70 番犬と言う名の家族の増やし方
新婚生活は、日中は孤児の3人と遊びながら学ばせ、夜はイチャイチャとな日々を過ごしていた。
学園の雑務は、兄に押し付けて。
孤児の3人に、リク・カイ・クウと名付けた。
覚えやすくて良い。
リクは、ヤンチャで明るい。
赤茶の髪に薄い緑の瞳の生意気そうな顔。
カイは、静かだけど毒舌を吐く。
深い青い髪に水色の瞳のスッキリな顔。
クウは、自由系不思議ちゃん。
黄緑の髪にオレンジの瞳のふんわり可愛い顔。
魔力量は多く、多属性を持つ。
生まれたばかりで捨てられたらしい子供達。
今、皆んな5歳だ。
とにかく、3人とも勉強は嫌いで
動く事が大好きだ。
体力作りなどの鍛錬なんかは進んでやる。
なので、国の歴史や伝統などは、楽しく物語風に語ったり
計算なんかは買い物から学ばせたり工夫を凝らした。
マナーなんかは、人参ぶら下げ方式だ。
それぞれの個性を活かしながら
そのうち、個々に合った学びに変えなくてはいけないかもなんて話してる。
ウィルは、面倒見が良い。
良いパパになったようになってる。
たまに、本気で怒ったりしてるが
親子喧嘩の様だ。
その間に、商人たちのギルド設立に動いていた。
学園も、魔法学園改めて、王立総合学校に名を変えて初等部、中等部、高等部と分け
初等部は、基本的学力と魔法基礎など
中等部は、経営学・魔導学・生産学・教育学など選択制に
高等部は、極める学年にする。
王太子、サイラスの提案主導で動く。
合法的な改革の第一歩だ。
番犬の仕事は、反対や反発する勢力の力を削いでいく事だ。
資金力や人脈を、削いでいく為に動く。
手を汚すのは最終手段だ。
合法的に済めば、汚い仕事はない。
情報操作や金の流れを変えるだけで良い。
大変なのは、学園長改め学校の理事長になる事だ。
根本から変えるのに、資金が掛かるし
人員集めも大変なのだ。
新校舎や教師を集めるのが、当分の課題だ。
「ねぇ、ウィル。
校長は誰に任せるの?
お兄様に頼む気?
お兄様は本当に筆頭魔導師を諦めたのかしら?」
その問いにウィルは
「多分ね。
リュカが一番守りたいモノがルナ嬢になった今
サイラスの側近で、家を疎かにする気は無いと思うよ。
リュカは僕と似てる。
自分の求めるモノを、あの時に気付いてしまったんだよ。
今までの自分は、頑張って作り上げた虚像だったと。
だから、魔石の活用法を研究しながら校長してた方が良いんじゃないかと思うよ。
レオとノアとは違うんだ。
レオは、戦闘馬鹿だ。
戦いの中でしか自分を見出せない。
ノアは、育てたいんだ。
自分の理想の王を。
あの2人は城で生きるのが良い。
だけど、リュカも僕も愛する者と生きて居たいんだ。」
ウィルなりに考えてる様だ。
「じゃ〜、ギルド長は?
平民から選ぶの?貴族から?
ギルド本部が金額の設定を一括管理する訳でしょ?
仕入れ額や売り出し価格なんか全て
オリジナル商品は商標登録なんかもあるし
なかなか、大変なポジションだわ。
当てはあるの?」
ベルナルド並みの頭のキレと仕事の速さの優秀な人って中々、居ないと思うけど…。
「それも考えてる。
けど、数年は会ってない。
変わってなきゃいいけどね。
まぁ〜一応は平民かな?
男爵家当主の四男なんだ。
当主が、相当なやり手だが女遊びが激しくてね。
愛人の子供なんだけどね。
父親譲りの頭のキレが今も健在なら
任せようかなと思ってるよ。」
そんな人も把握してるのか?
「なんで、男爵家の愛人の子供まで把握してるわけ?」
呆れた顔で聞くと
「僕も、昔は王を志す者だったんだよ。
使えそうな人選は必須でしょ?
こう言う時の為の情報把握だよ。
惚れ直した?」
と笑うウィル。
結婚してから、優秀さを隠さなくなった。
弱く頼りないキャラで私と駆け引きしてた結婚する前とは違う。
「優秀さは前から、知ってます。
完璧王子様は健在ですね。
私が出る幕は無いようですね。」
真顔で言うと
「あははは。
不満そうだね。
君には、ベルナルドと子供達を連れ歩きながら
成人で孤児院を出される、落ちこぼれ卒業生を
情報組の番犬にするべく職の斡旋だよ。
あと、魔力量の少ない孤児院追い出され組のもね。
有力情報や情報操作の報酬などの説明にエリアのボスとの顔合わせだね。
子供達の社会勉強の一環だ。
飢える予備軍の救い上げなんて
君にピッタリだよね。
僕も、時間が許す限り手伝うよ。」
私に、ピッタリ?
不思議そうな顔をしてた私にウィルが続ける。
「ローズの広い心は底が知れない。
聖母の如くね。
闇さえ包む様な愛は
外の番犬達にも適用しちゃうんだろ?
妬けちゃうよね。
でも、決して全てに適用する訳では無いだろ?
だから君が選ぶんだよ。
誰に番犬の称号を与えるか。」
なるほど。
確かに、私は聖人では無い。
嫌いな奴は嫌いだ。
受け入れられるのは全てでは無い。
「分かったわ。
変装しないとね〜。
ベルナルドに完璧な変装を伝授して貰おうかしら?
て、いうか私が鍛錬場で昔バレバレだったのは何故なのかしら?
男装が完璧だと思ってたのに。」
納得いかない顔の私に
呆れた顔で
「本気で言ってるの?
精霊王が一緒にいる時点で分かるし
そもそも
身長も低く過ぎだし、華奢だし
直ぐバレるよ。
サイラスとレオは、君だと分かってて
ローズとして接してただろ?
バレない訳ない。」
まったくだ。
言葉にされて初めて自分でも良くバレないと思ってたなと思った。
「ウィル。
今、自分自身のバカさ加減に嫌気がさしたわ。」
苦笑いする私にウィルは
「バカな君も可愛いよ」
と言ってくれる。
「ウィルは私に甘過ぎなのよ。
自分の馬鹿さに気づき難くなるわ。
ちゃんと指摘してよね。」
そう言えばウィルが
「君こそ、僕に甘いだろ。
お互い様だ。」
と笑うのだった。
少しづつ、仕事量も増えて行くのだろう。
ウィルが一人で抱えない様に、私と家族達で守って行こう。
ウィルが私達を守ってくれるように。




