3 神様の、お戯れ
見た目は、神。
中身は本当に神なのか?
事の経緯を話し始めた神によれば…
事の発端は
神様の、お戯れ。
ある少女の死後の願いを叶える事にした。
理由は無い、ただの気まぐれだ。
13歳という短い生涯を終えた少女は
人生の大半を病院で過ごしていたそうだ。
退院しても自宅安静で、外にも学校にも行けず
病と闘うだけの人生。
そんな少女の楽しみは、乙女ゲーム。
ゲームの中のヒロインを自分に投影しゲームのキャラに恋をした。
実際に、恋愛をする事もなく
少女の命の灯火は消えていったのだ。
少女の願いは単純だった。
乙女ゲームの世界でヒロインになりたい!
そんな少女の願いを叶えるべく
神は、乙女ゲームの世界を模した世界を創造したのだ。
世界を模しただけだ
その世界の住人はゲームの中の設定されたセリフしか吐かないなんて事も無ければ
行動も、設定通りの動きしかしないなんて事もない。
ちゃんと人間として生を受けた者達だ。
神も少女に、こう言ったそうだ。
「よいか、乙女ゲームの世界を模しただけだ
この世界で、新たな人生を生きよ。
ゲーム通りにはいかない事の方が多いだろう。
だが、君の行動次第で無限の可能性が広がるだろう。
君が言うヒロインとして生きると言う事は
世界を救うことになるのだが、覚悟は出来ているのか?
ゲームではなく現実じゃ、また死ぬ事もある。
それでも、この世界で生きるか?」
そして少女は転生したのだそうだ。
神は、この後
少女の生き様を頭を抱えながら見守り
その世界を憂いたとの事。
「で、私の次の人生に
この少女の話はいりますか?」
私の素朴な疑問に
神は不敵な笑みを浮かべて
私の肩に手を置くと
「君が、この世界を救ってくれないか?」
と、サラッと言うではないか。
「あの〜、規模がデカすぎて
私には無理そうですけど…。」
丁重に、お断りしようとしたが
「達成感がある人生にしたいって言っただろ」
などと、言う神に
達成感がある人生とは言っても
世界を救うなんて規模の話してねぇーわ!と
神に対して怒りが込み上げる私なのであった。
そんな私をよそに
その世界に転生すると言う前提で話が進んでゆく事は、言うまでもあるまい。






