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32 令嬢として女として生きるという事


外に出ると、そこにはガロが待っていた。

家に居るはずなのに、どうしたのだろう?


「どうしたの?何かあった?」


そう問うと


『いや、別に。

迎えに来たら悪いか?』


ぶっきらぼうに、そう言うガロは

この所、私の外出事に一緒に来ない事が多くなっていた。


迎えに来るなんて何だか新鮮だ。



最近、ずっと側に居ないのは

この世界で、この世界の住人として

自分の人生を生きる為にガロは必要以上に

関わらずに居てくれてるのかも知れない。



「そう。迎えに来てくれたのね。

ありがとう。ガロ


ねぇ、ガロ。

久しぶりに、あの丘に行かない?

少し、気分転換したいわ。」



そう言うと

ガロが黙って私の近くに来ると転移魔法を掛けた。


その丘にはベンチが置いてあり

街並みを見下ろしたり風景を楽しめる。


夜は、満天の星空も楽しめたりする場所だ。



貴族の御令嬢としての教育はスパルタだった。

泣き言をいう私を、ガロが息抜きに連れてきてくれた場所だ。


昔は、良く来ていたが

最近は、ここに来る事も少なくなった。


なんとなく

この所、ガロと距離を感じてた私は


「最近、ガロとの距離が離れてる気がして。

ココは、何だかんだでガロとの想い出の場所だったりするじゃない?


だから、ココに来たの。


何処にでも着いて来いとは言わないけど

急に、距離感を作られると戸惑うわ。」


素直にそう言う。

するとガロは、そんな事かと言わんばかりに


『もう、マリーも子供じゃないからな。

保護者は終わりだと思ってな。』


そう言うのだ。

ちょっとガッカリした私がいた。



「そうなの。

隣に居るのが、当たり前だったから

ちょっと寂しく感じたのよ。」



少しの間、沈黙が流れ

私は、ベンチへ移動し座った。


その後を付いてきたガロも横に座る。

そして



『俺もオマエに話があった。


おい。マリー。

俺は、オマエを大事に思ってる。

だからこそ、マリーとしての楽しみや

幸せを感じて欲しいと思ってる。

だけど、相反してオマエが他の奴の為に何かをする事が何か嫌だ。


だから、いちいちマリーの横に居たくない。

それが本心だ。


だから、オマエが必要な時だけ

俺を呼べ

俺を頼れ


この世界で、俺がオマエを独り占めする事は出来ない。


前にも言ったろ

オマエの今世は諦めるって。

マリーとしてのオマエをだ。


同じ、土俵に立たなきゃ

俺達は、どう足掻いても結ばれない。


だから、オマエは

俺なんか気にせず今の人生を楽しめよ。


俺は、オマエが笑顔で居てくれたらそれでいい。』



そう言って笑う。


そうだ、夢の中で?精神世界で?

そんな事を言ってたのを思い出す。


「ねぇ、ちょっと疑問なんだけど…


精霊と人間って、そもそも同じ土俵に立てるものなの?


私にとって、ガロは

魂の繋がりがあるからなのかもだけど

自分の分身の様な、片割れの様な

不思議な感覚なの?


愛とか恋とか良く分からない。」


今、自分が思う本心を話すと


『あっ、そこか。

同じ土俵に立つ事はできる。


色々な可能性はある。

ただ、今 この世界では無理だ。


もちろん。

オマエが望めばだ。


俺はオマエを失いたくない。

ただ、俺の勝手な想いだ。

オマエを縛る事なんて出来ない。


でも、この人生を終える時

オマエがどうしたいか聞かせてくれないか?


