表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふたたび天才(ジーニアス)  作者: やしゅまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/23

第21話『知と直感の決勝戦』

準決勝の激闘を制し、清嶺イレブンが歓喜の輪をつくっていた頃。スタンドの記者席では一人の記者が、次のカードを口にしていた。


「決勝の相手は……龍華高校か。戦術のチームだな。あそこは“あの男”がいるからな」


 その言葉を耳にしたユウトの表情が変わる。


「……レンの高校か」


 ベンチに座っていた1年の春を、ふと思い出した。部の空気に馴染めず、試合にも出られず、ただ誰よりも練習だけはしていた頃。放課後のフットサル場で、ある男が話しかけてきた。


「君のサッカーには、“理由”がある。でも、それに気づいてるのは、君だけじゃないかな」


 眼鏡をかけた青年――レン。その出会いが、ユウトのすべてを変えた。


 今、そのレンが、決勝の“敵”として立ちはだかる。


 


「タケル、龍華ってどういうチームか知ってる?」


「うん。あそこ、マジで戦術特化型。毎試合ごとにシステム変えてくるし、対戦相手のビルドアップとか全部潰してくる。あの戦術オタク……レンだっけ? 超手強そうだな」


「うん。でも、あの人のサッカーを知ってる。いや……多分、“知りすぎてる”くらいだ」


 チームメイトたちも龍華の情報を集めていた。「相手は中盤のスペースを徹底的に潰してくる」「ウチのサイド攻撃も、前の試合で読まれてるはず」と、不安げな声が漏れる。


 だがユウトは、静かに目を閉じて呟いた。


「……来るなら来いよ、先生。俺、ちゃんとここまで来たからさ」


 


 夜。ファミレスの片隅、窓際の席。レンは一人、ノートPCとメモを睨みながら、指先でペンを弾いていた。


 対・清嶺高校、対・早川ユウト。自分がかつて見出した少年が、今やチームの“核”として輝いている。その映像を何度も巻き戻しては分析し、対策を練り直す。


「相変わらず、“理由のない”プレーばかりだ。でも……そこが魅力なんだよね」


 レンの眼差しに迷いはなかった。むしろ、ずっと待っていたのだ。あの時ベンチにいた少年が、真の意味でピッチの“支配者”になる日を。


 コーヒーを一口すすると、口元にかすかな笑みが浮かぶ。


「さあ、僕の最高傑作を試す時だ。君が、“僕を超えた”って証明してくれ」


 空のグラス越しに、レンは夜のグラウンドを見つめていた。知と直感の最終戦。答え合わせの時間は、もうすぐそこにある――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