63 兄達の画策
日が落ちたので話は食事をしながらと言う事になり、一度別れ支度を整える事にした。
私も一度、家に帰ってドレスに着替える事にする
が、騎士服のまま転移で帰れば
運悪く、母親と出くわし説教された。
嫌味を言われながら、ギューギューとコルセットを絞められ母がドレスを着せてくれる。
うぅ〜。こんなに締めたら夕飯なんか食べれるか〜って口答えも出来ず
渋々と、ドレスに着替えた私は城に戻った。
ウィルの私室に転移してくると
既に着替えたウィルがソファーで寛いでいた。
私の浮かない顔を見て
「どうしたの?ローズ。
なんかあったの?」
そう聞かれ
「騎士服のまま帰ったら、お母様にバレて…。
コルセットをギューギューされて苦し過ぎだわ。
ほんと、コルセットって何なのよ!」
などとブーブー言っている私を笑いながら聞いてたウィルが
「ごめん。ごめん。
城での食事にしてしまった事が配慮に欠けたな。
街にでも出て外で食べれば良かったね。
レオも、堅苦しいなって思ってるかなぁ?
僕ってほんとダメだな。
別に、堅苦しくするつもり無かったのだけどね。
僕が、コルセット緩めようか?」
と、反省してると思えばニヤけるウィル
「結構ですぅ〜。」と口を尖らせると
「可愛い」と言うなりキスをされた。
もぉ〜、ズルい。
メイドがレオの到着を告げる。
食事が用意された客用ダイニングへ移動する。
レオが落ち着かない様子で席に座っている。
彼も家柄は良いはずなのに、私と同じで身体を動かして居る方が性に合っていて堅苦しいのが苦手なのだ。
「悪いレオ。
配慮が足りなかった。あんまり気にせず楽にしてくれ。」
そう言いながら、ウィルが私を席までエスコートして椅子を引いてくれる。
「あ〜。最近は騎士団の食堂でしか食べて無いし
社交を遠ざけていたから、落ち着かない。
シェラード家の嫡男が聞いて呆れるよな。」
と、苦笑いするレオに
「私もですわ。
令嬢として致命的だとは思いますけど
苦手は苦手ですもの仕方ないですわ。」
そんな会話をしながら3人で笑い合う。
ウィルが使用人に、料理を先に全部出してくれと指示し、運ばれて来るのを見届けると
席を外す様にと退室を促す。
ウィルが立ち上がり、ワインをグラスに注ぎながら
「レオ。お前に頼みたいことがある。
サイラスの事と妹の事だ。」
レオが不思議な顔をする。
「妹って、俺のか?
なぜ、アリーの話になる?」
レオの妹、アリーことアリアナは私の一つ下で
ウィル曰く、サイラスが幼い頃から気にしてる令嬢らしい。
レオと同じく赤髪で薄い緑の瞳。
レオは少し吊り目をしてて黙って居ると怖い印象があるが
妹の方は垂れ目で、可愛い顔付きをしている。
ちょっと天然で、世話を焼きたくなる様な雰囲気の子だが
教養やマナーは、ちゃんとしていて令嬢として申し分なし。
天然と言っても、人の嫌味や悪意に鈍感で
何か物理的に悪意を受けても妖精さんの仕業と本気で言っちゃう様な可愛い天然だ。
「そう、アリアナ嬢の事だよ。
レオも気付いてるんじゃないか?
サイラスの気持ちに。
サイラスの結婚相手にアリアナ嬢がピッタリかと思ってるんだが。
ダメかい?」
そう試す様に聞くウィル。
「サイラス本人が気付いてるとは思えない。
しかも、サイラスがあの調子だ。
アリーはアリーで、サイラスに自分は嫌われてる位に思ってそうだぞ。」
レオはそう言うと、ワインを飲み干した。
ウィルが、ワインを注ぐと
「まぁ〜、そうだろうね。
だから、こっちがサポートしないとね。」
そう言ってウィルがウインクする。
「で、他の頼みは?」
そっちが本題だろ?って顔でウィルの視線を捉えたレオに
「察しが良いね。
サイラスの専属護衛になってくれ。
ピッタリついてやってくれるか?
スペアが居ない今、サイラスの命は何としても守らなきゃならない。
父上が、今まさに虫どもに揺さぶりを掛けてる。
父上の命もだが、サイラスも警戒しなきゃならない。
それに、僕とは距離を置いたと思わせたい。
僕は、堕ちた王子と言うレッテルでいたい。
裏では連携したいからね。
君に任せたい。
それに、政務やサイラスの仕事を補佐して貰うのはノアだ。
もう、サイラスに押し付けて来た。
ノアには、僕は使えない王子。
サイラスこそが、次期王に相応しいと貴族達へ城の中きら情報操作をして貰う。
それと、サイラスの想い人がアリアナ嬢だと噂を広げる。
サイラスも意識せざる終えまい。
あとは、父上に夜会やらを開かさせれば良いし
母上も協力してくれるだろう。
僕は、レオがサイラスを守ってくれると信じてるよ。
弟の様に可愛がってくれてただろ。
君が、その剣を捧げる相手がサイラスじゃ役不足かい?」
そうウィルに問われレオは直ぐに答えた。
「俺の忠誠心を捧げる相手は
昔から決まってる。
オマエだ、ウィリアムっ!
オマエの為にサイラスを守る。
そして、この国を守る。
それで良いなら、引き受けよう。
けどな、アリーの事は
アリーの気持ち次第だ!
勝手に決めてたまるかっ。」
そう捲れるレオは子供の様だ。
妹が大好きなのだろう。
「なんだ。
まだ僕に支えようと思ってたのかい?
困ったな。
その気持ちは有難いが、君は嘘が下手だ。
表向き、僕を蔑んで見られる?
不安だなぁ〜?」
と、ウィルに試されると
「おいっ。俺だって成長してんだぞ。
顔に出さないくらい出来るぞ。
顔に素直に出るのはウィルの前だけだ。」
そんな、二人の会話を見つめてた私は
二人の楽しそうな雰囲気に、ちょっと嫉妬し
「ちょっと、二人でイチャイチャしてないで
食事が冷めますわよ。食べましょ。」
と割り込むのだった。
苦笑いして二人は、食事を食べ始めた。
食べながら、アリアナの気持ちの確認は私がすると決め
アリアナがサイラスを選べば、私の母と王妃の最強サポートで婚約に持ち込む算段を付けた。
サイラスは、何も知らずにウィルの策にハマるのだ。
けれど、好きな女性とくっつくのだ。
悪い気はしないだろう。




