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連休初日とお土産

☆★☆ 明日の予定(父と母) ☆★☆



 4連休を明日に控えた夕食時、


「明日、母さんと新しいソファーを買いに行ってくるよ」


 夕食を囲んで、父がそう宣言した。


「あのソファーはナイちゃんのお部屋になっちゃったからねぇ~」


 母が居間の隅にあるボロソファーを眺めながらも、穏やかに微笑んでいる。


「ついでに母さんと、バイオレンスでサスペンスな映画も観て来るから、明日は各自で昼食を摂るように」


 大型連休後半戦は、ソファーの購入から始まるらしい。



☆★☆ ナイに請求 ☆★☆



「ところでナイ、わたしはキミに損害賠償を請求する」


 突然の父のこのセリフで、僕と澪が固まった。


 ちなみにナイは妹の澪のお膝に顎を乗せて、思いっきり寛いでいる。


 父に指名された事になど、全く気が付いていない。


「なっ、なんで?」


 そんな状況で、父の言葉に妹の澪が驚いている。僕だって驚いてはいるが、ナイに請求するって事は、どうせたかが知れている。


 ナイだけは微動だにせず、目まで閉じてリラックスしているけどね。


「ソファーは中破、スリッパは4足とも完全破壊、春斗のスニーカーも大破、サンダルはまあ損害軽微ではあるが一応被害には会った」


「それは…… 確かにそうなんだけど……」


「だからな、ナイにはいくつか写真を撮影させてもらう。これでチャラだ」


 やっぱりな。写真とかカメラとかは父の趣味だ、自由に撮影するための、なにか理由が欲しかったんだろう。


「な~んだ~ もうびっくりさせないでよねー」


「明日の朝は、どうやら天気も良いらしいから、1年間埃をかぶっていたこの一眼レフ(バズーカ)で、わたしとナイの2ショットと、母さんとナイの2ショット、さらに、家族全員の写真の撮影会を行う」


 どうやら最大の目的は家族の写真か、と察する。


「あらあら、素直にみんなと一緒の写真が欲しいって言えばいいのに~」


 母が少し呆れている。ちなみに僕も母に同意だ。


「それがな、実は言えないんだよ、母さん」


 だが、父は大真面目な表情で言う。


「だって思い出してごらんよ、わたしは……」


 ここで無駄にタメる父。僕にはもう、残念なセリフしか予測できない。




「とっても恥ずかしがり屋さんなんだからねッ!」


 はい、もうどーでもいいでーす。


 と言う訳で、明日の朝は撮影会だ。



☆★☆ 朝のルーティン ☆★☆



 どう言う訳か4連休の初日は撮影会から始まる事になったのだが、当然その前にはすることがあって……


 明け方の4時半、いつものようにナイが僕を起こしに来てくれた。


 初めての朝の散歩以降、これで3日連続だ。


 たった3日で『いつものように』と言うのはちょっと大げさだとは思うけれど、これが毎日続くと僕は予想している。


 ナイは現在、お昼寝だけではなく、夜も居間の秘密基地(ボロソファー)(ナイの部屋と名付けられた)で、独り寝をしている。


 秘密基地をすっかり気に入ってしまったナイの様子に、妹の澪がとうとう一緒に寝るのを諦めてくれたのだ。


 それでも、毎朝自力では降りられない階段をわざわざ登って僕を起こしに来てくれる。


 だから僕は、寝る前には必ず自室のドアを少しだけ開けておいて、ナイがいつでも中に入って来られるように配慮している。


 そしてその結果、今ナイは僕のベッドに潜り込んで来て、丸くなって、目を閉じて…… ん? あれ?


