66 結婚式
結婚式の当日。
私は城で、全身磨きあげられ王妃と母がこだわって作らせた純白のドレスを着ていた。
総レース編みになっており、白の糸と銀色の糸で薔薇の刺繍が施されて贅沢だ。
Aラインのドレスで後ろを引き摺る様に長くしてある。
ブーケは薔薇でアレンジされていて。
これぞ、ウェディング。
髪はアップにし、スッキリ纏めた。
可愛らしさは出さず綺麗に全フリだ。
お披露目用のカラードレスで可愛さを出すらしい。
着替え終わるとウィルが顔を出す。
ウィルも白いタキシードだった。
キラキラ王子様全開の眩し過ぎる仕上がり
やはり美しい。
王妃と母は、とってもお似合いの二人ねと喜んでいる。
「今日は、一段と綺麗だね。
このまま誰にも見せずに屋敷に帰りたくなる」
そう言うウィルは妖艶に微笑んだ。
その後、神殿に転移した。
式は女神への誓いを立てる為に身内だけで執り行われた。
ステンドガラスで描かれた女神へ
誓いの言葉を宣言し終わると。
光の柱と共に精霊達の輝きが一面に広がる。
そして、女神が姿を現した。
「おめでとう。ウィリアム。
貴方、私の加護無しで眼を使いこなしてたのね。
驚いたわ。さすが、あの人の魂ね。
そしてローズマリー。精霊王から伝言よ。
幸せになれよ。嫌になったら呼べ。
だ、そうよ。
貴方達に、私と精霊達からの祝福よ。
私が愛する、この国を二人がどうして行くのか楽しみにしてるわ。
サイラスと契約する、その日が待ち遠しいわ。
じゃ、帰るわね。
また、いつか。」
気まぐれ女神は、それだけ言うと姿を消した。
国王は、呆れてる様子だ。
そんな中、ウィルが呟く。
「いつも思ってたのだけど
女神が言う、あの人って誰なのかな?」
ん?知らなかったのだろうか?
「えっ?知らないの?
前、ガロが言ってたわ。
ウィルは初代国王の生まれ変わりだと。
私も詳しくは知らないけどね。
眼を使いこなしてるとか?何のことなのか?」
疑問に思ってると神官長が促す。
「指輪の交換を」
お互いに指輪を嵌めた。
「女神に祝福された。幸運の2人よ。
誓いのキスを…」
慌ててウィルと向かう。
ウィルが微笑みながらベールを上げる。
私は瞳を閉じた。
ウィルが近寄ってくる気配を感じる
「永遠に愛してる」と耳元で囁いてから
腰を力強く抱き寄せられキスが降ってきた。
家族達からの「おめでと〜」の言葉をよそに
ウィルは中々、離してくれない。
呆れたサイラスと兄がハモる様に
「「いい加減にしろ」」とウィルを嗜める。
「君たち、不粋だよ。
自分達の時に邪魔されたく無いだろ?
まったく、お披露目なんかボイコットしたい
僕の気持ちも汲んで欲しいよ。」
そんな会話をスルーして
両親に、城に帰ってお披露目だと。
転移させられた。
城のホールでは、招待客が既に集まっており
表向きは、盛大に祝福された。
しかし、腹の中では城から追い出された王子への
憐れみのような視線や不幸の蜜を楽しむ視線が
渦巻いているのが分かった。
一旦お色直しで、退出する時に
ルナ義姉様に、ブーケを渡したら笑顔で喜んでくれた。
着替え部屋までの間、貼り付けていた笑顔が真顔に変わる。
「疲れただろ?
さすが淑女のイロハは学んだだけあるね。
苦手だってだけで、完璧だったよ。
ローズは、やれば出来る子だもんね。」
そう言って笑うウィルに
「ウィルは、もともと完璧ですものね。
でも、あんな視線を向けられるのは初めてなんじゃない?
