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38 馬車での旅


あれから旅の準備など、あれこれと大変だった。

結局、視察へ行くまで一ヶ月掛かった。


転移が使えない初めての町。

馬車で3日くらい掛かる場所の様だ。


今まで私の行動範囲が狭かった事もあり

移動は、もっぱら転移


馬車で3日も揺られて旅するなんて新鮮だ。



ウィルの方で護衛騎士を編成して貰い

私は、アンとエリを連れていく事にした。


数日分の荷物は多く馬車を何台連ねるのかって感じで仰々しくなりそうなので空間魔法で収納したのだが


家紋なしの小型の馬車2台で行くことになった。



始めての遠出に、父が心配して何だかんだと言っていたがスルーした。




これから向かう町。ハンデルンは

山があり山から流れる川に広大な平地。


とても、のどかな田舎町だ。

川辺に面した町なので、川の増水など

天災に弱いのが難点だ。


自然豊かな絶景らしいので、観光地にしたらいいのでは?なんて思ったり。


私の前世知識で、金の成る木を創りたい。

が、国王の本音だと思われる。


私的には視察といっても旅行気分ですけどね。


と、言うことで

ハンデルンに向けて出発〜。


ルンルンと馬車へ向かうと

ウィルが馬車の前で待っていてエスコートしてくれる。


「ありがとう」なんて呑気に言ってたら

私を馬車へ乗せたその後から入ってきて

何の躊躇いもなく隣へ座る。


ん?

アンとエリは?


えっ⁈

ウィルと2人きりなの?



驚く顔で横にいるウィルに顔を向ける。


「ん?

どうしたの?」


惚けた様に首を傾げるウィルに


「あの、ウィル様。

婚約者でもない男女が2人きりで馬車に乗るのは

如何なものかな〜なんて思うのですが」


それとなく拒否ると


「ダメ?

僕は、既成事実を作っても問題ないけど。

父上もローズを気に入ってるし母上もね。

今すぐ、婚約してくれてもいいよ。」


こういう時、強引ですよねぇ。

ダメ?とか聞きながら

ダメと言われても引かないけどみたいな。


イケメンに言われて悪い気はしないが

これを許したら押し切られる気もするし…。


と、少し考えていると


「僕に、1人で馬車に乗れって言うの?

冷たいなぁ〜ローズは。」


と耳元で囁かれた。


ひっ!と、思わず小さな悲鳴を上げてしまう。


それは反則だ。

真っ赤になって抗議をする。


「ウィっウィル様。

なっなっなっ…

近い近い近い近い!


一緒で良いですから離れて下さい。」


するとウィルはちょっと離れて

「出して」と指示を出した。


最近のウィルはグイグイくる。

戸惑いが大きくて、自分の気持ちが付いていかない。


走り出した馬車の窓から流れていく街並みを眺めていた。


心臓のドキドキが止まらない。


「ローズ?

怒ってるの?