「おい、コラ寝るなナイ! 僕を起こしに来たんじゃないのかよ?」


 ナイは時々予想外な事をするのが面白い。



☆★☆ 僕の朝 ☆★☆



 朝焼けを拝みながら朝の散歩は始まり、約1時間後、太陽が眩しくなった頃に、朝の散歩は終わる。


 ナイの足をウエットティシュで丁寧に拭いた後で僕が着替えをすれば、後はまったりタイムだ。


 最近撮ったスマホの中の写真や動画を確認してみて思う。ナイがうちに来てからこの1週間で随分と増えた。


 しかも、その全ての中心にはナイがいる。


 そして、それ以前の日付の写真など1枚も無い。


「ははっ、変われば変わるもんだな、たった1週間前なのに、もう引き籠っていた頃がずっと昔の事のように思えるなんてな」


 スマホをポケットに仕舞って、ナイをブラッシングしながら独り()ちる。


 分かってもらえなくたっていい、ただ、ナイには感謝しているって事は伝える努力を続ける。ただそれだけだ。


 休日でも平日でも関係ない。僕の朝の時間は全部ナイにあげる。ナイと過ごす。


 夜も早めに寝るようになった僕は、案外健康的になってきたんじゃないかな、と思う。



☆★☆ 全員起床 ☆★☆



 6時半。家族みんなが起きてきて、母が朝食を作り始める。


「休日の6時半に家族みんなが起きているだなんて、なんだか不思議な感じだな」


 父が一眼レフカメラの調整をしながら、誰にともなく話した。


「特に澪がこの時間に起きて来ているなんて、初めてじゃないのか?」


「もー、私だって朝の散歩してみたかったから、4時半には目覚ましかけてたんだからね~」


「はっはっは、4時半に目覚ましをかけて6時半に起きて来るなら、2時半に目覚ましをかければ4時半には起きれるんじゃないか?」


 名案だ! とばかりに父が提案する。


「明日やってみるッ!」


「いや、それ絶対無駄だから、むしろ安心して寝坊するだけだからやめておいて!」


 朝食の後は撮影会だ。



☆★☆ 父の癖 ☆★☆



「午前8時。若干の曇り空。可愛い娘とちょっと不細工な息子。そしてわたしと妻」


 父はナチュラルに人をディスる。今回は僕がターゲットらしい。


「ナイ、私と共にここへ」


 散歩して、ご飯を食べた後の午前8時。


 ナイはメチャメチャ眠そうである。


 3脚でカメラを固定して、セルフタイマーの3秒を正確に把握できる父にとっては、シャッターが切られる瞬間にナイとどのようにフレームに収まるかなど、想像するに容易(やす)い事だと言う。


 ナイを抱いた父は、余裕をもって撮影場所に向かう。


 その途中で


『カシャッ』シャッターが切られた。


 父は、


「ふむ、笑顔がぎこちないから取り直しだな」


 誰も写っていない風景だけのモニターを見てそう呟いた。


「いやいや、誰も写って無いから。全然タイマーに間に合ってなかったからね! むしろぎこちない笑顔の人が見えるなんてそれホラーだから! もう恐怖でしかないからね!」


 どうやら僕も、順調に回復しているのだろう。


 父のボケににツッコむなんて、ホント久しぶりだ。


 父は昔から、変な事ばかり言う癖があるのだ。



☆★☆ 無茶な要求 ☆★☆



 ナイと一緒の写真、父とナイの2ショット以外は、父が『パシャパシャ』と慣れた手つきで撮影した。


 時々


「顔を上げて、テストで0点とった時の晴れやかな気持ちを想像して~」


 とか


「弁当の中に生ピーマンが一個しか入っていなかった時の虚しい気持ちを表情に~」


 などと、意味の分からない表情を要求してくるが、僕らは何度もシャッターを切られて、なんとか父が納得する撮影が終わったようだ。


 そして最後の集合写真。


 父はタイマーは諦めて連続写真インターバルタイマーで勝負をかけた。


「1秒簡に2回、60回30秒の一本勝負で、一気に決めるッ」


 カッコ良さげに吠えているが、結局のところ『60枚も撮れば、1枚くらい良い感じの写真が撮れるだろう』と言う単なる物量作戦。


『パシャ』『パシャ』『パシャ』『パシャ』と切られまくるシャッター音に慣れて来た後半、案外落ち着いた良い写真が撮れたような気がした。


 ただしナイは妹の澪に抱かれたまま、最初から最後まで眠っていた。


 ナイは何もせず、ただ眠っているだけで、損害賠償の負債を全て父に支払った事になる。


 コイツ天才か!?