私は、ジャジャ馬令嬢ですから
視線が痛いのは慣れてますけど。」
暗くならない様に明るく言葉を発する。
「大丈夫だよ。ローズ。
君は、知らないだろうけど
周りから、チヤホヤされてる様に見えてても
悪意は、色んな所から向けられるんだ。
じゃなきゃ、毒耐性なんて身に付けない。」
そういえば、そんな事を前にも言ってたな。
どんなに、作り上げても
悪意に晒されない人は居ないと言う事か…。
「さっ、ココからは別部屋だ。
僕色のドレスに着替えておいで。
カラードレスを御披露目したら
サッサと帰りたいよ。
なるべく早く帰ろう。」
と言うとウィンクして離れて行った。
自分の着替え部屋に入ると
アンとエリが待ち構えていて、あっと言う間に
衣装チェンジが終わった。
カラードレスは、なんと黒をメインに赤をポイントに入れたものなのだ。
私とウィルの色。
結婚式には、ちょっとどうなのかと言う意見もあったが押し切った。
ゴスロリ調のドレスで、可愛さと妖艶さのハーモニーと言ったところか。
可愛く綺麗なフランス人形の様な仕上がりだ。
鏡に映る自分に我ながらウットリだ。
ナルシストみたいだ。
前世では考えられない思考だ。
気を利かせた、エリがサンドイッチと紅茶を用意してくれた。
食べてる暇も無いだろうからだそうだ。
アンと共にメイドの仕事をしてきていたエリは
とってもアンに似てきて仕事も出来るが、たまに私に嫌味や説教じみた事を言う様になった。
ちょっと嬉しくもある。
ウィルが着替えて顔を出した。
僕も食べたいなって一緒に寛ぎ出したら
アンとエリに、早くホールに戻れと急かされた。
ウィルも、黒と赤の衣装だ。
とってもセクシーな仕上がりになっていて
首にチョーカーを付けている。
実は私も付けており
お互いに飼い合う主って意味なのだ。
私達の重い愛の、象徴でもある。
他の人には、ドン引きされるので
デザインとして御洒落を取り入れたと言ってある
二人で会場に戻ると、会場がザワついた。
カラフルなドレスだと思ってたに違いないからだ。
予想通りのリアクション有難うと思いながら
ウィルと二人、笑顔を貼り付けて
優美に歩き一礼してから曲に合わせて踊る。
ザワついてた会場が、そのうち溜息と静かな悲鳴が聞こえ出す。
ダンスを踊りながら、ウィルが言う。
「この衣装、流行っちゃうかもね。」
その言葉に
「カップルで付けるチョーカーが売れるかも。
ハンデルン限定チョーカーとか作ろうかしら?」
私が笑いながら言うと「そうだね」と笑い返された。
曲が終わり、次の曲が続く。
私達は、踊るのを辞めサイラスの元へ。
サイラスがアリアナと談笑していた。
「とってもお似合いよ。」
そう私が話しかけると、サイラスが慌てる
「なっ。
なんだよっ」
お似合いって言っただけなのにと苦笑いしてしまう。
ウィルも、揶揄う様に言葉を続けると
サイラスは、ますます怒った口調になり
周りから見たら、ケンカしてる様にも見えるだろう。
それが、ウィルの狙いなのかも知れないけど。
「サイラス。僕たち帰るよ。
後は、頼んでいいかい?
サイラスの力量が試されるよ。
僕たちが帰ってザワついたら、婚約の発表をしなさい。
カッコ良く決めろよ。」
とウィルがサイラスの耳元で囁く様に伝えた。
「帰るって、アンタ達の結婚披露宴だろ⁈
何、言ってやがるんだ、兄上。
それに、婚約発表ってなんだよ!」
サイラスがビックリしてる。
ウィルは、悪戯な笑顔で
「サプライズだよ。
父上と母上には話してある。
サイラスが切り出さなきゃ、父上からの発表になっちゃうよ。
男らしく自分の言葉で発表したら?
さて、僕たちは消えるよ。
またな。」
そう言い残し、私達は家に転移した。
いきなり消えた新郎新婦に
会場がザワザワし始めていく。
残されたサイラスは覚悟を決めた。
アリアナの手を取り、中央まで歩く。
皆が注目する中、腹から声を上げた。
「兄は帰った。
もう城には戻らない。
唯一の王太子は、この私サイラスだ。
そして、ココに宣言する。
私が結婚するのは、ここに居る
アリアナ・シェラードだ。
それ以外は認めない。
意義も受け付けない。
山の様に送り付けてくる申し出は
金輪際辞めてくれ。
私は、兄の様にオブラートには包まぬ。
言いたい事はハッキリ言うぞ。
だから、皆も言いたい事はハッキリ言え。
腹の探り合いは御免だ。
面と向かって言えない奴は
匿名で書簡を送れ。
以上だ。」
そう、高らかに宣言したと後から兄に聞いた。
サイラスらしい。




