぎていて個人個人が最適なものを選んでいくと必然その趣味を持っているのが自分一人になるという訳だ。いうなれば全員が少数派。
もちろん話を合わせるために多数派の趣味を触る程度はするけどそのぶん本来の趣味を表には出せなくなる。多様化とはよく言ったものだ。
自分で選んだこととはいえ趣味を語る相手がいないのは少し寂しい。
そこで俺と舞依はお互いに自分の趣味を布教しあって利用する契約を結んだ。
乱暴にいえば俺がやったんだからそっちもやれよという押し付け。
これによって休日にお互いを連れ出す、または連れ出されるのはもう俺と舞依の日常になっている。
とはいえ、だ
「微妙に時間あいたらカラオケで潰したりとか帰りに喫茶店寄ったりとかならよくやってるし新鮮さはあんまりないなぁ」
「えー、全然違いますよ」
俺の隣でにこにこ笑いながらこっちを見てくる。可愛い。
何がそんなに嬉しいんだか、って感じだが嬉しそうな舞依を見てるとこっちまで楽しい気がしてくる。こういうのも一種の才能だよな。話している相手を楽しませる、それを自然にやるんだから敵わない。
「だってデートですよ、デート」
「義兄妹で? 言ってて空しくならない?」
舞依個人に不満はないけど俺と舞依の関係性はどこまで行っても義兄と義妹だ。
そりゃあ俺だって女の子とデートとか憧れるよ。
小学生の時は中学生になったら自然と彼女ができると思ってたし、中学生の時は高校生になったら自然と彼女ができると思ってた。
過去形な時点でお察しだが、結果として俺の人生に恋人がいた瞬間は1秒として存在しない。
高校1年の大晦日現在、大学生や社会人になったら自然と彼女ができるなんて幻想はもう抱けそうにない。
恋愛って相当積極的な人だけが楽しめるもので俺みたいに受け身でなんとかなるようなものじゃなかった。
「義兄さん。よく考えてください」
「おう?」
「ホントの恋愛だったら面倒じゃないですか」
「えぇぇ……」
真剣な声で何を言い出すかと思えば、モテない男子の負け惜しみみたいなことを言い出した。
いや、言ってる意味は分かるけどさ。
ある程度外野から美味しい部分だけを味わうのが一番楽しい気がする。
内野になったことない人間の戯言に過ぎないけど。舞依がいなかったら女っ気ゼロの人間が何言ってんだって感じだ。
「義兄さんくらい素敵な人が義兄さんくらい私に付き合ってくれて義兄さんくらい私に愛情注いでくれるなら別ですけどね」
「舞依って俺に何か弱みでも握られてる?」
「弱みって。上手いこと言いますね、義兄さん」
「え、待って本当に弱み握られてんの!?」
「えへへ。内緒です」
なんで義妹の知らない弱みを知らない内に握ってるんだろ。
笑顔で誤魔化そうとする舞依を追求する気になれずモヤモヤする。楽しそうな雰囲気と発言が合ってなくない?
「ひょっとしていやいや俺の相手してる?」
「日頃の行ない振り返ってみたらどうですか?」
ふむ。
今朝は舞依に起こされて、そのまま舞依が作ったハムエッグとトーストを食べて、レベル上げに付き合わされたので一緒にゲーム。
その後ちょっとだけ不干渉の時間があり、お昼はピザ焼いて食べたっけ。昨日二人で一緒に買い物行った時に好きなの一枚づつ買った奴。年末年始でスーパーも開いてたり開いてなかったりだからそのときに今日と明日の分の食材は確保済み。
で、午後はリビングで一緒に冬休みの宿題。自分の部屋だと遊んでしまうからとお互い監視する形で進めた。
そこから朝やったゲームの年末特番配信を二人で見て、俺がメインでやってるのも年末特番配信あったから続いてそれ見て、なんやかんや感想を言い合ってから交代でお風呂。
それから晩御飯の準備だ。
年越し蕎麦を二人で作ったんだよな。海老とサツマイモの天ぷらを乗せた豪勢なの。サツマイモは余ったから残りは冷蔵庫にいれてある。
ネギを散らしてできた蕎麦を家族ラインに載せたら今度両親に振る舞うことが確定してしまった。
そして今、ご飯を食べ終わって食洗機かけて舞依と適当にダラダラ駄弁りながら年越しの瞬間を待ってる。
「……俺たち仲良すぎでは?」
「気付いてくれましたか」
一日のほとんどを同じ空間で過ごしているしなんなら昨日も同じような感じだった。
同棲中のカップルでももうちょっと自分の時間持つんじゃ?
それとも俺が知らないだけでこんなもん?
