4 乙女ゲームを模した世界は、やっぱりご都合主義でした
乙女ゲームを模した世界は
カナリィアン王国と言う、海に浮かぶ大きな大陸がメイン。
他に、いくつかの国があるらしいが
それは転生してから学べば良いと詳しくは教えてくれなかった。
ゲームを模してると言うだけあり
中世の王族とか貴族とか、そんな設定なクセに
案外、ニュアンスもふんわりしてるし
インフラとか不便なのかとか思ったが
案外、魔法やら魔法石やら魔法具やらのファンタジー設定からくる
時代が古いのか最先端なのか良く分からない感じが、ご都合主義がいがめない世界。
まぁ〜不便なよりは良いんだけど…。
転生先は、なんとっ!
攻略対象キャラの一人。
筆頭宮廷魔導士であり、魔導士団の団長の嫡男。
リュカ・スペンサーの妹。らしい
前情報は、そのくらいで
生まれてからの、お楽しみだそうだ。
「で、だ。
お前に頼みたい事はだな。
この世界は、光と闇のバランスで成り立っておる
今、まさにバランスが崩れ綻びが出始めておる。
その根源である闇魔法を悪用し多用している者達を殲滅する事だ」
サラッと言うが
具体的に聞こうとすれば
詳しくは言えん!と突っぱねられた。
なんだか納得いかない私は
「それで、世界を救うなんて無理ゲーじゃないですか⁈」
と、ちょっぴりキレてみる。
そんな私に神は言う
「いいか、全てを教えてしまったら
お前の人生は、お前の人生でなくなってしまうだろう?
世界を救うのは序でだ。
メインは、お前がお前の手で新たな人生を楽しむ事だ。
その為にも、世界を救わねば世界はそう遠くない未来に滅びる。
また、早く死にたくなかろう?」
お〜いっ!
世界を救う事を
出かける序でに、アレ買ってきて〜。
みたいなノリで
人生を楽しむ序でに、世界救ってきて。
って言ってますよね?
おかしいでしょ⁈
絶対、おかしい。
そんな心の声を聴いてる神は
続けて言うのだ
「君も楽しめると思うんだ〜
魔法に魔術、犯人探しにイケメンパラダイス。
君、好きでしょ?
次こそ、良い男と出会って
幸せな家庭を作りたいよね?
ねっ?
そうだよね?」
押しが強い。すっごく押しが強い。
本当に目の前の、この美しい人は神なのだろうか?
もぉ〜っどうにでもなれっ!
って思わなきゃ、やってられない気になってきた私を見て
神は満面の笑みで返事を待っている。
圧が凄い。
「分かりました。幸せになる序でに
世界救ってきます、、、、」
渋々、返事をすると
「じゃっ、
注意事項を言うね。
君が、産まれる時は、今より遡った時間軸。
赤ちゃんから転生はするが
前世の記憶があるから苦痛だと思ってね
3歳くらいから前世の記憶が浮上する様にするね
3歳の誕生日に魔力測定で王都の神殿に行くのが、その国の慣わしなんだ。
君は、魔力量は勿論のこと加護持ちだ。
勿論、我の加護だ。
3歳にして有名人になってしまうかもだが
その時に、我の使いの精霊を召喚させる
その者が、なんとかするだろ。
ある程度の年齢になる迄は、君は勉強の日々だよ。
で、肝心な注意事項だ。
君の兄達やヒロインの行動を静観する事。
君が動き出さなきゃいかないのは
兄の魔法学園の卒業パーティーが終わった後だよ。
いい?
魔法学園内での出来事がメインだ。
君が、わざわざ動かなければ何も変わらない。
それまでは、魔法の勉強やマナーの勉強など
頑張って、貴族令嬢らしく自由に謳歌しなさい。
本当に困ったら、精霊に相談しなさい。」
ん?
後始末的な感じだと思ったのに
かぶるの?
で、10年くらい待つの?
理解が追いつかず質問してみる。
「あの、神様。
何故、待つのです?
最初から阻止すれば宜しいのでは?」
神は、優しい眼差しで
私の髪を撫でながら諭す様に話し始める。
「あのね、君の新しい人生なんだ。
ゲームストーリーなんて関係無い。
君にとって、ただの転生なのだよ。
幼い頃から、やり直し。君という新しい人格を形成しながら新しい世界で幸せになりなさい。
ある少女の物語は、少女の物で君の物ではない。
ある少女の物語の終焉間近と
君の人生の途中経過が少し交わるだけの話なのだよ。
その交わりを境に、君が生きたい世界を
守る為に奔走するのだ。
解決した時、君は前世でも味わえなかった
極上の、達成感を味わえるはずだ。
そして、その後も君の人生は続くはずだよ。
魂もまた永遠だ。
君が、満足しながら
新しい命を走り切ってココに戻ってくるのを待ってるよ。」
私の髪を撫でながら
慈愛に満ちた美しい顔で暫く私を見つめていた。
何とも言えない、心地良さに
あーやっぱり神様なんだよね。
安心感と言うか
愛に包まれているというか
魂が安らいで居る様な感覚に
酔いしれていた。
が、
突然。
神が「じゃ、いってらっしゃい。」と
言うと同時に
ストーッんと下に落ちる感覚がいつまでも続き
視界が歪む。
気持ち悪い…。
私は意識を手放したのだった。