36 モブ令嬢によるヒロイン育成開始
朝から、エリアーナの迎えに王城に来ていた。
牢から出され湯浴みなどさせて貰ってるらしい。
着替えは、屋敷から適当なサイズの新品のメイド服を持ってきていたので、それを渡す。
少し、父の執務室で待っていると
ウィリアムがやってきた。
「おはよう。ローズ。
今日も会えて嬉しいよ。」
王子スマイルは健在です。
「おはようございます。ウィル様。
私の前では、王子の着ぐるみは脱いで頂きたいですけどね」
そう言うと、笑いながら
「あはは。
染み付いてるんだよ。
僕としては普通にしてるつもりだけどね。
君が見ると王子の着ぐるみなのかな?
困ったな。」
そりゃ、それが当たり前だったのだから
今更なのかもしれない。
「あぁ。私の方こそ御免なさい。
ザッ王子様って感じで、いや本当に王子様なんですけど。
距離感と言うか…
どう接していいのか…」
ちょっとモジモジしてる私に
「ありのままのローズでいいよ。
公の場では、あれだけど
こうして、2人で話す時は、リラックスして話して欲しいな。」
そう言いながら隣に座ってくる。
イケメン過ぎてドキドキが止まらない。
元気になったウィリアムは正統派イケメンで
瞳の宇宙の様な星屑に吸い込まれそうになる。
「ウィル様…。近い…
心臓に悪いのですが、弾けそうです。」
照れて俯く私に
「ねぇ、僕も同じだよ。
君の綺麗な顔にドキドキするよ。
ルビー色の瞳は、何でも見抜かれそうだし
サラサラの髪は、触りたくなる。
僕だけのものにしたくなる。」
甘〜〜〜いっ。
急に距離詰め過ぎじゃない。
気持ちが追い付かない。
「ウィル様。
ゆっくりって言いましたよね?」
ちょっとジト目でウィルを見ると
「ごめん。ごめん。
ローズはゆっくりでいいよ。
僕は、思った事を言いたいだけだからね。
別に急かしてる訳じゃ無いよ。
ただ、君の容姿を褒めただけだし。」
悪びれる事もなく微笑むウィル。
これが通常運転ということね…。
「慣れるまで頑張ります。」
と言う私に
「頑張るって。
頑張ることなの?
ローズは面白いね。
もっと、君と一緒に居たいんだけど
これから父上と話があるから行くよ。
また、明日。学園でね」
そう言うと、部屋を後にした。
どっと疲れた気がした。
男に慣れてない訳じゃ無い。
けど、イケメンに慣れていないのだ。
慣れる日は来るのだろうか?
兄だってガロだってイケメンだ。
けど、幼い頃から当たり前の様に接していたからか、自然体で居られる。
たまに、兄の色気に鼻血が出そうになるが、たまにだ。
一緒に居るのが当たり前になれば、慣れるのだろうか。
そんな事を考えていたら
父に連れられたエリアーナが部屋に入ってきた。
少し顔色が良くなった様に見えるが
やはり、一年もの間、牢に入っていたのだ。
筋力が落ちて当然だ。
少しふらつくエリアーナを支えながら屋敷へ転移するのだった。
屋敷の私の私室に、連れてきた。
ソファーに座らせ、アンを呼ぶ。
「エリアーナ。この女性はアンよ。
貴方の先輩ね、これから仕事に関する事はアンが教えてくれるわ。
それでだけど、今日からエリと呼ぶわ。
貴方は私をお嬢様かマリー様かしらね?
貴方の体力がもどるまでは、主にアンからマナーとか教えて貰いながら体力温存に努めて。
身体を動かすのも散歩程度から始めた方がいいわ。
あと、痩せ過ぎちゃったからね。
ちゃんと良いもの食べなさい。
貴方の罰は、あの牢屋に一年も入ってただけで
私は充分だと思ってるわ。
精神が壊れなかったのだから大したもんよ。」
そう、言うと
「前世でも、ベットの上だったから
あまり、変わらないわ。
今日から働かなくて良いの?」
とエリが言う。
なんか潮らしくなった様な…。
「ねぇ。エリ。
私は、貴方を働かせる為にココへ連れてきた訳じゃ無いわ。
まぁ、生きていく為には働く事は必要だけど。
私はエリに、生きる事が楽しいと思って今世を生きて欲しいの。
前世で、出来なかった事はいっぱいあるでしょう?
今世は、後悔しない人生にしたいじゃない。
だから、まずは体重を戻さないと。
可愛い顔が台無しよ。
貴方は本来ヒロインキャラよ。
直向きに頑張る姿で周りの好感度が上がるのよ。
魔法なしでもね。
それが貴方の一番の才能。
ステータスも神がサービスしてくれたでしょ?
魔法力の高さと光属性もある。
貴方に足りないのは知識よ。
この家の使用人達も、みんな家族の様に接してくれる人達ばかりだわ。
家族だと思ってエリも接して
家族の愛をまず知って欲しいわ。
ゆっくりでいいの。
私も協力するから。
さっ、とりあえず美味しいもの食べよ。」
部屋の入り口に控えて居たアンに3人分の食事を運ばせる。
「あの…。
私、使用人ですよね?
ココで食べていいんですか?」
戸惑いながら聞いてくるエリに
「たまには良いの。
たまにアンにも、おやつとか付き合って貰ってるのよ。
私は、貴族だけど転生者よ。
堅苦しいの嫌いなの。」
それを聞いたエリアーナは笑顔で御礼を言ってきた。
「こんな、私を受け入れてくれて有難う。
私の事なんて、ほっといても良かったのに
知ってる物語りだったのに、ゲームみたいに選択肢とか無いし
普通に生きるのも良く分からないし。
本当は1人が寂しかったんだ。
だから感謝してます。
これからも宜しくお願いします。
使用人として、マリー様にお仕えします。
て言うか。
教えてくれないと、何して良いか分からないし」
そう言うと苦笑いしていた。
アンが手際良く食事をセッティングするのを
エリは、観察するように見つめている。
準備が整ったところで
私とアンそれとエリ。3人で会話を楽しみながら
食事をした。
何だか、女子会の様で楽しかった。
エリアーナが、これから希望を持てるかは本人次第だ。
でも、ここから始まって欲しい。
この異世界で、新しい人生を。