俺と舞依は趣味を共有してるから話も合うし自然と長い時間を一緒に過ごすことになる。
それが冬休みで顕著になった。
「実は私、こうやって年越しするのは今年が初めてなんですよ」
「俺も誰かと年越しするのは初めてだなぁ」
そもそも去年まで誰かと一緒に年を越そうだなんて思いもしなかった。
なんか不思議な気分だ。
今日だって蕎麦を食べたら寝る予定だったのに俺も舞依もなかなか自分の部屋に戻らず炬燵でとりとめもない話をしているうちに自然と年越しする空気になった。
「もう隣に義兄さんいるのが当たり前になってますね」
「義妹なんだからそれで良いでしょ」
「それこそ義兄さんに彼女さんができるまでは私の特権です」
「それ言うなら舞依に彼氏できる方が先だと思うけど」
あれ?
知らず知らずのうちに"彼女"のハードル上がってね?
舞依より居心地の良い女の子って存在するんだろうか?
俺自身のスペックは何1つ変わってないのに理想だけ高くなってる気がする。目だけ肥えても仕方ない。
舞依と過ごす時間を削ってまで会いたい女の子がいるとも思えないし仮にいたとして付き合えるかという無理難題が残る。
いや元から恋愛する気なんてほぼほぼなかったんだけどこうして現実的に彼女という枠を考えたらそんな時間はないという結論になってしまった。
そもそも俺も舞依も積極的に恋人を作ろうってタイプじゃないから下手したら来年の年越しも二人なんじゃという疑問がふと湧く。
うちの親達が一年後どんな選択をするかによるが年越し旅行を恒例行事にする気なら必然俺と舞依の年越しも毎年のことになる。
まぁそれならそれで良いか。
「飲み物のお代わりとかいる?」
「それよりちょっと肩凝ったかもしれません」
「はいはい」
可愛い義妹のために断腸の思いで炬燵に一時の別れを告げる。
暖房が効いてるから寒くはないんだけどあったかさはどこかへ行ってしまった。出ていったのは俺の方だけど。
膝立ちで舞依の後ろまで移動して、どてらを半分脱がせて部屋着の上から肩に手を当てる。ちょっと素肌の首に近い部分に触れてしまうが何も言われなかったしされるがままだったからこれで合ってるはず。
肩たたきとかやったことないんだけどどのくらいの強さでやるもんなんだろ。
とりあえず痛くないように徐々に力を入れながら舞依の肩を揉んでいく。
全然肩凝ってないじゃん。やわっかい。
「んっ」
「大丈夫? 痛くない?」
「これちょっと照れますね」
「舞依ってちょくちょくこういう自爆するよね」
首筋が熱くなってる。
こっちからはつむじしか見えないが顔も真っ赤になってるんじゃなかろうか。
「だってこういうスキンシップって憧れるじゃないですか」
唇を尖らせて振り返る。
髪が腕にかかってくすぐったい。
一人っ子はきょうだいができたらやってみたいことの1つや2つ妄想するものだよな。
分かるよ。
というか一緒に宿題したりとか肩を並べてごはん作ったりとか結構叶えさせてもらってるよ。
休日にデート紛いのことするのとか最たるものな訳だし。
「分からなくはないけどさぁ」
案の定真っ赤だった舞依の顔を前に向かせ、揉むというより撫でると言った方が正しいくらいの力加減で続行する。
触った感覚から緊張で強張った筋肉がほぐれてリラックスしていくのが伝わってきた。目で見るよりよっぽど分かりやすい。
「……」
「~~♪」
……ミスった。
なんで俺続けたんだろう。
「あー。お客様、どこか痒いところはございませんか?」
「じゃあ頭皮マッサージお願いしまーす」
やめ時を探りながら話しかけたらそろそろ復活したのか脱力した舞依が調子に乗る。
さっきそれで失敗したのに何も学んでない。
「良いけど肩揉み以上に何も知らんぞ」
肩から手を離し、指の腹で髪を押しのけ頭皮? を刺激する。
あってるか分かないけど力を内側に込めたり、前後左右に揺らして様子を見る。
「ごめん。ちょっと髪クシャってなった」
「ブラシはそこの籠です」
まずは手櫛ですーっと梳きながら髪を撫でつける。
そして歯が引っかからないように優しく櫛をいれていく。なんか良い匂いがするが無視だ無視。俺まで取り乱したら収拾がつかなくなる。
幸いそんなに乱れた訳じゃないのですぐに終わった。
舞依の髪を梳かすのは初めてじゃないし肩揉みや頭皮マッサージに比べれば気楽にやれる。髪質もサラサラでやりやすい。
「可愛くなりましたか?」
「おう。元から可愛かったけどさらに可愛くなったぞ」
「えへへ」
楽しそうに笑う舞依を見れたしここで終わりかな。
俺はこのまま愛しき炬燵に戻ることにしよう。
「じゃあ次は義兄さんの番ですね」
「え?」
「ほら義兄さん。ここ、座ってください」
