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31 もう一人の転生者は今何を思う


ウィリアム様と、話終え

私は、お父様の所へ向かった。


前に、頼んであったエリアーナへの面会をする為だ。


お父様に、城の裏手奥にある牢がある塔の入り口まで送って貰う。

警備の人に声をかけ中に入った。


中は、所々に魔道具のランプが照らされてはいるのだが薄暗い。


エリアーナの牢屋の前まで案内され、

少し離れた所に警備の人は控えた。


見える距離だが、会話は聞こえない距離感だ。



ベットに横たわるエリアーナに声を掛ける。


「エリアーナさん」


すると、起き上がる訳でもなく。

顔だけ此方にむけ


「誰?なんの用?」

と、ぶっきらぼうに答えるエリアーナは

ヒロインとは思えないほど輝きが無く

生きる気力みたいなものが感じられない。


「私は、ローズマリー。

前世の記憶を持った転生者よ。

あなたと一緒よ。


と、いってもゲームでいう所のモブキャラね。

私は、物語にさえ登場しないかしら?

私はゲームの内容さえ知らないわ。」


そう伝えた私を、びっくりした顔をしながら

飛び起きて見つめるエリアーナ。


「どう言う事?

なぜ、私が転生者だって知っているの⁈」


訳がわからないと驚愕してるようだ。


「それは、転生する前に神から聞いたからよ。

ゲームでいう所の卒業パーティーイベント

それまで、私は静観しろと言われてたわ。

あっ、私は攻略対象のリュカの妹よ。


神に時の流れは存在しない。

貴方の、可能性の選択肢が全てにおいて

この世界の最悪な結末に導かれる。


この世界を憂いた神が

お戯れにも私を、この世界へよこした。


貴方が、自分の力で生きて居たら

また、別の結末があったと思うわよ。」


と、少し冷たくいうと彼女は


「で、嘲笑いに来たの?」

と、睨みながら吐き捨てる。



「ん〜。

こんな結末になって感想は?


貴方だって、被害者でもあるわ。

学園長の口車に乗らなきゃ、普通に恋を楽しめたんじゃないの?


今、どう思ってるのかしら。


同じ転生者として、私に出来る事はないかな?

と思う気持ちもあるのよ。


ただ貴方次第ではあるわ。」



と私の気持ちを伝えた。

すると



「なんか上から目線でムカつく。


私の前世って知ってる?ずっと病弱で

長く生きられないと諦めながら過ごしてた。


だから、どうせ死ぬのにって気持ちで

勉強なんてしないでゲームばかり。


周りは、同情で優しくしてくれる。


新たな人生を神から与えられた時、凄く幸せだった。


しかも、乙女ゲームのヒロインよ。

全て上手くいくと思ってた。


けど、前世の記憶を持ってる事で

役にたった知識なんて何も無かったわ。


だって、私 ちゃんと生きてないんだもん。

努力もした事ない。


人との付き合い方さえ知らない。

前世の記憶なんてない方が良かった。」



ある意味、普通の生き方をしていない。

普通に生きられなかった彼女。


分からないでもない。

でも…



「確かに、貴方に前世の記憶は邪魔だったのかも知れないわね。


でも、ゲームでも物語のヒロインやキャラクター達の立場を

心から疑似体験してたのなら何か学べる事もあったと思うのよ。


クリアする事だけじゃなくてね。


もっと生きる為に奇跡を信じて希望を持っていれば何かを頑張るって事も学べたと思う。


本気で生きて無かったんじゃないの?


私も、貴方の様な前世なら、諦めたと思うわ。


だけど、新しい人生を与えられたら

今度こそ、思いっきり生きようって

今度こそ、がむしゃらに生きると思うのよ。


だから、同情はしないわ。



それで、これから

貴方は、どうしたいの?」



ずっと、不機嫌な顔で

こっちを見てたエリアーナが

また、ベットに横たわりながら


「どうしたい?

ココ、牢屋よ。決まってるじゃない。

私は、罰を受ける訳でしょ。


罰を受け続けるなんて嫌よ。

早く、こんな人生終わりにしたい。


処刑の方がまし。


少しでも可哀想だと思うなら

一瞬で終わる処刑にしてよ。」



この子は、前世もそうだが

命をあまり重要視して無い気がした。


病気だから、どうせ、長く生きられないから

じゃ〜何もしないで死ぬ。とか


嫌な思いをしながら、ずっと生きるなら

サッサと殺してくれ。とか


ゲームと一緒だ。

サッサとリセットみたいな感じ。



「ねぇ、貴方は

死にたくない!みたいな

どんな形でも生きていたい!

って気持ちは無いの?


学園長は、貴方を騙したと証言してるわ。

立場ある人達に魅了を使った罪はあるけど

使う様に仕向けたのは学園長。


それに、魅了は本来

少しの好意や願望を増幅するもの。


平民である事で、重い刑罰になるかもだけど

私や、お兄様、ウィリアム様の要望次第で

ある程度の罰はあるかもだけど、

普通に生きることは出来るのよ?


ねぇ、少し考えて。


貴方は、ヒロインキャラよ。

ちゃんと、一人の人間として

懸命に生きたら、愛される存在になれる素質は充分にあるのよ。


それでも、この人生リセットしたいなら

私は、止めないわ。


また、来るわ。


それまでに、少し考えて欲しい。


同じ転生者として、私からのお願い。

聞いてくれる?」



そう言うと

彼女からの答えは無かった。



だから、私は言った。


「直ぐに、死刑にしろとは言わないのね。


また、来るわ。」



そう言い残し

私は、その場を後にした。



彼女は、どんな選択をするかは分からない。


だけど、生きたい。と言うなら

私は、全力で応援したい。


何、やらかしてくれてんだ!!

とか思ってた事もあるけど


彼女の願いは

本来、素敵な恋をしたかっただけなんだと思う。


やり方が分からなかった。

筋書きがない、人の生き方を知らなかった。


それだけなんだと思う。

学園へ通う前の人生で、本当に彼女を愛し育てた人は居なかったのかも知れない。


ここは、王の国で貴族社会。

せめて、現代社会の別の人物に転生すれば良かったのにとも思う。


乙女ゲームに夢を見たのかも知れないが

あまりにも、この世界は生きづらい。


ヒロインに困難は付きものだ。


恋がしたかったなら

ベタベタな王道ラブストーリードラマの世界観だとか他にあったんじゃないかと思ってしまう。



私は、この世界に来て良かったことは

魔法が使えることだけだ。


貴族社会とか、本当に嫌気がする。


けど、私はリセットなんかしない。

この世界で、本気で生きる。


だって、どんな環境でも

少しづつ大切な物や存在が出来ていく。


その、大切な物や存在が

私を、この世界に留まりたいと思わせてくれる。



そんな、簡単な事を

彼女にも感じて欲しい。


本当に、そう思う。







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