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69 ある日のエリアーナの休日


ハンデルンの開発以来、エリアーナは街の民達と交流を持っていた。


特に、街の教会に良く顔を出していたのだ。

癒しの魔法が得意だからだ。


前世の自分の逆の立場から世界を見る様に。



彼女は、この世界のヒロイン。

それもシンデレラストーリーのヒロイン。


周りから愛される無垢な心で

導かれ助けられて輝くのだ。


彼女をプロデュースする導き手が必要なのだ。


素質を潰してたのは、彼女を心から想い導く者と上手く出会えなかったからだ。



ローズマリーに引き取られ

アンに付いて導かれる内に、エリアーナ見違える程に直向きさや愛され度を増していった。


何処となく、幼さが残る彼女が

最近では、大人っぽくなっていて

それでいて時折見せる、あどけなさが際立った。



ハンデルンの街で、1人の少女に出会う。

身体の弱い少女は、身体に遺伝子疾患があるのだろう。

傷などの外傷や、途中で患う病気なら癒し魔法で治せるが遺伝子異常は無理なのだ。


ヒールで少し身体の怠さや熱を下げるなどの事しか出来ない。


エリアーナは、前世の自分と重なって見えただろう。



少女の親との関わりで、彼女は前世の両親の見えなかった愛と不器用なまでの自己満的な愛を知る。


複雑な想いとの葛藤が、彼女を変えたのかも知れない。


導き手が居ないと輝かないのは変わらないが

己で、方向性は決められる様になった。


その為のプロデュースは必要だけど

彼女は、エリアーナとして自分がヒロインの人生を輝かせられるだろう。



ある日の

エリアーナの休日。


屋敷の裏門の所で、モジモジしてるエリアーナの姿が見えた。


「ねぇ、あそこに居るのって、エリよね?

何、モジモジしてるのかしら?」


窓の外を見ながら私が疑問を口にすると


「どれどれ。

うん、エリアーナだね。

今日は休みだろ?街にでも行くんじゃないのかな?


誰か待ってるのかな?」


そう答えるウィル。

その時、エリアーナに歩み寄る人物が現れる。


「ん?

あれベルナルドじゃない?」


2人で、裏門の前のエリアーナとベルナルドを観察する。


何かを話してる様子だがエリアーナの様子が、どう見ても恋する乙女なのだ。


すると、ベルナルドがエリアーナの腰に手をやると転移で消えて言った。


「ねぇ、ウィル。どう思う?

ベルナルドの様子からは普通なんだけど…

エリの様子が、恋する乙女だった気がするんだけど。」


消えた2人が居た場所に視線を向けたままウィルに問うと


こちらに顔を向けて


「エリアーナは、今日は休日だ。

ベルナルドは基本的に休まないからね。

だけど、誰かの休みに仕事を頼む事はしない。


エリアーナが誘ったのかな?

ベルナルドは、色恋とか想像付かないんだよな〜。


少し様子を見よう。

楽しそうだし。」


そう言ったウィルは楽しそうな笑顔だ。


「人の恋路を楽しんじゃダメよ。

でも、エリの好みって

お兄様みたいなタイプだと思ってたから意外だわ。


ベルナルドの何処に惚れたのかしら?」


不思議そうに言うと


「ベルナルドは、頼りになるし仕事は出来るし

軽薄そうな、あの雰囲気がどうかとは思うが

良い男だと思うけどね。


アイツは、番犬になる為だけに育てられた様な奴だからな。

感情が少し死んでる所がある。


子供達にも、同じ育て方しようとするから困る。

あの子達を今までの番犬の様にしたくないのに。


恋でもすれば、少しはマシになるかもな。

ベルナルドのやつの恋してる顔とか見たいじゃないか。」


笑いながら話すウィルは、ベルナルドの弱味を作りたいだけなのかも?


「確かに。出来る男よね。

アンから離れたから、相談なんかはベルナルドにしてるのかしら?

年上の余裕のある感じに、やられたのかしら?


