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27 ある日の兄妹の時間


目覚めて2日後には

王城から帰って来た兄は

暫く、歩く事も一苦労で日々のリハビリを懸命に頑張っていた。


そういう所は、本当に真面目だ。

私なら、もっとサボりそうなものなのに…



ようやく普通に歩ける様になった頃

私は、兄を乗馬に誘った。


ガロが空間魔法で作った草原だけの空間。

お母様に見つからない様にと、考えて作って貰った空間だ。


馬に乗るのは気分転換にも

筋力を付けるにも良いと思ったからだ。



「わぁ〜っ

一面、草原なんだね。

凄いな、流石 精霊王だね。


こんな大きな空間を作れるなんてね。

人間には無理そうだ。


まさか、マリーも作れたりしないよね」


子供みたいに、はしゃぐ兄を初めて見た気がする

子供の頃でも、こんな兄は見た事がなかった。


「まさか。私も無理よ。

お兄様の中の私って、どれほどの天才な訳?」


と、呆れた顔をすると

笑いながら


「どうだろ?

嫉妬するくらいは天才だと思ってるよ。」


ニヤニヤしながら答えた。



馬を放し、草原の上に

大の字に横になって大きく深呼吸する。

そして兄に向かって


「お兄様〜っ。

気持ちいいよ。誰も見てないし

誰も居ない。


横に来て寝転んだら?」


そう大声で促す。


すると兄も静かに横たわり話始めた。


「こうやって、外で無防備になるのなんて

俺、初めてかもしれないな。


マリー。ありがとう。


俺たち、兄妹なのにさ

お互い、何も知らなかったし

知ろうとも思ってなかったのかもな。


仲良し兄妹っていう、偽りの関係みたいな。


俺は俺で、父上と城に行ってウィルと鍛錬やら勉強ばっかしてたし


マリーはマリーでガロ様とばっか居ただろ?


会えば近況報告みたいな話で

仲良く話したりもしてたけどさ


当たり障りない関係だったよな。

本心で話した事なんて無かったのかも…


そう思わないか?」


そう問われれば

確かに、そうかも知れない。

前世の記憶を持って転生した事もあって

私が本心で話すのはガロだけだったと思う。


「そうよね。

そう考えると、兄妹だけど他人行儀ね。

距離感はあったのかも?

あまり考えた事もなかったわ。

でも、当たり前の様に、私の兄で

大切な家族だと思ってたわよ。

今だって。」


そう言うと


上半身を起こして、コチラを向く兄は

今まで見た中で一番輝いた笑顔で


「俺だって、マリーは大切な家族だし妹だ。

今までも、これからも。


俺さ、これからの事を考えてたんだ。

起きてからずっと。


俺の取り柄なんて、きっと魔導だけでさ

他の生き方とか分からないし

それしか無いんだよな。


他人の評価とか噂とか

正直、すごく怖いしさ逃げたいけど

実績積んで認めて貰うしか無いよな。


まだまだ、体力も回復してないし

まだまだ努力しなきゃだから


実績なんて、ずっと先だと思うけど

頑張ろうと思ってる。」



そう言う兄は

とてもカッコ良かった。


爽やかでもあり、憂いを帯びて妖艶でもあり

兄とは言え、美の暴力ね。


鼻血が出そう。



「おっ、応援してますわ。


ところで、ルナ様とはどうなってますの?」


鼻血が出そうなのを誤魔化す様に

話を変える。


「う〜ん。

どうと言われても…


今直ぐ、どうこうとかはね…。


あんな事したのに、まだ慕ってくれてるのは

本当に有難いし感謝してるんだ。


ただ、女が苦手と言うか…


昔から見た目とか、家柄とかさ

そんなんで、好意を持ってくれる女性が多かっただろう?


なんて言うかさ、

俺の外見だけなの?みたいな

本当の俺のことなんて見てないと言うか…


だから、昔から苦手なんだよな。


分かるだろ?

マリーだって、いろんな男が狙ってるし?」


ん?

私を狙ってる?

疑問に思って聞いてみる。


「ん?

私を狙ってる人なんて居るの?

陰で、ジャジャ馬令嬢なんて言われてるのに?


お兄様がモテモテなのは分かるけど。

私のことなんて狙わなくない?」


それを聞いた兄が、明らかに呆れた顔をした。


「マリー。

オマエもモテモテだぞ。

小さい頃から天使の様だって言われてただろ。

寄ってこないのはガロ様が側にいるからだ。


でも、視線で気付くだろう?普通は。

マリーって、鈍感なの?」


ヤレヤレ。みたいな顔をした兄が残念なものを見るように首を振る。


「そうなの?

自分の事で精一杯で周りが見えてなかったのかも⁈


って、私の事はどうでもいいのっ!


お兄様って、そんなに女が苦手だったんだ。

意外なんだけど。


私のイメージの、お兄様って

色気ダダ漏れで、女性に優しくする感じで

小慣れてるみたいな…。

そんな感じだったんだけど。」


そう言う私を

少し睨む様に見て


「オマエのイメージの俺って…

遊び人みたいな感じだったの?


ショックだよ。


女性に優しく接するのが紳士の務めだ。

苦手とか嫌とか言ってられないだろ。」


なんか、ゴメンナサイ。と思ったが


「まぁ〜、そうなんだろうけど。

あんな接し方してたら、そりゃ女なら

好きになっちゃうと思うのよね〜。


だって、その容姿で雰囲気も色気があって

妹の私でも、たまに美の暴力で鼻血が出そうになるものっ!


お兄様は、もう少しクールにしてた方が良いかも知れませんわね。


女が勘違いしますわ。」


それを聞いて


「おいおい。

鼻血ってなんだよ。」と

兄は益々、呆れたのだった。


「お兄様にとって、ルナ様も他の御令嬢と同類に入るの?」


と真面目に聞く私に


「良く分からない。

違う様な気がするけどね。


俺の幻に惹かれてるのかも知れないし。

本当の俺を知らないだろ?

だから、今から少しずつって感じかな?」


そう言うと、牧草を食べてる馬の方に視線を移した。


「そっか。

私的には、ルナ様と心通わせて欲しいけどなぁ

お似合いだと思うけどね」


起き上がりながら言うと

お兄様も立って


「そうなれば良いのかも知れないけどね

まだ、俺の気持ちが動いてないからなっ。


さっ、マリー。

馬に乗ろう。

久しぶりに風を切って走りたい。

付き合え!」



そう言って

馬へ向かって歩み出した兄の後を追いかけた。



そうして、暫く乗馬を楽しみ

追いかけっこしたり

幼い頃に、あまりしてこなかったから

そんな、くだらない事で戯れる時間は


兄妹にとってかけがえのない時間になった。



「なぁ〜、マリー。

また、こんな時間を過ごそうな。」



そう言って兄が微笑むのだった。








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