表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/99

44 ハンデルンという町


ハンデルンに着いたが

宿屋は機能してなく、前男爵家があった廃れた屋敷で寝泊まりする事になった。


着いたのは良いが、屋敷の掃除から始まりそうだ。


埃っぽい屋敷は人の出入りがない為に幽霊屋敷の様だ。

そこまで、大きくない屋敷でも半日は掃除で潰れるんじゃないかと思ってしまう。


ここは、チートスキル出番ですのよ!

魔法はイメージ。無詠唱に下手な陣なんて必要ないっ。


アンとエリに屋敷の窓を全て開けて貰う。

皆んなに、少し離れてもらって

風が屋敷を駆け巡るイメージを持つ。

一気に魔力を放出すると、風が屋敷を駆け巡り

埃が外に出される。


少し離れては居たが、自分を含めた皆んなが

埃まみれになった。

ごめんなさい…。


皆の埃もさっさと風で払い。

誤魔化したつもりだったけど


「お嬢様っ」

アンに睨まれた。


アン達が湯浴みの準備をしてくれるというので


私は、待つ間

ウィルや護衛さんに、お茶を出して

ゆっくり、休憩する事にした。


「御令嬢に、お茶を入れて貰うのなんて初めてですよ。

本当に、御令嬢なんですか?

この旅で、ご一緒させて貰ってますが

びっくりしっぱなしですよ。」


そう言うのは、護衛の一人

騎士団所属のトムさん。

その問いに答えたのは

父の部下で魔術師のエルさんだ。


「お嬢様は、昔から御令嬢とは思えないほど

活発なお方ですからね。

ジョン様が甘やかすから御令嬢と言う自覚が足りないのでしょう。」


あれ?デスられてる?

と、思っていると


「あははは。

それが、ローズマリーの魅力だよね。」


ウィルがフォローしてくれる。

そんなウィルにエルは言う。


「ウィリアム様も、甘いですね。」


絶対、帰ったら

お父様にチクルと心に決める私なのだった。





湯浴みをしてサッパリ。


さっそく

町を見て歩く事にした。


現状は、とても良いとは言えない。

若い男性は出稼ぎに出ているみたいだ。


商店街のある一角に、転々とある集落。

農業や畜産業で生計を建てている家が多い。


しかし、災害で土地が痩せ細り改良が必要だ。


商店の方は、資金繰りが厳しく

仕入れが厳しく、家の者を出稼ぎに行かせて凌いだり

店を閉めて、出稼ぎに出ている所もあって

商店街として、ほぼ機能して無かった。


これは、税金を免除でなんとかなる様なものでは無い。


川の整備に、ほとんどの支援金が使われて

町民達の生活が後回しになっている状態だ。


若い働き盛りの者達が、出稼ぎへ行き。

町に残るのは、女性や年齢のいった者、子供達がメインになっている。


個人的に、生活基盤を整えるのも

これでは、無理な話だ。


根本的に創り変える必要がある気がする。



大規模になれば資金源の問題がある。

この町に、埋蔵金になりそうな資源はあるのかしら?


そんな事を考えながら町を周って

一旦、屋敷に戻る事にした。



私達が戻ると、入れ替わりで

アンとエリが食糧調達に出かけると言うので


護衛さん達には、また町まで同行して貰った。


私とウィルの2人で

応接間にて、お互いの意見を交わす事に。


お茶を入れてソファーに座る。


「ローズ。

まず、君の感想は?」


そうウィルから切り出した。


「そうですね…。

厳しく思いますわ。

資源が農作物と家畜だけですものね。

この町でなくても手に入る物ばかりです。


一つ、聞きたいのですが

この世界には、火山ってありましたっけ?」


そう聞くと

「火山?」と不思議そうに言うウィルに


「あぁ〜、無いんですね。

ちょっと確認なので、気にしないで下さい。

私の前世に、温泉ってものがありまして。


この世界でとなると、魔導を用いれば何とかなると思うんですよね。


資金源ですが、後で回収。の見込みで

国に、資金を出して頂く事が条件になりますが


根本的に町を創り変えて

観光地化を進めては?


