「親」
誰かが、「親は子を何よりも大切に想っている―」なんてことを、言っていた。
「嘘だろ」と思った。「そんなの、ただの綺麗ごとでしょ」って。
本当に、すべての親がそんな風に思っているなら、何故「親が幼い子供を虐待して、殺した」なんてニュースが道端に転がっているのだろうか―?
本当に、何より大切に想っているなら、子供がどうやったら幸せになれるか、って、踏みとどまって考えればいいのに。
本当に子供のことを一番に思っているなら、子供の意見や好きなことは、尊重すべきだし、それが一番、子供が幸せになれる道に決まってるのに。
「苦労させたくない」だって?苦労なんて、すればいい。苦しいことや悲しいことを乗り越えれば乗り越えるだけ、必ず強くなれるんだから。それが一周回って、自分のためになるんだから。
結局自分の利益や、世間体ばかり考えているから。「子供のため」なんて当たり障りのいい言葉を使って、子供がいい大学に入った、とか、大企業で働いてる、とか。そんな肩書みたいなものを手に入れたいだけなの。
だから、私は—―母のことが、嫌いだ。
「ねえ、お母さん……」
母が、口角をさっきよりも上げて、夢に出てきた「お姉ちゃん」みたいに笑った。
言いようのない恐怖に煽られ、両手を握り締めた。
「なに……?」
そう返す母の目を縋るように見つめ、言った―
「お母さんが――お姉ちゃんを、殺したの―?」




