第26話 セアラ出産
いろいろありましたが、なんだかんだと私、セアラも出産を終えました。流石(?)ニック様です。男の子と女の子の双子を出産しました。
男の子はまるっきりニック様とおんなじ金髪碧眼。女の子は…髪は私とおんなじ茶色で目は碧眼。成長すると金髪になるかもね。ニック様は「女の子ならセアラと同じ、茶髪に茶色い目が良かった……」っていうかもだけど、碧眼が王家の子の証なのかも。
「はぁ、疲れたぁ」
すごい痛かったし。
「セアラ、お疲れ様。早速なんだけど、二人の名前決めないとね」
あ、そんな大事業が!!この子達だって王子と王女よね。大事な名前だわ。
「明日までに考えておく。一生使うものだから、丁寧に考えたいの!」
というのは方便で、名付けは苦手なので先延ばしに……。今は自分を癒したい。
「「セアラちゃ~ん!」」
お義母様とロゼットお義姉様がいらっしゃった。
「お疲れ様。いいのよ、セアラちゃんは横になって。そのまま、そのまま」
「男の子と女の子?出産も大変だったでしょ?この後の育児も大変そうね。私なんかジェイムス一人で手一杯よ」
「ロゼットちゃん、何言ってるのよ!王太子妃としては、王子がもう一人って臣下の貴族から言われてるのよ?」
「こういうのもあるのよ。王太子妃も面倒よね。王女が生まれてもまだ『王子をもう一人』って言ってくるんでしょうね、はぁ」
ロゼットお義姉様も大変だなぁ。そう考えると気ままに子作りをできる私は恵まれてるのかも。気ままじゃないけど。気絶してるし。
「休みたいだろうから、もう退散するわね?セイムスと陛下にも可愛かったって伝えておくわ!」
「このような格好で申し訳ありません!」
「セアラちゃんはいいのよ、出産でつかれてるんだから!」
そういって嵐のように二人は去っていった。
さて、私は子供二人の名前を考えないとなぁ。男の子、強くて賢い子がいいなぁ。ニック様に似たらかなりの美丈夫に育つんだろうな。うーん『アレス』にしようかな。『アキレス』は弱点みたいで次期ジェイムス王子殿下の側近として相応しくないわ。
女の子、うーん……『フルール』はどうかしら?完全に音の感じで選んでるけど。『ステラ』とか?『ステラ』はセアラ要素アリね。あ、でもジェイムス王子殿下はお義兄様の名前の要素もお義姉様の名前の要素もないわ。女の子の名前についてもニック様と明日相談しよう!
今は体を癒そう。おやすみなさい。
「奥様!お疲れの所申し訳ありませんが、御子様お二人に初乳をお願いします」
ふへっ?なんの儀式?
「それは乳母とかじゃダメなの?」
「奥様が持っている免疫を御子様に与えるためです!」
なるほど、それは私じゃないとできないわね。
なんなの?この子達、めちゃめちゃ飲むんですけど?
「えーと、乳母は一人で足りるかしら?」
「大至急、乳母を選出します!家柄・個人の背景などを」
「うーん、できればソレに私も参加できればなぁ。体力あるかなぁ?」
翌日、この子達の乳母選出の場に私も参加した。この子達の乳兄弟もできるわけだし。一緒に選びたいわ。
ローラが選んだのは、家柄がいい人だった。「私が選ばれて然るべき!」って感じだった。なんていうか、傲慢さを感じるんだよね。ローラに罪はないわよ?
うーん、どの人もなんか腹に一物も二物も抱えてる感じがする。乳母になったアカツキには平民出身の私なんか蹴り飛ばして(?)ニック様とっていうのが透けて見えるようなそんな感じかなぁ?
