第21話 ニックとセアラ ⑥ ~ニック視点
頑張って気絶させないようにしているんだなぁと思うと余計に愛しい。つまり、俺が元気になるんだが。
俺の体力そんなにあるかなぁ?俺は普通だと思っていた。今度兄上に相談してみよう。セアラは体力つけようとしてるしなぁ、俺は今のままでも十分だと思うけどなぁ。
「はぁ?ニクソン。お前の体力?そんなのお前は体力お化けだろう」
そこまで言うか?可愛い(?)実の弟に。
「いやぁ、セアラはいつも抱き潰しちゃうし、騎士団でも俺に誰もついてこれないし。騎士団の方は俺に人望が無いのかなぁ?と思ってしまうが、わりかし「団長、団長」って慕ってくれているから騎士団の方はそうでもないかと思うんだけど、セアラが「体力つけた方がいいかなぁ?」とか言ってるんだよ」
「それは大問題だな。今の可愛らしいセアラちゃんが体力お化けになるのはやめてほしい」
……体力お化けって何だろう?
「聞きましたわ、セアラちゃんの一大事!体力?そんなのは、ニクソン様が手加減してくださいな」
「セアラが可愛くて、つい」
「気持ちはわかりますけれども、『つい』で気絶させられたんじゃ嫌ですわ!」
「ロゼットもそうなのか?」
「もちろんです!」
「二人で♡って時に自分だけどこかに行かされるんです。それは嫌です。一緒がいいんです」
なるほどな。
「俺も気絶すればいいのか?」
「「気絶しないでしょう?」」
二人に責められた。凹む。
「セイムス様?ニクソン様は脳筋なんですか?」
「そうではないが、どうも恋愛事に疎いような気がする。解答が斜め上……」
「二人でコソコソと仲いいなぁ」
「わかるか?お前がココに居なかったら今頃ココは二人の世界だ」
そうだよなぁ。俺だってセアラとあんな距離でいたら絶対どうにかなる。
「ところで、ジェイムス王子殿下は?」
「昼寝をしていましたから置いてきましたわ。子供に聞かせるような話でもありませんし」
俺は二人の世界になりそうなので、兄上の部屋から退散した。まだ、部屋から出ていないのに兄上……手が早いですよ。ジェイムス王子殿下にごきょうだいができるのも結構近いのかなぁ?
なーんて俺は自分の部屋に戻った。
俺が手加減をすればいいのか。出来るか?否!無理だろう。
そんなことを考えていると、セアラが部屋を訪ねてきた。
「先ほどからいらっしゃらなかったので、なかなか会えないものだと……」
「あー、兄上の所にちょっと野暮用だ」
本音は言えない…。
「実は……まだ確定ではないのですが、……妊娠しているかもしれません」
最後の方は小声過ぎてよく聞こえなかった。
「えーと、もう一回言ってくれるかな?」
「まだ確定ではないのですが、妊娠しているかもしれません」
この時の俺の心境は凄いことになっていた。
これまでのように、ラブラブした生活は送れないのか…という落胆した気持ちと、俺とセアラの子…絶対可愛い!!というワクワク感。さらに加えて、それが確定していないという微妙なところである事実!これこそがまさにカオス!!
俺の心の中がカオスになって俺は固まっていたようだ。
「ニック様、ニック様?」
「あ、セアラ!まず、まだ確定じゃないんだよな。いつ真偽がわかるんだ?」
「王城付きの医師様の話だと、あと数週間だと」
つまり、俺はあと数週間禁欲生活を送るのか?
「あ、夜の夫婦の営みについては、激しくして胎児に影響を与えない程度なら大丈夫だと医師様は仰っていました。でも……ニック様はいつも私を気絶させるから……」
ちょっと膨れたセアラも可愛い。
なるほど、ここで手加減をすればいいと。子供に何かあってはいけないから、俺だって気を使う。
「セアラ、安心しろ。俺は手加減を覚えるからな?決してお前を気絶させたりはしないからな」




