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悪夢から逃れたら前世の夫がおかしい  作者: はるくうきなこ


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33/45

33ミモザの気持ち


 ミモザは一日早かったがいたたまれず教会に行く事にした。

 セルカークは渋々納得はしたが…

 「でも、今夜は一緒に夕食でも食べに行って明日にしたらどうだ?」

 「いえ、そんな事をしたら決心が揺らぐかもしれませんから」

 「揺らいだらここにいればいい。だから」

 「いえ、やっぱり行きます。じゃあ、先生。テルヒさんにもよろしく伝えて下さい」

 「ああ、せめて送って行こう」

 「いえ、そんな事遠慮します。では」

 ミモザは立ち上がって荷物を持つ。

 「会いに行ってもいいか?」

 「でも、仕事中かも知れません」 

 「なら、俺も手伝う。教会の診療所なんだろう?ボランティアに来たと言えば手伝える」

 「診療所はどうするつもりですか?患者さんが困りますよ」

 「そんな事…ちゃんと仕事はする。だから会いに行く」

 「ええ、好きにして下さい。でも、せかさないで下さいよ」

 「わかってる」

 「では、お世話になりました先生」

 今度こそと扉を開けた。


 またセルカークが話しかけた。

 「ああ、今度会うときはセルカークって呼んでくれるか?」

 「あっ、そうですね。でも先生は先生ですから…」

 「それじゃ、親父臭いだろう?セルカークで頼む」

 ミモザはいつになったら行けるのかと思ったが…

 「わ、わかりました。頑張ってみます」

 「じゃあ、練習。セルカークって呼んでみてくれ」

 「せ、セル‥カーク‥様」

 「様はいいから。セルカークだけで。もう一度」

 「せ、セルカーク…」

 「ああ、それでいい。ミモザ気を付けて行けよ」

 「はい。ありがとうございました」

 やっとミモザは歩き始めた。

 セルカークは通りまで荷物を持ってくれて見えなくなるまで見送ってくれた。

 (なんだろう?この甘々なやり取りは?いったい私たちはいつからそんな関係になったのだろう?)

 ミモザはたくさんの疑問符を抱えながら教会に向かった。


 ***


 教会に着くと一日早いがシスターたちはいやな顔をせず迎えてくれた。

 シスターはすぐに笑顔で部屋に案内してくれる。

 「もうミモザさんの部屋は用意できてるから心配しなくていいわ。さあ、案内するわね」

 「すみません。何かお手伝いできることがあれば手伝いますので」

 「そうね、じゃあ、先に建物を案内しましょうか。明日は朝から診療所に出れるかしら?」

 「はい、もちろんです」

 「助かるわ」

 シスターの名前はジュリア。中年の女性で明るくて話しやすい人だった。

 教会の中を色々案内された。裏手にあるのがシスターたちの宿舎で診療所の隣にあるのが働いている人たちの宿舎。

 その宿舎の中にキッチンやダイニングルームがありお風呂やトイレは共同で洗濯室もある。

 教会の中に客間や執務室。礼拝室などがありシスターたちは朝から礼拝を済ませて診療所の手伝いなどをするらしい。

 ミモザは修道女ではないので8時に朝食その後部屋の掃除などを済ませて診療所に入る。

 慣れれば夜間勤務も入るらしいが、しばらくは日中9時から5時までの勤務になると聞いた。

 夕食の時にシスターや住み込みで働く人たちに紹介された。

 教会と言うだけに住み込みは女性ばかりだった。

 男性は司祭2人と執事3人とコック。司祭はここに住んでいるが他の人は通いらしい。司祭の住まいは教会の中らしい。



 ミモザはその夜はなかなか寝つけなかった。

 部屋もベッドも慣れないし何よりセルカークの事が気になった。

 彼がシルヴィとのことを激白した事も衝撃だったし自分の記憶がずいぶんずれていたこともさらに驚きだった。

 自分がセルカークを誤解していた事やかなり好きだという事を受け入れる事に戸惑った。

 そしてやっとそろそろ彼を許してもいいんじゃないかと言う結論に至ったころやっと眠りについた。




 

 

 




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