☆★☆ 宿題 ☆★☆



 ナイがすっかり熟睡モードになってしまった10時頃、父と母は買い物と映画に出かけた。


 せっかくナイが眠っているので僕は、意外と多い連休中の宿題に手をかける事にした。


 一瞬、自分の部屋でやろうかとも思ったが、ナイの寝姿を見ながら宿題するのもまた一興。


 そう考えた僕は、居間に宿題を持って来て、小さなちゃぶ台をナイの方に向けて宿題を始めた。


「私も居間で宿題する~」


 澪も居間で、一緒に宿題をすることになった。


 こんな事、小学校以来かもしれない。


『なんだか懐かしいな』という僕のこの感覚も、ナイがもたらしてくれたものだ。


 ナイは存在するだけで、例え眠っていても僕に、僕たちに癒しをもたらしてくれる。



☆★☆ 妹の笑顔 ☆★☆



 澪のスマホが震えた。


 どうやら誰かからメッセージが届いたようだ。


「あ、1時頃鈴ちゃんが遊びに来るって、おにいお昼ご飯どうする?」


 いつの間にか12時になっていた。


「そうだな…… インスタントラーメンと冷凍餃子、かな?」


 確か冷凍庫に餃子があったはず。


「澪も食うか? どうせ手間は変わらんから2人分作るよ。どう?」


「えへへ~ おにいありがとー」


 澪のこんな笑顔を見るのも久しぶりだな。


 僕は最近、毎日のように大切な何かを取り戻し続けている。



☆★☆ お願い ☆★☆



『ピンポーン♪』


 来客を告げる呼び鈴が鳴り、澪が鈴ちゃんを迎えに行った。


 僕はこの呼び鈴で起こされた仔犬のナイに、水とドッグフードを準備する。


「さて」


 妹のお友達の来訪に、居心地の悪さを感じる性質(たち)の僕は2階に退散する…… つもりだったが。


「おにい…… 数学だけでいいから宿題の面倒を見てくれない?」


「春斗先輩すみません。私たち数学は2人とも苦手」


「お願い」


 澪のみならず鈴ちゃんにまで頼まれて、僕は2人の宿題の面倒を見る事になった。



☆★☆ 応援したい ☆★☆


 

「連立方程式か~ 懐かしいなぁ」


「この『代入法』と『加減法』ってどっちでやったらいいのかな?」


「基本的には得意な方でやっていいと思うけど、どっちでも出来るようになった方が答えに詰まった時に結構助かるよ」


「わかった。どっちでも出来るように頑張る」


「たまに『加減法』で解け、みたいな問題が出て、途中式を求められることもあった気がするから気を付けてね」


「お~流石おにい、こりゃ頑張らなきゃね」


 黙々と宿題を攻略する2人の中二女子。


 何となく僕も、自分の宿題を一緒の空間で解いている。


 そんな中、鈴ちゃんが澪にではなく、僕に話しかけて来た。


「ところで明日、市民マラソン大会。春斗先輩、応援に来てくれませんか?」


 ん? 市民マラソン?


