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Sエリアの住人  作者: ネクタイ
3/5

第3章 檻越し

お茶会から帰ると、行儀よく寝ている彼が檻の中にいた。

吠えることはない。私の帰宅音をよく理解しているからだ。

「ただいま。」

ようやく声をかけた私に、リーンと鳴いて体を起こす。

上目遣いが愛らしい。これはヒトケタにもよく売れるだろう。

でも今は、こいつにいくらの値がついてもどうでもよかった。




あれから調教は順調に進み、完璧なまでの『✕✕』が出来上がった。愛らしい仕草、鈴のような鳴き声、従順な姿勢。こいつをどう使おうとヒトケタの勝手なのに。


「お前はいい子に育ったなぁ。」


リーン、リーン。


「明日だってよ、品評会。」


リーン、リーン。


「私も明日までってことだ。」


リーン、リーン。


「大丈夫だって、お前は新しい飼い主のもとで幸せになれる。」


ピタッと鈴の音が止まる。



檻越しに無音が流れていた。


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