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悪夢から逃れたら前世の夫がおかしい  作者: はるくうきなこ


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24/45

24汚いキャメリオット公爵家

 

 ミモザは翌日は午前中に街に出かけた。とにかく住み込みで働けるところを探すためだ。

 お金はクリストから支払われたお金があるが、セルカークの所から早く出て行くつもりだ。

 何しろミモザ自身が彼に惹かれて行きそうでそれが何より恐かったから。

 セルカークには、買い物があると嘘をついた。

 だったらとついでに買って来てほしいものがあると紙を渡された。

 どれも薬の原料になる薬草だった。

 お金は翌月まとめて支払うことになっているらしいので心配ないそうだ。


 ミモザは王都マクラダに住むつもりだ。それでギルドに行って仕事を探す。

 だが住み込みとなると貴族の屋敷か宿屋くらいしかなかった。

 貴族の屋敷は論外だ。宿屋も女の独り身では心細いと思えた。

 昼までには帰ると言って出て来たので今日は諦めて薬草を買って帰ることにする。


 ペルサキス診療所の馴染みの店らしいその薬屋で紙を見せる。

 「この紙に書いてある薬草をお願いします」

 「はいはい。あなた見かけない顔だけどどちらの診療所の方?」

 店にいたのは優しそうな中年の女の人だった。

 「はい、ペルサキス診療所の者です。少しの間お世話になっていてついでに買って来てほしいと頼まれたんです。あの、お代は翌月払いで良かったんですよね?」

 ミモザは怪しいものではないと告げる。

 「ペルサキス診療所の方なの…悪いけどお宅には何も売れないわ」

 「えっ?どうしてです?もしかして未払いがあるとかですか。それなら私が払います。もう切らしているものもあるので頂いて帰りたいんですが」

 「いえ、支払いはきちんといただいてるんだけど…どうしてもお宅には売れないの。もし、売ったことがばれたりしたら家もやっていけなくなるから。悪いわね。もう、帰ってもらえる」

 「でも、どうしていきなり売ってもらえないんです?もしかして誰かの指示とかあるって事です?」

 「だからそうじゃないって言ってるじゃない。しつこいわよ。帰って頂戴!」

 ミモザは無理やり店から追い出される。

 仕方なく別の薬屋に出向いてみる。

 マクラダはキャメリオット公爵家の薬屋が一番大きく街に2店の店を構えている。他にも小さな薬屋。薬草だけを扱う店もある。

 ミモザはキャメリオット公爵家の息のかかった薬屋には近づかず、小さな薬屋と薬草の店に行った。

 だが、どの店もペルサキス診療所の名前を出すといきなりいぶかしがられて店を追い出された。

 (一体どういう事?もしかしてキャメリオット公爵家が嫌がらせしているとか?まさか…いえ、でもあいつらならやりかねないかも。どうしたらいいの。私のせいで迷惑が掛かる…あっ、でもセルカークが行けば売ってくれるかも、私だから打ってくれなかったのかもしれない。仕方がない。帰ったらセルカークにその事を話して代わりに店に行ってもらうしかないわ)


 ミモザは診療所に帰ると薬屋の一件を話した。

 昼にセルカークが行ってみると言って出かけたがやはり薬屋薬草は売れないと断わられた。

 セルカークとテルヒと3人で困ったと話をする。

 「先生本当にすみません。きっとキャメリオット公爵家に仕業です。あのくそ親父。私が訴えを起こしたから嫌がらせしてるんだわ」

 (ほんとに嫌な奴らだわ!どこまで汚いのよ。まあ、汚い人間はいやらしい考えしか思いつかないんでしょうけど…ほんと、腹が立つ!)

 ミモザは言いながら腹が立って仕方がなく思わず地団太を踏む。


 「ああ…気持ちはわかるが…ミモザさんあまり癇癪を起すと美人が台無しだぞ」

 「だって先生。悔しいじゃないですか。私は何も悪くないのに…先生だって関係ないのに!」

 「ああ、そうかもしれないが…でも困ったな。マクラダを出て郊外に買い付けに行ってみるか」

 セルカークはあくまで冷静に顎に手を当てながら呟く。

 ミモザは驚きながら尋ねた。

 「でも、先生そんな当てがあるんですか?」

 セルカークがテルヒに向かって声をかける。

 「テルヒ、お前んところの旦那の実家が郊外にあったよな?確か麦や野菜を作っていると聞いたが薬草が手に入らないかな?」

 「それはよくわかりませんが、今夜主人に聞いてみます。それに郊外の森に行けばある程度の薬草が手に入るかもしれません」

 「そうだな。ドクダミやオオバコとヨモギくらいはありそうだな」 

 セルカークはにやりとする。

 彼は郊外の森にまで行くつもりらしい。

 

 その翌日テルヒのご主人に手紙を書いてもらって実家を訪ねる事になった。

 薬がないので診療所は休診にしてセルカークが行って来ることになった。

 「先生、気を付けて行って来て下さいよ。私は花やハーブを出来る限り集めておきますから」

 ミモザはマクラダでハーブなどを手に入れるようと考えた。それに他にも考えがあった。

 実は荒れ放題になっている庭を少し手入してハーブや薬草を栽培すればいいのではと。

 (やっぱりお金を貰っておいてよかった。庭はひとりではとても綺麗には出来そうにないから職人に入ってもらって庭を片付けてハーブや薬草の苗木を植えてもらおう。キャメリオット家にもらったお金でハーブや薬草を買うなんていい気分だわ)

 ミモザは自分でもいい考えだとやっと少しだけテンションが上がった。








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