どてらを羽織りなおしてスッと炬燵から出た舞依は俺の後ろにまわり背中を押してくる。
舞依と場所を入れ替わり、流されるようにそのまま座ってしまった。
ここ、舞依が座ってた場所だから普通に体温とか匂いとか残ってるんだけど。
確かに恋愛にさほど興味はないけどこれをなんとも思わないほど枯れてもないぞ。
「え、待って本当にやるの!?」
「ちょっとは私の気持ち分かってもらえましたか?」
「自爆に巻き込まないで」
「なに言ってるか分かりませーん。始めちゃいますね」
耳元でささやくのやめて。
ドキドキする。普通にドキドキする。
なんかいつもより距離が近い。物理的な距離が近い。
鼻孔をくすぐる匂いにくらくらして何も考えられなくなる。
「ぅお!?」
「どうしました?」
「いや、舞依の手が冷たかっただけ」
見なくても手がちっこいのが分かる。
でもこの小さな手の冷たさのおかげでちょっと思考できるようになった。
「えいっ」
「……」
「あれ?」
可愛らしい掛け声とともに一気に手が当たる面積を増やしてきた。
ただ俺がノーリアクションだったことに不満げな様子。
「義妹よ。100%来ると分かってる衝撃に驚くことはないぞ」
よくよく考えてみればこんな悪戯で甘えてくる妹とかご褒美でしかない。
楽しまないと損だ。
「というかいつまでこのまま?」
舞依の手が俺の首から離れない。
ピトっとくっついたままだ。
「思いのほか気持ち良かったので義兄さんで暖をとることにしました」
それなら炬燵に入った方が、なんて危うく口にしかけたその言葉を飲み込む。
義兄妹としてのスキンシップをやめるのはもうちょっと堪能してからでも良い。
首から熱が逃げていくが俺は炬燵に入りっぱなしなんだしどうってことない。
「はいはい」
俺はただ義妹の我儘に振り回されているだけの義兄であってそれ以外の何物でもない。
いやー義妹にカイロ扱いされてたいへんだなー。
「義兄さん、あったかいです」
「舞依も首周辺はあったかいだろ」
「触ってみますか?」
「さっきやったじゃん。ちゃんと熱かったよ」
「えへへ。そうでした」
さほど反応はなかったし俺の手は舞依に負けないくらいの熱をもっていたんだろう。
「指もあったまったので揉んでいきますね」
ちょっと力が加わったけど所詮は中学生の握力。
痛いなんてことはなくさりとて力が足りないとも思わず、つまり絶妙な力加減のマッサージが俺の凝りを解していく。
思ったより断然気持ちいい。正直肩揉み舐めてた。
「どうですか?」
「寝そう」
「炬燵で寝たら風邪ひきますよ」
「すまんが叩き起こしてくれ」
しばらくそうやってじゃれ合っていると満足したのか炬燵に戻ってきた。
そこ俺のいたところなんだけど気にしたりしない?
しないかぁ。
まぁここ既に俺が座ってるからどっちでも一緒か。
「この角度の義兄さんちょっと新鮮ですね」
「普段と位置逆だもんな」
ここは俺の場所なんて言うつもりは全くないがお互いなんとなく日常の位置は決まっている。
その固執するほどじゃない決まり事を破った。
実は結構なタブーだ。
この程度じゃ嫌われないと確信してないとできない行為。
少なくとも半年前なら思いもしなかった。お互い不可侵で、不必要に関わらない。
新環境でわざわざ藪をつついて余計なストレスを与えるべきじゃない。
「舞依ってすごいよやっぱり」
だというのに今となっては左右を入れ替えたってここは居心地の良い空間のままだ。
俺達は家族のような存在から家族になっていく途中であって、それは不可侵のままだと変わらない。
「え、何がですか?」
「いや、俺達の距離近くなったなって」
「ふふっ。なら来年はもっとですね」
「いや、既にこれ以上ないくらい仲良い義兄妹のはずだけど」
さっきその流れやったじゃん。
四六時中一緒にいても自然な関係ってなかなかないぞ。
「義兄さん、私がんばりますね」
「はいはい」
スマホを見ると年明けまであと20秒をきっていた。
今年ももう終わりか。振り返っても特段やり残したことなんてないな。
それこそ舞依のおかげで今年は去年より楽しい一年だったと自信をもって言える。
画面を見せて、何故か俺も舞依も無言でその瞬間を迎える。
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「「あけましておめでとうございます」」
炬燵でのほほんと迎える新年も良いものだ。
これだけでこの一年が良い年になる気がしてくる。
「今年もよろしくお願いしますね、義兄さん」
「こっちこそよろしく。舞依」
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こんな年越しする兄妹が日本のどこかにいるって信じてます。