 GWのこの時期に毎年やってるのは知ってるけれど、実は今まで一度も興味を持った事すらなかった。


「え? 鈴ちゃんってマラソン大会に出るの?」


 あんな面倒なものに? とは思っても一応口には出さない。


 聞けば鈴ちゃんは小学校の頃からこの市民マラソン(10Km)には毎年出ていて、上位の常連さんなんだったとか。


 去年はハーフマラソン(約21Km)に挑戦したけど不本意な成績に終わり、今年はリベンジに燃えているらしい。


「女子のハーフは8時スタート。10時までには絶対にゴールする」


 ここまで話を聞いてしまったのならば、僕は見に行ってみたいと興味が湧いた。


 それに、鈴ちゃんを応援してあげたい。と素直に思った。


「応援したい。ぜひ応援させてよ」


 思わず前のめりになってしまった僕の答えに、鈴ちゃんが破願した。


 この時の鈴ちゃんの笑顔は、妹の笑顔とはまた違った意味で、僕にはとても魅力的に見えた。



☆★☆ じゃあまたね ☆★☆



 結局僕は居心地の悪さを感じる事も無く、妹の友達の鈴ちゃんとも一緒に、ずっと居間で過ごしていた。


 時々ナイが構って欲しがって邪魔しに来る事で、(かえ)って間を持つことが出来たのだと思う。


 もちろん鈴ちゃんも、僕と一緒な事で居心地が悪いなんてことも無かった様子で、僕は数学だけじゃなくて、理科や社会科なんかの宿題も見てあげてしまっていた。


 そしていよいよ午後の散歩の時間だ。


 昨日のように、散歩の最後に橋の袂でバイバイするそうなので、持ってきた荷物は全部カバンに入れて出発する鈴ちゃん。


「じゃあまたね」


 けれども、僕の別れのあいさつに、何故か首をひねる鈴ちゃん。


「え?」


 あれ? 僕なんかおかしな事でも言ったかな?


