第5話 セアラちゃんを愛でる会
休日に投稿しようかと思います。じゃないと、続きがぁぁぁぁぁってことになります。きっと。多分。
よろしくお願いします!
なんだか大事になったみたい。
私は良かれと思って王太子妃に薬を…って渡してもらったんだけど、それが発端になって私を王宮専属の薬師に…って話が出てるってニック様から聞いた。
いい話なんだけど、薬師としては。
でも、あの店を無くすことはできない。私の心の拠り所。
あと反対派が、平民を王宮専属の薬師なんて…と言っているそうだ。
政治って難しいなぁ。それを聞いた陛下が王太子妃の悪阻を治したという功績を鑑みて、私に男爵位を授けるとかなんとか。私は平民でいいんだけどなぁ。
そうそう、本当に‘セアラちゃんを愛でる会’が発足してしまった。
騎士団に度々王太子や王太子妃がやってくるようになってしまった。
王太子妃は特に身重の体で大事な時だから、あんまりウロウロしてほしくないんだけど、
「大丈夫よぉ。セアラちゃんがいるんだし、王宮の医者だって散歩した方がいいって言ってるわ」
と、仰るのだ。
初めて会った時は恐縮したが、豪気な方のようで……。「あ、そういえば私の名前はロゼットよ。気軽に呼んでね」
……無理です。
確かに私はいるけど、お産に立ち会ったことはないんですけど…。
救護室に来るたびに私に抱きついて、「セアラちゃ~ん」と、ロゼット妃は仰る。お腹が潰れるから、ほどほどにしてください。と、私は毎度言います。
セイムス殿下はロゼット妃と一緒に来ます。やっぱりロゼット妃が心配なんだろうなぁ。それと、公務もあるんだろうし。
セイムス殿下が一緒の時もロゼット妃は構わず私に抱きつく。
‘愛でる会’だから、見てるだけにして欲しいというのは私の心のうちに留めておこう。
そんな平和だった。ある時、私は薬を調合していた。ロゼット妃はそんな私を愛でていた(愛でる会だから)。
「いたたっ」
あっ、ロゼット妃がピンチ。これは……所謂陣痛というやつ?
「ロゼット様?破水はしておられます?」
女性同士だからいいだろう。
「実は数分前からしていたの。…小水みたいで恥ずかしいから黙っていたの」
「ロゼット様!これからお産に挑むという時ですよ?恥じらいなどはどこかへ捨ててください。えーと、清潔な布を大量に。それからお湯を大量に沸かして……。あぁ、騎士様にセイムス殿下への伝言を頼みましょう」
そんな事をして数分が経った。
正直、ロゼット様を王宮まで誰かに運んでほしかった。ちょっと距離はあるけど、布で持ち上げたら2・3人でいけると思った。
セイムス様は何を思ったのか、この救護室での出産を提案したのだ。本当に何を思ったのだろう?
「ロゼット、大丈夫か?」
「いたたっ。痛みは周期的にやってくるので、痛みが無い時は比較的大丈夫です」
「セイムス殿下、ロゼット様。これから痛みの周期が短くなるはずです。ところで、セイムス殿下、王宮から応援での医師の派遣はないのですか?」
「私はしたのだが……」
何故来ない?ロゼット様だって命懸けなのに。私を貶めたいんだろうか?そんなことでロゼット様を苦しめないでほしい。
ついに出産に挑むときが来た。
「一応男子禁制でお願いします」
「私もか?」
「セイムス殿下もです」
こんな時には女性騎士がいたらなぁと思う。
ロゼット様を清潔なシーツが敷かれたベッドに横になってもらい。舌を噛まないように、口に布を噛まさせてもらった。
「では、ロゼット様、イキムという感じで、御子を外に出してあげると思ってください。御子だって出たいんです」
私は初心者ながらに頑張りました。
3時間という短い時間で出産終了。長い方だと24時間超えるんですよね。
御子様は男の子で、王子殿下です。産湯に着けて、清潔な布でくるみ、疲れ果てているロゼット様に渡した。
「元気な王子殿下ですよ。私は外で待つセイムス殿下にも報告をしてきますね」
そう言い、セイムス殿下にも報告をした。その後は救護室の後片付け。
かなりの使用済みの布などが散乱している。
「よいよい、この度は一人で誠にありがとう」
「王家の人がたかが平民に頭をさげてはいけませんっっ!!」
「この部屋は王宮の侍女達に片付けさせるゆえ、セアラちゃんは下町の薬師として片付くまで働いているといい」
「ありがたき」
こうして、私は下町の薬師が出来るようになった。
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誤字報告もよろしくお願いします!何回も読んで、発見したりするんですよね。はい、未熟者です。