働き手は、この町の人達です。

出稼ぎに出ている者を呼び戻せば

戦力にはなりますでしょう。


家畜も見せながら育てる。

農業も収穫をイベント化する。


今までの、一軒一軒で、小さな規模で転々とやっていたものから

一つにまとめて、皆んなで協力する。


そんな、感じにすると

このエリア全てが活性化すると思うのですが。


資金を出す国は、最初はマイナスでしか無いですが


利益が入れば後にプラスになります。


この、町での成功が

他の資源の少ない街に取り入れていければ


観光地も増え、国も豊かになると思うんですが。


貴族の、お金の流れが装飾品やらパーティーやらお茶会やら

規模が小さ過ぎるんですよね。


ドレスやら何やら作り過ぎだし

家具も、そうそう買い替えないですよね?


あんなに、パーティーとか必要ですかね?

貴族の私が言っちゃいけないのかも知れませんが


やたら溜め込むだけで

もっと外にバラ撒けばいいのにって

思ってたんですよね。


民の為に貴族が贅沢して金を流すのは分かるんですけど

要は、使い道だと思うんですよ。


小さい町や、貴族に需要の無いものを売ってる民は?って思いますし。


民の中でも階級が存在する訳ですよね。

存在するのは仕方ない事ですけど

末端の生活の底上げを考えなければなりません。


ちょっとした支援だけでは

民の中でも上位の者にしか金は回りません。

末端の民ばかりが損をするのです。


前に、ウィル様がおっしゃっていましたが

国王様は、商会のある人物を男爵にと。


観光地化は、その方にとっても良いかと

商人の人には領地として、観光地はやり易いのでは?」


そう述べると


「そこまで、考えてたんだね。

君を、ただの令嬢にして置くのは勿体無いな。

やっぱり、僕のパートナーにしないと。」


と、微笑むウィルに


「真面目に聞いてます?」

ジト目で睨む私。



「ごめん。ごめん。

真面目にね。


確かに、観光地化は良いアイデアだよ。

資金を出して貰う為には、具体的に詰めて

父上に、納得して貰う必要があるね。」


まずは、国王様にプレゼンする必要がある。

ある程度の、完成図に利益の見込み

宣伝方法なんかも必要か?


都市開発みたいで楽しいかも。


この世界は魔法もあるし

ちょっとワクワクしてきたかも。


「では、移動が不便なので

明日にでも、王都に繋がる転移ゲートを

設置したいですね。


町の出入り口の場所を決めるのと

王都の入り口は門の手前が良いですかね。


貴族の出入りを考えると荷物が多くなるし

馬車ごと転移出来る事を考えなくてはなりませんね。


転移は、移動料を取った方が宜しいですよね?

ゲート番は必要ですし人件費分は取らないと。


案外、考える事が多いですわね。


観光地化は大規模になりますし。


今、町の人達が直ぐに楽になるのには

土地改良からですかね?」



勝手に話を進める私に


「本当に、君は…。

女性なのに頼もしいな。

僕が、役立たずだよ。


当分、君は僕から離れられないからね。

最後まで付き合って貰わなきゃ。

君の考えで進めるんだ。

君なしじゃ進まない。


楽しみだよ。」


そう言って不敵に笑う。


ん?

なんか私、間違えた?


不思議そうな顔をしてしまった。



「夕食の前に、2人で王城に戻らないか?

父上と君のお父様にも話して来ないとね。


暫く、ここに住みそうだ。

使用人も何人か連れて来よう。

やっぱり、婚約が先かなぁ。


婚約前の男女が同じ屋敷に住むのはね。

そう、思うだろう?」


何やら、凄い事を言ってるような…



「ウィル様?

話が飛び過ぎるのでは?

婚約って何ですの?


確かに、町の観光地化は

進める事は楽しいですけど…


それと、婚約は話が違いますけど。」


と、言う私を見ながら

徐に立ち上がり、私の横に座り此方を見る。


「ローズマリー・スペンサー。

僕と、婚約してくれないか?」


真面目に真剣にウィルが言う。


「ローズ。

僕は、本当に君以外は考えられない。

直ぐに、結婚はしなくていい。


君の自由を守りたい。

堅苦しい貴族の社交もしなくていい。


学園長としての責務を受けようと思う。

もちろん、この町の事が落ち着いたら。


ダメかな?」


そう言い切ると、目を逸らした。


自信が無いのが全身で伝わる。

こういう、雰囲気に私は弱い。


人の弱さを見ると、包みたくなってしまう。


何だかんだと

私はウィルを守りたいと思ってしまうのだ。



黙って、ウィルに抱き付く。


そして、


「お父様が許して下さるかしら?」


と言うのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