「何言ってんの? おにいも一緒に来るんだよ」


 妹の言葉に、今度は僕が首をひねる。


「あれ?」


 すると鈴ちゃんは僕に


「ケモ兄からぶんどって来た。一緒にやろう」


 昨日鉄也くんが買った小さめのフリスビーを見せて


「春斗先輩と一緒に写った写真も欲しい。澪ちゃんお願い」


「任せて!」


 ここまで言われてしまっては、断るのも野暮と言うものだろう。


「わかった。お供いたしますよ。喜んで」


 今日も一緒に午後の散歩だ。



☆★☆ 偶然の遭遇 ☆★☆



「あいつ、やっぱりいた……」


 散歩中、いつもの原っぱに降り立った僕たちを待ち構えていたのは鉄也くんだ。


 鈴ちゃんは予測していた様子で、ちょっとげんなりとしていた。


「よう、偶然だなあ、何となくここいらを彷徨(さまよ)ってたらよ、なんと丁度お前らが来てビックリしたぜ」


「偶然に遭遇するシチュエーションだね、わざわざありがとう」


 僕の反応に首を傾げる鉄也くん。傾げた首の角度がさっきの鈴ちゃんとそっくりで、僕はそれがツボにはまった。


「ぷっ、アハハハハ」


「なにが面白いのか知んないけどさ、お前の『ありがとう』もちょっと面白いぜ?」


「え? どこが?」


「それよりも鈴、てめえ俺のフリスビー持っていきやがったな?」


 僕の『ありがとう』のどこが面白かったのかを聞く間もなく、話題はすっ飛んでいった。


「落ちていたのを拾っただけ。感謝されこそすれ怒られる(いわ)れはない」


「そうか、よしっ! ナイおいで、モフりますよ~」


 あ、少しだけわかった。鉄也くんって『自由人』なんだ……


 今日は最上さんこそ一緒じゃないけど、昨日のように賑やかな午後の散歩を楽しんだのであった。



☆★☆ 親が買って来た物 ☆★☆



 夕方、両親が買い物と映画から帰って来た。


「お土産がたくさんあるぞ~」


 そう言って父と母は、大きな紙袋とレジ袋を3つ、4つと家の中に運び込んで来た。


 その、ガサガサと音がする袋につられてナイもやって来る。


 たくさんのお土産の袋の匂いを嗅いで、どうやら楽しんでいるようだ。


「まずは春斗に新しいタオルケット。それから澪には新しいパジャマだ。柄は母さんが選んだんだからな、父さんを責めないように」


 ナイの寝床の為に提供したタオルケットとパジャマを早速補充してくれるなんて、流石は親だな。


 僕は感心したが、新しいパジャマを見た澪は固まっていた。


「お、お母さん? ううん、大丈夫、私これちゃんと着るから、落ち込まなくていいからね?」


 うん、僕でも思う。中二女子にこれは派手だな。


「あらあら、慰めなくても大丈夫よ~、これ選んだの、本当はお父さんだから~」


 真っ赤な生地にエレガントな花柄で大人っぽいのかなとは思うけれど、生地が目に痛いほどの赤だ。


「赤って、犬にとっては見えにくい色らしいから、ナイに気付かれなくても落ち込まないでね」


「なにッ! そうだったのか春斗!」



☆★☆ ナイへのお土産 ☆★☆



「実はな、ナイにも買って来たものがある。見てくれ」


 あっさりと気を取り直した父が次に出して来たのは、(まさ)しくナイの為の物だった。


「まずは犬用のTシャツだ。忠臣くんのお店で忠臣くんに選んでもらったものだから、これは間違いはないだろう」


 そう言って広げたのは春夏用のロゴ入りTシャツが2枚、水色とうす紫の2色で同柄。これはちゃんと可愛い。


「うっわ、可愛い~」


「どうやら家の中で着せる物ではないらしい。散歩用と言うか外出用だな」


 ナイも興味を惹かれたのか早速匂いを嗅いでいる。


 そしてパジャマの時とは全然違う反応に喜ぶ父。


「さらに犬用のズックだ。これも忠臣くんに選んでもらってな、夏のアスファルトの高熱から肉球を守るマストアイテムだそうだ」


「白系か、ナイに似合いそうだな、流石は忠臣さんだ」

「いいじゃん、凄く可愛いー」


 ナイの足元に当てて確認する澪。ナイも『何事か?』と、白いズックを口でくわえようとしている。


「使うのは夏まで待つんだぞ? 普段は直接地面を歩いた方が犬の為にも良いそうだからな」


 炎天下限定グッズか。


「そして今度は雨対応、犬用と人間用のお揃いの雨合羽…… どうだッ!」


「おお~~!? すげぇ。こっちは黒系なんだね、と言うかお揃いなんて売ってるの?」

「お父さんやるじゃん、雨の日の散歩もこれで大丈夫ね」


 父の気分も相当上がってきた様子。


「実はお揃いではない。犬用の合羽の色に合わせて買った別物なんだ」


 犬用は忠臣さんの店で、人間用はホームセンターで買ったらしい。


「それでも色が揃ってるからかな? なんか嬉しいね」

「ああ、雨が待ち遠しいって気がするよ」


 炎天下に雨、父も母も結構ナイの事考えてくれてるんだな~。


「で、次で最後だ」


 父が最後に紙袋から出したのは


「お、ハーネス!?」


 僕が、いつかは欲しいと思っていたアイテムだった。


「首輪にリードよりかはハーネスの方がナイに負担をかけないし、何より安全に散歩が出来ると思ってな、まあ全部忠臣くんの受け売りなんだが」


 僕はそのハーネスを袋から出して手に取ってみた。


 黒地に水色の反射素材がふんだんに使われている8の字型。


 工程は2つで、頭からくぐって簡単に付けられるタイプだ。


 サイズ調整も可能で、小型から小さめの中型犬まで対応しているようだ。


 早速ナイに付けてみたいと思った僕だが、ナイが勘違いしたら困るな、と思い直して、明日の朝まで待つ事にした。


「お父さんったら、ナイのお買い物は最初っから最後までぜ~んぶ、忠臣くんに丸投げしてたのよ~」


「だからパジャマ以外はセンスが良いのか~」


 母と澪のやり取りに、僕たちは笑った。


 ナイは新しい物がたくさん増えた為か、(せわ)しなくも楽し気に、匂いを嗅ぎ続けている。





 5月3日。





 4連休の初日は、たった1日だけでも、こんなに楽しくて、嬉しい事ばかりだった。






 ソファーは後日届きます。

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