そんな人たちに子供を預けるのはなぁ……。
「ねぇローラ?市井にシングルマザーで生活に困っている人がいなかった?そういう方の助けになりたいわ」
「大至急、探して参ります」
そう言って、ローラはその他の侍女達とともに私には最低限の護衛をつけて、私の指示するような人物を探しに行った。
「何なの?私たちでは不満なの?平民出身の分際で!」
そう言って乳母候補だった貴族の婦人が私に襲い掛かってきた。
「セアラは平民出身だけど、今じゃ君達よりもずーっと身分が高い第2王子妃だ。その妃に手を上げることだけで罪なんだけどなぁ?」
ニック様!
「ニック様、彼女らには御子がいらっしゃるので処罰は……」
「うーん、本当なら不敬罪で牢屋行きなんだが、セアラの温情で後で家門を調べて家をなんとかしようか。それより、子供達の名前の話をする約束だろう?どうしたんだ?」
私はニック様にかくかくじかじかで乳母を増やさないと、という話をした。「双子というのは大変なんだな。可愛いだけじゃないのか」という感想を頂いた。
産むのも大変だったんだから!という心の叫びは抑えておいた。
あ、名前!
「男の子の方は『アレス』がいいと思うの。女の子の方は候補が2つあってね、『フルール』と『ステラ』!」
「男の子の名前は『アレス』で決定だな。女の子は『ステラ』の方が『セアラ』って名前に近くて可愛いから俺はそっちの方がいいなぁ」
「それじゃあ、男の子は『アレス』、女の子は『ステラ』で決定しましょう!」
「あ、それでね、市井にいるはずのシングルマザーの手助けになったらいいなと思って、下町とかで探してもらってるんだ」
「セアラらしいね。まぁ、下町の人ならセアラの事は知ってるだろうし、王家を慕ってくれるだろうな。貴族は何を考えてるのかわからないからな」
「あ、さっきの貴族令嬢なんかは乳母になったあかつきには子供をダシにしてニック様と親しくなろうというのが透けて見えましたよ?」
「はぁ、貴族はそういうのがあるから嫌なんだよなぁ」
「奥様!」
私?呼ばれ慣れてないから誰を呼んだのか戸惑ってしまった。キョロキョロ周りも見まわしました!
「下町にいらっしゃいました。なんでもお父様が腰痛で奥様の薬のお世話になっているとか…」
あの爺さんの娘さんか……。
「人格は大丈夫そうね。まぁ、貴族令嬢よりは全然OKよ」
実際に会ってみた。
確かにあの爺さんの面影があるわ。当人の方が美人だけど。
「下町で主婦してますマリーと申しますっ!」
「いいのよ、緊張しなくて。私だってちょっと前まで下町に住んでたんだから」
「セアラ様が下町で薬師をしていたというのは本当だったのですか?うちの爺さんがボケて言ってるのかと思ってました」
爺さん…娘の信用ないなぁ。
「で、御子様は?今日は置いてきたのですが、女児です。王城の王子殿下とどうこうなんて夢にも思っていません」
「あら、当人同士の思いだからうちはどうでもいいのよ。うちのアレスはいいのよ。ジェイムス王子殿下はもしかしたらステラが大好きになるかもしれないわねぇ、まだわからないけど。そんな人間模様よ、子供だけど」
「そうなのですか?」
「問題なのは乳の出よ。もう、アレスもステラも飲みたい放題で……。乳母がいないとしょうもないのよ」
「それは問題ないです!私の方は逆に余ってしょうがなかったんで、逆に助かります」
「あとは、そうね。乳母として雇うんだからキチンと契約書を書かないと!給金はこのくらいでいいかしら?あの二人の世話を込みだから、住み込みになってしまうけど」
「ええ?こんなにたくさんいただいていいんですか?」
「夜泣きもするし、大変じゃない。マリーの子だって、ここで暮らすことになって三つ子よ?」
考えるとかなりの労働量だ。
「ところで…マリーの子の父親って……」
「大きな声じゃ言えないんですが……王宮騎士団の方と伺っています」
私とニック様の職場!ニック様の部下!
「その方には子供の話は?」
「していません」
うーむ。ムズカシイ問題に直面したなぁ。
「あ、あとマリーの女の子の名前は?」
「リカです」
双子が好きです!




