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76 苛立ちは愛の裏返し


2日後、サイラスが突然

家に押し掛けてきた。


めちゃくちゃ、怒りを滲ませて。


玄関ホールから怒鳴る様に叫ぶサイラス


「兄貴!ローズマリー!

居るんだろっ!


出て来い!」


騒がしさで、部屋から出ると

サイラスの怒鳴り声が聞こえた。


ウィルが、ヤレヤレと肩を竦めながら

玄関ホールへ急ぐ。私も後を追う。


「なんだ。

怒鳴らなくても、普通に出てくるよ。


そんなに怒って、どうした?

しかも、王太子が自ら来るな。

用があるなら、呼び付けろ。」


呆れた様にウィルが言うと


「どうしただ?


勝手に動いたな!

兄貴は俺に、一緒に考えて決めるって言ったよな!


俺に焦るなって言っただろ?


俺は何も聞いてない。

なんでなんだよ!


なんで、そうやって背負う事ばっかやるんだよ。



ローズマリー、オマエもだ!


なんで止めなかった。

なんでだ!


クソっ。


俺にも背負わせろよ!

ずっと、俺はガキ扱いかよ。」



怒鳴り散らすサイラスにウィルが


「子供達が、驚いてるだろう。

少し黙れっ。

こっちに来い。」


そう静かに、それでいて怒りの籠った低い声で

サイラスの腕を掴んで引っ張って行く。


子供達には聞かせたく無かったのだろう。


私は、家族達に心配するなと声を掛けてから

二人の後に続いた。


書斎に入り、防音の結界を張る。

ハーブティーを入れて、テーブルへ運ぶ。



イライラ顔のサイラスに


「まったく、子供扱いされて当然だ。

いきなり来て玄関ホールで怒鳴り散らす大人が居るか?


ウチの子供達の方がよっぽど大人だ。


王太子の自覚を持て。

ノアとレオは、どうした?


頭に血が登って、感情のままに転移してきたか。


とりあえず、ハーブティーでも飲んで落ち着け!」



ウィルも珍しく、怒って居る。


「落ち着いてられるか!

いつも、そうだ。

俺を置いて、さっさとやっちまう。

俺が気付くのは、いつだって事が終わった後だ。


いつだって、俺は置いてけぼりだ。


俺は、何なんだよっ!」


未だ、怒りが収まらないサイラスに

ウィルは大きな溜息をついて


「オマエは、王太子だ!


次期、国王だ!


いいか、俺はもう王子じゃない。

ただのコマだ。

そして、オマエの目指す国の為に動く影なんだ。


王太子は、自ら動く事はしない。

誰かにやらせるんだ。

俺の様な、ただのコマを動かせ。

オマエの為に動きたいと思うコマを増やせ。


オマエは輝いていろ。

眩しいくらいに光り輝いてろ。


理想を描き続けろ。


民の導き手は、光で有れば良い。


オマエが遣り易くなるんだ。

文句を言われる筋合いは無い!


オマエが描いた未来の為に邪魔な奴らを消した。

それだけだろ。


俺は、好き好んで奴らを消した。

オマエの命を狙った報いだ。

俺の大事な者を亡き者にするなんて

死にたかったんだろうよ。


何も文句は言わせない。

サイラス!


グダグダ喚くな。

俺の愛は歪んでるんだろうよ。

だけど、それが俺だ。


オマエが幾ら、俺に背負わせたく無いなんて

綺麗事を、ほざいても

俺は、俺の遣り方で、これからもやる。


諦めろ。


いつまでも、幻想の中の俺に夢を見るな!」



こんな口の悪いウィルを初めて見た。

それはサイラスもだろう。


黙って俯いてしまった。



「ウィル。

そんな口の悪い貴方もワイルドでカッコいいけど

サイラスがビックリして黙っちゃったわよ。

少し、冷静にね。


で、サイラス。

私はね、これからも止めないわよ。

ウィルの行動理念を理解してるから。


サイラスがウィルを尊敬してて大好きなのは分かってるわ。


けど、愛してるなら、サイラスの理想を押し付けてはいけないわ。


ウィルはウィルなりに貴方を愛してるのよ。

弟が暗殺されそうになったの。

そりゃ憎いと思うでしょ?


