第七話
第七話
ピピピ……ピピピ……ピピピ……
早朝。昨日とは違い、しっかりと仕事をしてくれた目覚まし時計のアラームを俺は止めてから目を覚ます。
今日に関して言えば『絶対に』寝坊をする訳には行かない事情があるからだ。
「ふぁ……一緒に登校しないか?なんて誘っておきながら、寝坊なんかしたら百合香に失礼すぎるからな」
軽く欠伸を一つして、俺はベッドから身体を出す。
四月上旬はまだまだ寒い。だが、この寒さが目を覚ます役割をしてくれていると思っている。
『明日は一緒に登校しないか?』
なんてメッセージを彼女に送ったのは昨晩のこと。
去年は一度もそんなことはしなかった。
だが、今年は違う。
『拓也くんがそんな提案をしてくるなんて珍しいわね。あはは。リア充になりたくなったのかしら?』
『そうだな。百合香みたいな可愛い女の子と登校出来るのはリア充だよな』
『そうよ。幸せをかみ締めなさいよね!!』
そんなメッセージを送りあったあと、俺が彼女の家に迎えに行くことで合意した。
「少なくとも……嫌われてるとは思ってない。百合香と一番仲がいい異性である。という自負もある。そうだよな、少しは自分で行動しないとダメだよな」
俺は小さくそう呟いて、顔を洗うために洗面所へと足を運んだ。
顔を洗い少しだけ眠気の残る頭を完璧に覚ました後に、台所へと向かう。
冷蔵庫から冷えた牛乳とマーガリンを取り出してテーブルの上に置く。
そして、食パンを二枚トースターにセットした後に、食器棚からコップを取りだして冷えた牛乳を注いでいく。
焼けたトーストと牛乳が今日の朝ごはんかな。
1LDKのマンションの一室に俺は住んでいる。
定期的に親がキチンと生活が出来ているかを確認しに来るので、掃除や洗濯などはこまめにするようにしている。
ただ、どうしても自炊だけは上手く出来ないので、食べるものには苦労してしまう。
時間の無い朝はシリアルやトーストだけになってしまうことも少なくないが、最近ではコンビニで栄養バランスを考えた食事なども取れるから、そういうのを活用して健康的な食生活を意識してはいる。
まぁ、その分お金がかかってしまうのは仕方ないけど。
とりあえず、親からは家賃とは別に十万円が毎月振り込まれてくる。
これが水道光熱費と食費とお小遣いになる。
最近は電気代がすごく高くなってきたので、ある意味死活問題だ。なんとかして欲しいなと思ってしまうな。
そんなことを考えていると、トーストが出来上がったようだった。
テレビをつけて朝のニュースを見ながら焼けたトーストにマーガリンを塗っていく。
すると、女性のキャスターさんがいつものように朝の占いコーナーを担当していた。
『本日の占いのコーナーです』
『本日の最下位は11月生まれの方です』
「……マジかよ。そこまで占いを信じるわけじゃないけど、最下位だと言われるのは気分が悪いな」
自分は11月生まれのさそり座だ。
占いの内容に一喜一憂する訳では無いけど、流石に最下位だと言われると萎える部分もある。
『今日は間の悪さに悩まされる日になりそうです。辛抱強く過ごすことをオススメします』
「間の悪さ……ね」
とりあえず言われたことには気をつけるようにしよう。
そして、トーストを食べ終わった俺はテレビを消した後に洗面所へと向かい、歯を磨いた後にヘアワックスで軽く髪型を整える。
百合香の隣に居るのに寝癖の着いた頭では恥ずかしいからな。
身支度を整えたあと、制服に袖を通して昨日のうちに準備を整えておいたカバンを手にする。
今日から授業が始まるから、それに合わせて教科書とノートを入れてある。
登校のための準備を終えた俺は、玄関へと向かって革靴を履いたあと、そのまま家の外へと出て行った。
「今日も晴れてくれて良かったな」
昨日は結局雨は降らなかった。まぁ天気予報が外れることなんて普通にあるからな。
そんなことを考えながら階段を降りていき、駐輪場へと向かう。そこで自分の自転車のロックを外したあとに自転車に跨り、百合香へ家へと漕いで行った。
俺の家から彼女の家までは、自転車で二十分程の距離にある。
学区が違ったので小学校と中学校は別だった。
意外と近い場所に住んでいることには驚いたけど。
それだけ近ければ、小さい頃に会っていたりもしそうだったが、そういったことは無かった。
そして、自転車を走らせて二十分ほどで予定通り百合香の家へとやって来た。




