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91 交差する想いの行方


家出騒ぎの後、数日が経過した頃。


ウィルが、話があるといい王都が一望出来る丘に連れて行かれた。


そこは、ガロとよく来た丘でガロとの契約を解除した場所でもある。


何で、ココに?と不思議だった。

黙ってるウィルに


「なんで、ココに連れて来たの?」


そう聞くとベンチに促され二人で座る。

そして静かに語り出した。


「ローズ。

僕ね、影を番犬を消そうと思ってる。

もう、僕が最後だよ。

これからは、必要のない国にする。



遥か昔、僕たち兄弟が君だけに背負わせた過ちを正す。


僕の代わりに君を逝かせた。

なんで、君が身代わりに逝く事を想像出来なかったのか後悔しか残らなかった。


思い出してしまったんだ。

僕が、初代が君を失った理由をね。


僕が背負って死ぬはずだった。

弟に王を託して、君が幸せになる国を創る為に。


明確な善と悪を作り出す為に僕が悪になるはずだった。


なのに、君は全てを自分一人で被った。

精霊王の力を借りて一人で、僕の身代わりになってね。

止めに入った。僕の役目だとね。

僕に殺せって酷い事を君は強いたんだ。

僕も一緒に死のうと思ったのに、散々暴れて女神の楽園を作れって。


この国は、君を失った僕が創った国だ。

当初は、神が治める国だったんだよ。

そして平和を保った。

善と悪が明確に定められた国。

悪は神が裁く。


悪の象徴が君だ。


弟は、結果的に精霊王の力を無くし

こんなのは違うと絶望したよ。

妹を犠牲にして出来た国は嫌だと。

だから、僕は国を半分に分けて弟に秩序が保たれてる内に自分の望む国を創れと言った。

今の様な国だよ。

弟の国は、神なき国。

影が必要になった。

結局は犠牲が必要だった。

今と同じだ。


本当は、君がした事は僕の役割りだ。

良かれと思ったのに、間違えた。


国を二つに分けたのも過ちだ。


そして、どうなったんだろうね。

長い年月が経って、今の国は一つになったけど僕が創った国じゃない。


君を犠牲にしてまで創った楽園。


君が望んだ楽園だ。

いや、弟の夢の楽園を叶えてやりたい君が望んだ楽園。


この国は、そうやって出来たんだ。


女神が守護する国。

王は女神と契約した、謂わば神だ。


明確な善と悪を作り出し、悪は裁く。

王は、神が定めし悪を裁くんだ。

罪の意識は芽生えない。

そうして、誰も犠牲にならない楽園を創った。


全ての者の導き手は神なのだから。

神の教えだよ。

善と悪の明確性だ。

王の裁きは、神の裁き。

今後の王も、裁きに対する罪の意識が消える。


ココへ精霊王が君を連れて来てたのは偶然なのか?

この場所は、遥か昔に僕たちが夢を語った場所だ。

弟の理想を叶える為に、僕と君は良くココで話した。


どうしたら、平和になるのか?