たまたま運が良かっただけで

死んでたかも知れないのよ?


私だってそうよ。

サイラスは大事な家族なの。

やられたから、やり返しただけよ。


単純なの。

計算では無い本心なの。


結果的に、貴方の目指す理想を邪魔する者が消えただけなのよ。



分かったら、仲直りしてよね。」



そう2人に言って、ハーブティーを飲んだ。

あとは知らないと言うばかりに


ウィルが口を開く。


「悪かった。言い過ぎた。


今日は、サイラスが悪いぞ。

子供達に、まだ聞かせたく無かった。


アイツら本当の子供みたいに可愛いんだ。

まだ、情報操作や流れを作る様な綺麗な仕事しか見せてない。


時間を掛けて影は、流れを作るだけの世の中になってくれたら

アイツらが大人になった時、汚れた仕事はしなくていいんだ。



ペラペラと誰が聞いてるか分からないんだぞ。

無闇矢鱈に言葉にするな。


もっと王家の自覚を持て。


その為に、魔導師も付けただろ


子供扱いされたく無かったら

そこから直せ。


大人にならないなら

黙って、甘やかされてろ俺に。」



うわぁ〜

仲直りする気ある?


ウィルも、今日は充分 大人気ないけどね。



「あ〜。

悪かったよ。


ガキなんだもんな俺は。

ガキ扱いされて当然だ。


クソが。

俺が兄貴を買い被り過ぎただけかもな。


大事な子供達が手を汚さない世の中にすれば良いんだよな。


だったら、ガキで居てやるよ。

兄貴が俺を、どんどん甘やかせ。


俺の為に、汚ねぇ仕事やれよ。

子供達の為にもな。


でも、覚えてろよ。

兄貴が手を汚す度に俺も背負うからな。


それでも理想郷を叫んでやる。

完璧に輝いてやるよ。

虚像の光とやらになってやる。


それにな、ガキだから

ムカついたら、言いにくるぞ何度でも

その度に、俺を甘やかせよ。

俺の心の叫びを聞けよ。

兄貴が俺を受け止めるんだ。

俺も歪んでるからな!

覚悟しろ。


分かったなっ。」


どっちもどっちだ。

サイラスも、めちゃくちゃだ。



「はいはい。」


そう言ってウィルは立ち上がり

サイラスの元へ行き大きく包み込むように抱き締めて


「憎たらしいくらい可愛いなオマエは。」


ヨシヨシヨシと犬と戯れ合うようにサイラスに絡む。


冷静に見てると、ヤバい奴らだ。

でも、似た者同士なのだ。


側から見たら、私の愛もヤバいのだ。


「ちょっと、そこ!

イチャイチャしない。


仲直りしろって言っただけで

イチャイチャしろなんて言ってないからね。」


呆れてると

ドアがドンドンと大きな音を立てた。


結界を解くと、大きな音と共に

レオが傾れ込む様に入ってきた。


「サイラス!

いきなり出て行くな。

何処か行く時は言ってからにしろ


まったく、ノアに俺が嫌味を言われたんだぞ。

忌々しい。ノアも同罪なのに。」


そのなレオにサイラスは、ウィルと戯れながら


「おい、兄上の友だからと

レオもノアも、俺に敬意がなさ過ぎる。

もっと、労われ。」


そしてウィルも


「そうだぞ。

可愛いサイラスを労われ。


お前達の失態をサイラスのせいにするな。」



レオが可哀想すぎるだろ。


レオに憐れみの顔を向けると、レオもヤレヤレと言った顔を向けてきた。


(諦めよう)そう目で会話した。



そしてウィルに


「そこっ!

目で会話するな。


妬けるだろ。」



オマエもイチャつくなって顔でウィルにプリプリ怒った顔を向ければ


ウィルが、慌てて私の方に来る。


「ごめん。調子に乗った。」



もう、カオスだ。










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