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40 溺愛が止まらない


宿場街が遠ざかっていく。

周りの景色が、どんどんと自然豊かになり

馬車の窓を開けると心地よい風が入ってくる。


馬が地面を蹴る音とカラカラ回る車輪の音が

何だか心地よくて目を閉じて堪能してしまう。


そんな私を見ていたウィルが


「眠くなった?」と声を掛けて来た。


「違うわ。

自然と音と。五感で堪能してたの。

気持ちいいわよ。」


私の言葉を聞いて

「ローズは、やっぱり変わってるね。

長い道のりだし、まだ着かないのかとか

何もないとか、普通の御令嬢なら文句言いそうなのに。


何もなくても楽しんじゃうんだね。」


と笑うのだ。


「確かに、前世の記憶がなかったら文句言っちゃう気持ちも分かるかも?

私の前世の世界って、こんな大自然を感じるなんて言ったら

わざわざ、旅行に出かけるって感じでね。


ビルって言って、めちゃくちゃ高い塔みたいな建物が沢山あって

人が溢れてて、それは自然とは無縁の世界で

学生までは、ちょっと田舎育ちだったけど

大人になって、都会で生きてると忘れるのよ。


忙しい毎日の中で空を眺める余裕さえなくなって。


だから、この世界へ来て

全てが輝いて見えたんだ〜。


王都でさえ、自然もあって空気も美味しくて

しかも、屋敷の敷地でさえ、花が溢れてて。


全てが、新鮮で楽しいわ。

前世の世界は魔法なんてないしね。

森や川や山を見たら精霊の光が輝いてて

なんて綺麗な世界なんだろ。

って本当に思うのよ。」


そう語る私を、愛おしそうに見つめるウィル。


「そうやって話してる君も輝いてるけどね。


君の話を聞いてると、僕の世界が広がる気がするんだ。

そういう見方があるんだとか

そんな考え方もあるんだとか


もっと知りたくなる。

ローズに興味が尽きないんだ僕は。


だから、君が思うこと興味があるもの

何が好きとか何が嫌いとか

何がしたくて、どんな夢を描くのか


いっぱい話して欲しいな。」


そういうウィルに私は


「ちょっとウィル様。

私のことばかりですわね。


ウィル様の事も話して下さい。

私ばっかりじゃ…


何だか癪ですわ。」


そう言いながらどもってしまう私にウィルは

笑いながら


「そうだね。

僕の事も知って貰わなきゃだね。


何か聞きたい事は?

ローズは僕の何が知りたい?」


興味津々に聞いてくる。


「そうですわね。

急に聞かれても…

直ぐに思いつかないと言うか。


昔から、なんでもそつなくこなすし

底が見えないと言うか…

何を考えてるか表情からは読めないし

謎ばかりですかね?」


そう言うと、大声で笑うウィル。


「昔の僕はでしょ?

最近は君に本音を出してると思うんだけどな。


でも、そうだね。

王子として育てられたからかな?

心に蓋してたから、好きとか嫌いとか

いまいち自分でも分からない所があるかも。


君の言う、何を考えてるかって所は

僕にも分からないのかもね。


でも、ローズを好きな気持ちは分かるよ。


他はどうかなぁ?

癖なのか、自分の事なのに他人事みたいな

そんな見方をしちゃうから


感情を出すとか苦手かもね。

本当の自分で生きてなかったって思ってるよ。


だからかな?

君と居ると本当の自分を見つけられる。


でも、無意識なんだろうね。

ついつい、君が言う

王子の着ぐるみを着ちゃうみたいだ。


ローズ?

本当の僕を一緒に見つけてくれる?」


私を覗き込む様に見ながら聞くウィルに

ドキッとしてしまって、ついつい顔が赤くなる。


「ずるいです。

直ぐ、私に求める。

自分で頑張って下さいっ。」


そっぽを向く私の顔を両手で包み込んで

自分の方へ任せるウィルは


「僕が君を求めるように

君にも僕を求めて欲しい。


我儘でも何でも聞きたい。

もっと僕を頼って欲しいし

もっともっと、僕の事を考えて欲しい。


本当の僕は欲張りだからね

君が怒っても求めてしまうんだ。


呆れた顔も、怒った顔も、不貞腐れた顔も

可愛い。


僕は、ヤバい奴らしい。


だけど。

他の男には見せたくない顔だ。


君は、ローズマリー・スペンサーと言う女性の

魅力を分かってないからね。


リュカに似て、歳を重ねる度に

色気まで増してきて


僕は、気が気じゃない。

もっと、その無防備な感じを直して貰わなきゃ。」



ウィルの圧に、思わずコクコクと頷いてしまう。



ウィルからの溺愛が止まらない。

イケメンとは最強なのか?

ドン引きしそうな溺愛も嬉しく思わせる。


それからの事も会話も

あまり覚えていない。


ウィルの溺愛が凄すぎて

私の頭はショートした。


刺激が強すぎる。



気付けば、広大な平地が広がる

森と森の間に空間がある場所で馬車が止まる。


今晩はココでキャンプらしい。

護衛の2人の騎士とアンとエリが

何だか楽しそうに、テント張りをしている。


我に返った私も手伝うと言って外に出たのだった。








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