それまでは

もう、俺はマリーへの想いは口にしない。


だから、マリーも

この事で悩んだりするな。』



なるほどと謎が解けたと同時に

ガロの、本音を聞いた。


まだ、自分の気持ちは分からない。

けれど…



「うん。

ガロの想いは嬉しいよ。

私の気持ちは、今は分からないって言うのが

素直な気持ちだと思うの。


それに、今は答えを出すタイミングでもないのよね。


もし仮に、今ガロを愛しても

きっと、まじ合わない事を嘆いてしまうものね。


心の片隅に置いておくわ。」



それを聞いたガロは

『それでいい』と囁く。


もう、この話は終わりだとばかりに


『で、マリー。

この世界で、これからどう生きたいんだ。』


そう聞いてきたのだ。


「それね〜、

何かね、お兄様もウィリアム様も

ちゃんと前を向いて、これからの事を話しててさ

しかも、今までも自分なりの道を歩んでた訳で。


それに比べて私は

目的の為に生きてた感じじゃない?


将来設計なんて考えて無かったのよね。

貴族社会で女なんて、家の利益の為か

家の品位を落とさない相手の所に嫁ぐ


ってのが普通な訳じゃない?


全てが自由にはならないわ。


だけど、何処に嫁ぐかは自分で決めなきゃね。

とは、思ってるわ。


あんまり、堅苦しくない所が良いわよね〜。

完全、男性社会だもの

女は男を支えてなんぼでしょ?」



そう答える私に

ガロは呆れ顔だ。


『この世界の事は理解してる。

マリーの言う事も一理あるんだろうよ。


どんな制限があっても

その中で自分の自由を作れるなら

それで良いとは思うがな。


どっかの誰かに嫁いで

それでオマエは幸せになれるのか?


俺には分からん。

マリーが幸せなら、それでいい。


オマエだけの魂の輝きを曇らせるなよ』



私だけの魂の輝き?

曇らせるってどう言う事なのか。


気になって聞いてみる。


するとガロは


『魂の輝きとは、自我の核と言ってもいい。

それぞれに、違う。


オマエにはオマエの輝きがあるんだ。

それは、生まれ変わっても

自分が自分であると認識する自我。


どう変わろうと

輝きは変わらないが曇る事はある。


自分を否定したり、自分を見失ったり。

そんなとこだ。


だから、どう生きようと

これが自分なんだと自信を持って生きろ。』



そう言われた。


「なんか、簡単な様で難しいわね。

言いたい事は分かるけどね。


私ね、前世を踏まえて

この世界で生きてきたじゃない?


前世では、なんか理解できなかった事が

今なら、何となく分かるとか理解できるとか

成長してるなぁ〜なんて思ってて。


容姿や名前が違っても、自分は自分だし


で、思うのよ。

前世で、私がやり残した事。


女の幸せなんて曖昧な事、思ってたけど


本当は、自分が心から大切だと思う人と出会って

同じ想いとか目的とか未来とか

そんなものを持って、共に生きる事。


そんな、簡単な事だったのよ。


まっ、簡単じゃないかもだけど


そんな人を見つけたいわ。


頭で考えるんじゃなく。

理屈じゃなくて心からどうしようもなく

求める人をね。


そんな相手が、

両親が認めてくれる相手だと面倒じゃなくて良いんだけどなぁ。」



それを聞いてたガロが


『ローズマリーという一人の女として

誰かを求め、その誰かに求めてもらえ。


俺は、ローズマリー・スペンサーと言う女に

召喚された精霊だ。


俺が離したくないのは

俺を虜にしてる、オマエの輝きだからな。

魂の核そのもののオマエの輝き。


ただ単に今は、ローズマリーってだけだ。


どっちだってオマエはオマエだ。


これからは、召喚しろ。

いつも側に居ない生活に慣れろよ。


寂しくなったら、用もないのに呼び出すのは

許可してやるよ。


じゃーな。』



悪戯な笑みを浮かべながらガロは何処かへと姿を消した。



一人取り残された私は

暫くベンチに座って空を見上げていたのだった。





(ガロが呼ばなきゃ来ない生活かぁ〜

なんか、変な気分だな。モヤモヤなのか?

あるのが、当たり前のものが

ないって言う感覚かなぁ〜。

会えなくなるとかじゃないけど

とにかく、変な気分だわ。)



そんな事を考えながら

空を見上げて居たが、考えても言葉に出来ない

その想いを持て余すしか出来なかった。


そして、一人屋敷に帰るのだった。













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