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17あっけなく離縁成立?


 リックは廊下でばったりライオスに会った。

 「キャメリオット公爵令息」

 「あっ、これはペルサキス侯爵家のリック様でしたか?」

 ライオスはいきなり声を掛けられて驚く。あまり見知った間ではない。

 「はい、実は少しお話が…都合が良ければこんな所ではちょっと…ですので執務室に来ていただけますか?」

 リックは政務院の執務室に誘導する。

 ライオスはえっ?と言う顔をしたが政務院の執務官に呼び止められて知らん顔をする人間はまずいない。

 「はい」


 リックはライオスを受け付けの中まで入らせるとミモザ夫人から離縁の申請が出ている事を話す。

 「あいつ…それで離縁なんてできませんよね?そんな事になったら母にどれほどうるさく言われるか‥いえ、離縁してもいいんです。でもまたすぐに再婚の話でうるさく言われる。もう勘弁してほしいんです」

 ライオスは心底そう思っているらしくなおもぶつぶつ言っている。

 「でしたら今ミモザ夫人がこちらにいらっしゃるので話をしたらいかがでしょう?」

 ライオスの顔が固まる。

 「はっ?あいつがここにいるんですか?それを早く言って下さいよ。ええ、話をします。ばかな事はやめろってね」

 「では、話し合いをして頂くようにします。ですが、感情的にはならず冷静に話をして下さい」

 「ええ、あいつに感情的になるほどばかではありませんよ」


 リックはライオスを連れてミモザのいる部屋に入って来た。

 「ライオス…」

 「お前何勝手なことをしてるんだ。離縁が出来ると思ってるのか?お前の実家にはうちが援助してやった恩を忘れたのか?」

 (いきなり感情的になってるのはどっちだ?)とリックは言いたかった。


 「だ、だからずっと我慢して来ました。でも、もう限界です。義理父に乱暴されたんですよ!私はお飾り妻でも良かったんです。でも、もうあの家での生活は耐えられません。離縁しなければ私は心が休まりません。離縁の理由は性行為不能法だそうです。あなたは妻とは夫としての義務を果たせない人ですからね。こんな理由で離縁できるのだったらもっと早く離縁してました」

 「何をふざけてるんだ?」

 そこにリックは説明をする。

 「ライオス様とお呼びしてよろしいですか?」

 「ああ」

 「ライオス様実は夫婦となった場合お互いの相手との性行為が出来ない場合には離縁が成立するのです。あなたはミモザ夫人とは性行為が出来ないとここに書かれています。サインもあなたのものですね?」

 「ああ、俺には愛する女がいるから妻とは無理だ」

 「では、事実と認めるんですね?」

 「だからと言って衣食住はすべて責任を果たしている」

 「ですがそういう法がありますので夫人が不服だと訴えれば離縁は出来るんです」

 「ああ、わかった。もういい!離縁する。お前を妻と思ったことなどない。そうなれば俺はヴィオラと結婚出来る。こうなったら母が何と言おうともう関係ない。ああ、ミモザ。ただし慰謝料は払わないからな。こちらもそこまで譲歩してお前の言うことを聞いたんだ。おい、それでいいな」

 「ええ、今後一切キャメリオット公爵家の方々が私に関わらないって約束してもらえれば慰謝料はいりません」

 「誰が関わるか!」

 「それでは離縁状を持ってまいります」

 「なんだ。手回しがいいんだな」

 「はい。ここで話が成立してすぐに離縁状を書きたいとおっしゃる方が多くて」

 リックは平然とした顔でさらりと言う。

 

 離縁状にふたりでサインを書いて離縁が整った。これは法務院の管轄なので提出もここで済ませた。

 

 「二度と俺の前に顔を出すな。政務補助員はやめてもらう。俺から話をしておく。もう王宮にも顔を出さないでくれ。いいな?」

 ライオスは矢継ぎ早にそう言った。

 「仕事の事は申し訳ありませんが今日限りで辞めるということで、ですが私、クリスト・キャメリオット公爵を訴えますので王宮には参ります。顔を合わせても知らん顔をして頂ければいいですので」

 「はっ?お前父を訴えたのか?知らないからな。どうなっても。あれでも宰相なんだぞ。悪い事は言わない、すぐに訴えを取り下げろ。離縁出来たんだ。いいから黙っていなくなればいいだろう。それがお前の望みなんだろう?」

 「いいえ、私は屈辱を受けたんです。黙ってなんかいられるわけがないでしょう?あなたとはもう赤の他人なのよ。何をしようと私の勝手じゃない。黙るのはそっちよ!いいから黙りなさいよ!」


 ミモザはこんなにあっけなく離縁できるのに今までの我慢は一体何だったのかと腹が立っていた。

 (もっと早く離縁していたらあんな目に合わずに済んだのに。

 あんなに辛い目に合わなくてよかったのに。

 なのにどうして私が?黙っていられるわけがないじゃない!あいつから慰謝料でもふんだくらなきゃやってられないから)

 と言う気持ちが沸々と湧き上がってもう止まらなかった。


 セルカークは隣でふたりの会話を聞いてぷっと噴き出していた。



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