まっ、少し様子見ね。」




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


【エリアーナ視点】


今日は、久しぶりの休日。

思い切って、ベルナルドさんを誘った。


デートではなくて

ハンデルンの街の、お土産になる物の中に

防御の付与をつけたミサンガを提案して作ったのだが思いのほか、売り上げが良く。

デザインを増やす事になっていて今日、デザインのサンプル品が出来上がる日なのだ。


そのサンプル品を取りに行くのと商店街の人達とサンプル品の改善点なんかを話すのに

付き合って欲しいと誘ったのだ。


仕事以外の事で誘っても断られそうだったから。



ベルナルドさんは、とても優しく接してくれる。

仕事だからだと分かっている。


ノワール家は、皆が家族って事を当主である

ウィリアム様が言ってるからだ。


けど、本心は全く掴めない。

いつもベルナルドさんは、変わらない。

変わらな過ぎる。


私が何か言う前から、察してくれて

ベルナルドさんの方から何かを提案してくれる。


でも、皆んなに対してなのだ。

私が特別だからではない。


なのに、嬉しくて

期待しちゃう。


こんなに、誰かに恋焦がれたのは初めてかも知れない。


推しの対象を愛でる気持ちとは違う。


これが初恋なんだと思う。


壊れない様に、何も言えない。

ただ、今まで通りに近くに居たい。


けど、気持ちを伝えたい。

ベルナルドさんに触れたい。


片思いって楽しくて辛いのね。



サンプルを取りに行ったり、ハンデルンに行ったり仕事の様にこなしていく。


もう、隣にいれる時間は終わりかなって思ってたら


「エリアーナ。休日なのに頑張ってるオマエに俺からのご褒美だ。

好きな物でも買ってやる。

好きな店、何処でも見ていいぞ。

だからって、買うのは一つだけだぞ。」


と、言ってきた。

ベルナルドさんは優しい。

同じ職場の同僚の様なものだろう。


他の使用人を労う事だってちゃんとする人だ。


「いいんですか?

高い物ものでも買って貰おうかなぁ。

あの店見て良いですか?

行きましょう。ベルナルドさん。」


せっかくだから、この時間を満喫したい。

私はベルナルドさんの手を握って引っ張る。


「おいおい。はしゃぎ過ぎ。

そんなに走ったら転ぶぞ。」


なんて苦笑いしながら後を着いてくる。

何を買って貰おう。

ずっと残る物がいい。


ベルナルドさんからの初めてのプレゼントだ。


ドキドキが止まらない。

走って、誤魔化したい。


ベルナルドさんにバレない様に。


ある店のショーウィンドウに惹かれた。

そこには緑色の瞳の茶色のクマのぬいぐるみが飾ってあった。

大きめな、ぬいぐるみで高そうだ。


なんだか、ベルナルドさんみたい。なんて見ていたら


「アレが欲しいのか?」


そう問いかけてきたベルナルドさんに笑顔で


「アレが欲しいです。

でも、高くないですか?」


そんな私の答えに


「いや、値段はいいが

ぬいぐるみだぞ?服とか装飾品じゃないのか?


まっ、アレがいいなら、それで良いが。

ココで待ってろ。

買ってくる。」


店の中に消えてくベルナルドさんを見送りながら

ショーウィンドウから店の中を見ていた。


料金を払い、大きな、ぬいぐるみを抱えて出てくるベルナルドさんが


似合わな過ぎて笑ってしまった。


「オマエ。笑ってんなよ。

恥ずかしいから、オマエが待て。」


笑いながら、ぬいぐるみを受け取る。

ぎゅ〜とクマに抱き付きながら


「ベルナルドさん。

嬉しいです。有難う御座います。」


笑顔で、御礼を言うと

ベルナルドさんは、私の腰を押す様にして


「帰るぞ」と言って屋敷に転移した。



今日の休日の思い出は、私の宝物。

そして、ぬいぐるみのクマの名前を「ベルちゃん」にしたのは秘密だ。






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