第12話 ニックとセアラ ③ ~ニック視点
何故俺が責められるのだろう?(幼い甥にまで)。父う…陛下も責めてくるし、俺は何も悪いことしてないが、強いて言えば『さっさとセアラを娶れ』ということだろうか?
そんなこと言われてもなぁ。義姉上曰く、『初恋の乙女』のようなこの俺に女性にプロポーズなどハードルが高すぎると思うのだが?
「そんなに考え事をどうしたんですか?」
ビックリした。セアラが突然視界に……。
「いや、何でもないよ。ちょっと家族からの圧力が…」
「まぁ、なにかニック様に問題が?皆様にあんまりニック様を追い詰めないようにと私から助言いたしましょうか?恐れながらですけど。このような平民風情が」
「いやいや違うんだ」
俺は即答した。今告白するべきだろうか?
場所は王城の廊下で、周りにあまり人はいない。少なくとも騎士団の者はいない!悩みどころだ。
「ずっと考えているんだ。セアラの事」
俺的に告白の第一歩だ!
「そうですよね」
ああ、脈アリの反応か?
「街の薬屋の事気になりますよね~。私がいつまで王城生活するのかも気になります。王城のお食事は美味しくって。少し太った気がします」
セアラはちっとも太っていないと思うが?どこが?
俺の目線がいけなかった。ジロジロとセアラの体型を観察してしまった。
「ニック様、そんなに見ないで下さい。街の男だったら、股間に蹴りを入れている所ですよ?」
セアラを怒らせてしまった。これでは告白どころではない!
「そうではなくてだなぁ」
「なんでしょう?」
その無垢な視線が告白する側の心に突き刺さる。
「あ、セアラちゃん。今日も可愛いね。今日は鍛錬場に来るの?最近見なくて寂しいよ。それじゃあ後でね」
「あの…。今のは今日は鍛錬場に来るように無理矢理約束されたのでしょうか?」
「あいつは……全く。製薬に忙しかったら鍛錬場に来なくても構わないからな!全く軽いノリの男で騎士としてどうなんだろう?」
「有事の際に役に立てばいいんじゃないですか?有事の際に敵前逃亡するようなやつだったら根性を叩き直すべきですけど」
有事の際ってなかなかないから判断に困るなぁ。
「それで、ニック様はなんでしょう?」
覚えていたのか。賢いな。まぁ、薬を作るくらいの能力がないと作れないからな。
「ああ、セアラの事、最近ずっと見ていた。この眼が勝手に追うんだ。どうやら、俺はセアラの事を慕っているということです」
「他人事のように仰いますね。私はニック様をお慕いしていますよ?」
何故疑問形?
「俺もセアラの事を慕っている!セアラの事が大好きだ」
言った。ついに言ったぞ。しかもセアラも俺のこと慕ってるって。夢か?夢なら覚めないで。
「ついにやったのねぇ、ニクソン!セアラちゃ~ん!私の義娘になって~」
母上、気が早いですよ。っていうか、どこに隠れていた?騎士団長である俺に気配を読ませないってどういう技を持っているんですか?
「あの…、王妃様はどこにいらしたんですか?」
「え~?企業秘密よ、ひ・み・つ♡うふっ」
このあと、王家中に知らせに行くんだろうな。
「貴方たちは二人で仲良く騎士団に行きなさいな、ほら手でも繋いで仲良く出勤すればいいじゃない?」
手を繋ぐ?恋愛初心者にこれまた難しいことを。
想いが通じてからというもの、セアラが一層可愛らしく見える。その髪の毛一筋まで愛しい。あ、抜けた。
「どうしたんですか?私の方を見て」
「いや、セアラが可愛らしくて、愛しいなぁと思って」
俺は思ったことを素直に言っただけだぞ。繋いでいた手を離してセアラが両手で顔を覆ってしまった。
赤面しているようだ。可愛い。抱きしめたいがここは公衆の往来する場所だ。我慢をしよう。
「セアラちゃ~ん!聞いたわよ~。ニクソン殿下と両想いって」
「あ!」
義姉上がジェイムス王子殿下を乳母車に乗せて現れた。そして、いつものように義姉上はセアラに抱きついている。正直、羨ましい。同性だと許されるんだろう。
「いいのよぅ、お義姉様って呼んで。むしろ、今後はお義姉様って呼んで!」
「ロゼットお義姉様…」
「きゃー!恥じらうセアラちゃんも可愛い!見た見た?ニクソン殿下?」
「はい、見ましたよ。花も恥じらう乙女って状態でしょうか?」
「きっとセイムス様は『お義兄様』って呼ばれたいでしょうね?私は一足先だものセイムス様に自慢できるわ!」
「陛下は、『お義父様』ですか?」
「王妃様は『お義母様』でしょうか?」
「ロゼット様も王妃様の事はお義母様とは呼んでいないのにいいのでしょうか?」
「それは王妃様しだいよ~」
ジェイムス王子殿下は特別に呼び名はないから残念だったな。
「うー」
やっぱり、私は幼いジェイムス王子殿下の喃語によるツッコミ推しです!




