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74 決行の日は淡々と


サイラスの暗殺未遂の一報を受けた日に

ウィルは国王へ、抹殺の許可を得に行った。


国王は、やり過ぎでは無いかと最初は諌めたらしいが、城の警備に注意を払わなかった結果だと吐き捨て

サイラスを暗殺しようとするのは、遣り過ぎでは無いのか?と喰って掛かったらしい。

ウィルの、怒りに押された形になった様だ。


それから、ノアとレオに鼠の確保と至急にサイラス専属の魔導師を付けろと指示を出した。



ベルナルドの仕事は、やはり素早く

相当な隠し財産の在処を突き止めていた。


居住区には、それほど金は置いてなかったらしい。


兄の結婚式も終わった。

そろそろ決行の時だ。



ノワール邸の書斎にて

担当の屋敷の割り当てを確認する。


万が一の為に、通信機の魔道具を耳にセットする。


「一発で決めろ。

一瞬で終わらせる。

万が一、魔力不足で動けなくなったり

一発で仕留められなかったら

連絡して助けを求めろ

分かったな。

僕達は一心同体だ。


今の時点で、魔力量に不安がある者は?

正直に言え。


先にカバーする想定もしておきたい。」



そう言って

ウィルが、集まった番犬を真っ直ぐ見据えた。

続けて



「すまない。

皆が、転移魔法が使える前提で計画してしまった。


主として、僕も完璧では無い。

転移出来ない者をカバーしながらの魔法使用になる。

それを含めて魔力量は大丈夫か?


僕とローズが魔力量でカバー出来る。

無理はするなよ。」


ウィルが計画の不手際を詫びる。

すると数人が、転移魔法を他の者の移動の往復などを考えるとギリギリかもしれないと言った。


「分かった。

ローズは、大丈夫だろ?」


ウィルが聞いてくる。


「あら。私は神の加護を持つ規格外よ。

魔力量は、凄まじくてよ。

最悪、ガロに頼むわ。」


そう言うと、ウィルが嫌な顔をした。


「精霊王の力は借りたくないな。

僕がカバーする。


じゃー、ギリギリそうな奴は

無理せず、ダメなら直ぐに通信機で連絡しろ。


魔力を使い果たして、命を落とす事は許さないからな。


それじゃ。

決行は、深夜3時だ。


それまで、各々ゆっくり屋敷で寛げ。」



そう言うとベルナルドを先頭に部屋から出て行った。



「ローズ。

君が、不味い状況の時は精霊王に助けを求めるのは良いけど…


誰かの為に、助けは呼ぶな。

僕に助けを求めて。


精霊王を呼ぶのは、最悪の時だけにしてくれ。


僕の我儘だけど、嫌なんだ。

ローズマリーの人生が終わるまで

会わせたくない。


僕の独占欲を満たしてよ。」


ガロの名を出しただけで、あからさまに嫌な顔をしたのが分かった。

私も口に出して後悔したのだ。


「ごめん。ウィル…。


こんな日に、嫌な想いさせてしまったわね。

呼ばないわ。会わない。


私が、危ない時はウィルが助けに来て。」


そう言った私をウィルは抱き締める。


「大人気ないのは分かってる。

ローズの前ではガキでごめんね。


精霊王の名を聞くだけで嫉妬する。

苦しくなる。


契約が君の魂と精霊王の魂の結び付きだ。

ずっと繋がってると思うと


堪らなく、悔しくて羨ましくて

狂いそうになる。


ローズマリーは僕のものなのに…。」


私も苦しくなってしまう。

契約が、ウィルを苦しめている事を前から分かっていたからだ


「ウィル。

この計画が終わったら。

ガロに一度、会っていい?


契約を解除してくるわ。

ローズマリーとして、ウィルに向き合う為に。


貴方の苦しみを取り除きたい。」


私が、言った言葉にビックリする様に

私から離れて顔を凝視された。

そして


「ローズ。本気で言ってるのかい?


いつもは、言葉で僕を納得させて

いつもの事だと流すのに。


本気で、契約解除する気なのか?


ローズは、それで良いの?

僕の我儘なのに。」


どっちなんだと呆れてしまう。

でも


「ウィル。

貴方は、本気で狂いそうなほど嫌だと思ってるのよね。


そんな苦しみを抱えてるのに

普段は、出さずに隠し持ってる。


私に強要したくなくて。


優しいものね。

私も、その優しさに甘えてたのよ。


けど、私は本気よ。

ちゃんと、ローズマリーはウィルのものだと

ハッキリ宣言したい。


今まで、私の優柔不断さを許してくれて有難う。


だから、一度だけ会う事を許してね。」


本気を見せる様に真面目な顔でウィルを見据えた。



「ローズ。


本気で嬉しい…


泣きそうなくらい嬉しい。


何度も何度も何度も何度も

君の愛を確かめたくて困らせた。


聖霊なんかに人間が勝てんのかって思ってた。


君の愛を不安に思ってる訳じゃないのに

君が僕を愛してくれてるのは分かってるのに


確かめずに居られなかった。


君は、いつだって僕を甘やかしてくれる。

欲しい言葉をくれて

欲しい態度をしてくれる


でも、精霊王との契約まで解除するなんて

本当に夢みたいだ。


本当に君を愛してる。

心から、愛してる。


僕だけのローズ。

僕は君だけのものだ。


終わったら、ローズマリーとして

精霊王から卒業してきて。


綺麗サッパリ。


片付けたら直ぐに。」


綺麗な涙を瞳から溢しながら

溢れんばかりの笑顔でウィルが言う。


本当に心から望んでいた事だったのだと分かる。

その顔が愛おし過ぎて


思わずスキをする。

そして


「本当は、今直ぐにでも解除して欲しいのよね。

計画実行してから、ちゃんと解除するわ。


だから、帰りを待ってて。

寝てたら怒るわよ。



決行の時まで、こうして寄り添ってて良い?」



そう言って、ウィルの胸板に顔を埋めた。

ウィルの心臓の鼓動が心地よい。


温もりが愛おしい。


そしてウィルの匂いが好きだ。


ずっと、こうして居たい。



そして、時間が過ぎ

全身、真っ黒な衣装に身を包み

夜の闇に溶け込んだ。


転移を繰り返し、所定の位置につく。


通信機からウィルの号令がかかる。


私は、魔力を掌に込めた。

そして特大の炎を対象物にぶち込んだ。


一瞬にして灰になる光景を胸に焼き付けた。

この人生で、私が一番大事にする気持ちを刻むように。


そして、転移して番犬達を回収して

屋敷に戻った。


全員の無事を確認する。


そして、ウィルに視線をやり。


「後のケアは任せたわ。

帰りを待っててね。」


そう言うと、返事も聞かずに転移した。


あの丘へ。









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