弱き者が泣かなくてよい世界。


人間は、綺麗な者だけではない。

皆が綺麗な幸せを求めれば追求すれば簡単なのに、邪悪な幸せを求める者は後を断たない。

綺麗事だけでは、どうにもならなかった。

手を汚しても汚しても闇が生まれる。

誰かが、ずっと手を汚して保たなばいけないのかってね。


そして、善と悪の定義を作ってしまえばよいと考えたんだ。


管理と言えば管理だ。

支配と言えば支配だ。


けれど、同じ人間てはなく

それが神なら楽園だ。


僕と君は、そう考えた。


僕は君に話さなかったのにな。

悪を刻み付ける役目が必要な事を。


君は、遥か昔も賢かったね。


そして、今も賢い。


ちょっと混乱してるよ。

遥か昔々の記憶を思い出して、今の僕と同化する。どっちの考えで、どっちの感情だってね。


君も、あの頃は葛藤してたね。

今なら本当の意味で気持ちが分かるよ。


影や番犬を継承したくないのは今の僕の気持ち。

過去に君と選んだ楽園に戻したいと望んでる過去の気持ち。


色んな想いが駆け巡るよ。」



ウィルの長い話が、一旦終わる。

未だ、迷ってるのだろう。


「ねぇ〜。ウィル。

私が、前世の麗奈と今のローズマリーとで悩んでしまった時に貴方は言ってくれたのよ。


麗奈でもローズマリーでも、僕は君を愛しているって。

葛藤してる私ごと、まるッと受け入れてくれた。

とっても嬉しかったわ。


だから、私も同じよ。

今を生きるって事は変わらない。

記憶は情報に過ぎないわ。


確かに私も遥か昔々の魂に刻まれた感情の様な片鱗を感じたわ。そして、今度は間違えないって想いが強く支配するのよ。

だから、ウィルが完全に記憶を思い出したと言うのだから私なんかより強烈なんだと思うの。


でもね、私たちはローズマリーとウィリアムよ。

話を聞いてて思ったのよ。


私たちは、神に仕組まれてココに居るんだわ。

異世界転生は、ただの序章だったわ。

ってより、ついでにエリアーナに気付きを与えさせる為でもあった気もするけど。


私が、この世界に転生した本来の意味は私達の想い残しの消化なのよね。

学びと気付きかも知れないけどね。


流石は、神ね。


今の話を聞いて魂に刻まれた過去の話は分かったわ。

でね、私達はミスリードしてる気がする。


国とか民とか関係ないのよ。

本質は、別だわ。


私たちって、自分が賢いと過信してる。

馬鹿なのよ。大馬鹿。

何千年何万年の時を超えても気付かない。


やっと気付けそうだわ。


遥か昔々の私達の過ちはね。下の兄に何も聞かなかった事よ。

勝手に二人で決めたんでしょ?


今も同じよね。

いつもサイラスは聞かされない。

私達二人が、勝手にサイラスの気持ちを汲んでしまう。

それは、サイラスの想いと違うかも知れないのに。


勝手に決めつけてるって事よね。

まぁ〜、サイラスもサイラスで甘えてる所はあると思うけどね。


大きく全体で捉えると、足元が見えなくなる。

足元ばかり見てたら全体が見えない。

人間って偏りがちよね?


ただの平民に生まれたら、もっと簡単だったのにね。


今度は、間違えたくないなら

サイラスも混ぜて考えよ。


そして、三人が納得する答えを見つけよう。」



そう言って笑顔でウィルを見ると

ウィルは、困った様な苦笑いをして答える。


「ローズ。君が居てくれて僕は幸せだよ。

本当に僕は馬鹿だね。成長してない。


勝手に決めたり、勝手に背負ったり

自分勝手なダメな男だね。


自分の不甲斐なさを思い知るよ。


女神も同席して貰おう。

サイラスと話そ。

僕の本心を伝えるよ。

そしてサイラスの本心も聞く。


また、君を巻き込むね。

君の本心は、何処にある?」


そう聞かれて思っている本心を伝える。



「私はね〜。

異世界から、この世界へ転生して。向こうの国とは形態が違う訳で階級制度は堅苦しかったわ。

それを、壊して民衆の自由な国を創ったとして本当の意味で平和かと聞かれると疑問しかない。


だって、偽りの平和な様な気がして。

あからさまな差別はないけど、差別は存在する。

一件、平和そうに見えて争いがあるし、何処かで貧困は生まれる。


この国の様にね。

悪人は生まれるのよ。どの世界もね。

そして普通の人でさえ、知らず知らずに人を蹴落として傷つけてたりするの間接的にね。


平和って何かしら?


ぶっちゃけ、知らないわ。国の在り方なんて。

与えられた環境と能力で、自分の幸せを追求するのが関の山。


だって、皆が平均になる訳無いじゃない?

それにね、世の中は常に動いて流れてる。

いつの時代も、皆と違う者が世界を変えるのよ。


異端児よね。

遥か遠い昔のウィルの前世さんが、世界を変えたように。


私は、毎日ウィルと楽しく笑って過ごしていたいだけよ。

他は知らないわ。


ウィルが決めた事を受け入れて、その中で楽しむのよ。それだけ。」


丸投げのような回答だった。

だって本心だから、国も民も知らない。

私は、ウィルが隣にいる世界が全て。


「そっか。

僕も、君と楽しく過ごせれば良いよ。

単純でいいんだよな。


どんな国でも、君となら楽しめそうだし。

ウィリアムとしての僕は、王じゃない。


ただ、僕は番犬を継承したくないだけだ。

それに、今の番犬達を解放してやりたい。

普通の民に戻してあげたいよ。


さっ、サイラスの所に行こう。」



そう言って立ち上がり手を差し出してくるウィル。

私は、その手を取り立ち上がる。



二人で王都を一望してから、城に転移した。





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