ごめん。強引過ぎた?」


反省してる様に聞いてくる。


「怒ってはいませんわ。

ただ気持ちが付いていきません。」


窓の外に顔を向けたまま言うと

ウィルが私の手の上に自分の手を重ねて


「ローズ。

僕は、本気だよ。

君は、僕の外見以外をちゃんと見てくれる

嫌なら嫌ってハッキリ言ってくれる。


僕の周りの人間は、本当の僕を見ては居ない。

君には、本心を言える。

ダメな自分を出せるんだ。


僕にとって君は、かけがえのない人なんだよ。」



正直、嬉しい。

けど慎重になってしまう自分も居て…


「ウィル様。

そう思って貰えることは素直に嬉しいです。

ウィル様を一人の人間として興味もあります。


でも、ドキドキとか、ときめきとか

それだけで決めて良いのか分かりません。


全てを受け入れる覚悟が私には

まだ、無いのです。

ウィル様は、王位継承を辞退すると言いますが

王族です。


それなりの覚悟は必要だと思ってます。」


真面目に答えると

ウィルは小さな溜息を付き


「そうだね。

僕は、王族だ。王にならずとも責任は伴う。

どうにもならぬ事だ。


でも、君がそこまで考えてくれてる事が嬉しいと思ってしまうんだ。


一時の感情で決めない所も好ましい。

だから、いつか覚悟を決めてもいいと

思って貰える様に僕は努力したいな。


君以外は考えられない。

いつまでも待つよ。


でも、君も

そろそろ婚約話は持ち上がると思う。

貴族令嬢として、ずっと一人でとはいかない。


だから風除けにでもしてくれたらいいよ。

色々、言われなくて済むだろ?


例え、白い結婚でも

君が僕のパートナーになってくれたらいいのに

って僕は思ってしまうんだ。」


そう言って重ねた手に力が入る。


本気さが伝わってきて

何を返して良いのか分からない。


沈黙が続いてしまう。



暫く、沈黙が続いたが

意を決して、私は言う。


「ウィル様…


私、実は大切な存在が居るんです。

魂の片割れみたいに私の心にいつも居る。


3歳の頃から当たり前に側に居て

当たり前に守ってくれてた存在。


好きとか嫌いとか

そんなレベルでは無くて

あって当たり前みたいな不思議な存在です。


恋人を想う気持ちとも違うし

ドキドキとか、ときめきとかとも違う。


上手く言えないけど…。


ウィル様は、自分の他にも大切に想う存在がいる人を


受け入れる事が出来ますか?」



そう尋ねる私に


「精霊王様か…


見てれば分かる。

お互いを信頼してるし尊重もしている。

他の誰もが入れない何かを感じてる。


精霊召喚は魂の繋がりだ。

かけがえのない存在だろう。


まぁ〜、勝てないなぁと思うよ。


けど、僕は

それさえも厭わずに

君の全てが欲しいと思うけどね。


例え、僕よりも精霊王を優先しても。


想いの種類が違えど

人は大切なモノがあってさ。


その全てを自分の物にしていたいって欲望がある。


あの一件で、僕も学んだ。

その欲望に無理して蓋をしなくていいって

要は、上手く付き合っていけば良い訳で。


君も言ってた。

欲望がある方が人間らしくて好きだと。


あの言葉で

僕は救われた。


君だって、精霊王も手放せない。

僕の事も欲しいと言えば良いじゃないか。


それでも、僕は嬉しいよ。

僕の欲望を受け入れて貰う代わりに

君の欲望も受け入れたい。


僕は欲張りだからね。


その代わり、覚悟してね。

僕の愛は重いから。」



そう言って笑うウィルは

いつもの王子スマイルではなく

少し、不適で妖艶な色気の微笑みで

こちらが素のままの笑顔なのかもしれない。


「まだ、覚悟はしてません。」

と慌てて答える私に


ウィルは残念そうに


「この流れは、

ウィルが欲しい。って言う流れでしょ?

なかなか手強いな。

もっと強引にしなきゃダメかな?

いや、引いてみる?」


なんて言うから

2人で笑い合った。



ウィルとは、本音で語れる。

ちゃんと向き合って受け入れてくれる。


ある意味、心地が良くて安心する。


けど、イケメンの破壊力は

どうしてもドキドキして胸が苦しくて

逃げたくなってしまう。


この世界の、私の容姿も美女なのだけど…

中身が伴わないのか

なぜ、こんなイケメンが私を好きになるのか?

なんて疑問に思ってしまう。


慣れなくては…


ってコレ慣れるもんなんですかぁ〜⁈



1日目の宿屋に着くまで

馬車の中で楽しく話したり

途中、ドキドキさせられたりと

感情のジェットコースターを乗り切り


宿屋に着く頃にはグッタリで

はしゃいでるエリが街を探索したいと誘って来たが

アンと2人で行って来てと、早々に眠りに着くのだった。



疲れた…








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