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16 師匠からの卒業


お父様から言われたので、家に帰ってきた。


部屋に、お茶を用意してとアンに頼むと

師匠が『少し話そうか』と座るよう促してきた。


私が、師匠の対面の席に座ろうとすると


『大事な話しだ。横に座れ』

と、自分が座るソファーの横を手でポンポンと叩く。


言われるままに、横に座ると

アンがお茶のワゴンを押して入ってきた。


美味しそうなクッキーをテーブルに置き

紅茶を注いでくれる。

アールグレイの匂いが部屋に充満し、何だかリラックスできた。


アンに、師匠と大事な話があるからと席を外してもらい師匠に身体を向けた。



『長くなる。冷める前に飲め。

クッキーも美味そうだ。』


師匠の話が気になるものの

まずはティータイムを楽しんだ。



最初に切り出したのは師匠だった。


『ローズマリー。

闇魔法の一件が終わったら、俺は必要か?』


意味が分からなかった。

何を言われているのか理解できなかった。


「師匠?何を言ってるの?

師匠は、私が死ぬまで一緒なんじゃないの?」


師匠は、真っ直ぐに私を見て続ける。


『もう、お前に教える事は何もない。

神との約束も、もう直ぐ終わる。

師匠と弟子は終わりだ。


その後、お前に俺は必要か?』



そう言うと、師匠は俯いてしまった。

何だか怯えている様にも見えた。



私は素直に思っている事を言葉にした。


「師匠。師匠の質問の答えになるか分からないけど…


私にとって、師匠は必要とか必要じゃないとか

そんなものじゃなくて…


上手く言えないけど、師匠を大切な存在だと思ってます。』


師匠とは、3歳の時から一緒に居るのが当たり前で、家族みたいなもので、だから必要とか考えた事も無かったのだ。



『ローズマリー。

もう、師匠と呼ぶのは辞めろ。


俺だって、お前の事は大切に思っている。

このまま、お前の人生が終わるまで俺は居て良いのか?


邪魔じゃないのか?


これから、お前は、大人になっていく。

いつまでも自由にとはいかないだろう。

人型の精霊なんて連れ歩いて邪魔じゃないのか?』



不安そうな、こんな顔をする師匠を見るのは、初めてだった。


初めて見せる、弱気な師匠に戸惑いながらも


「師匠は、卒業ですか…


じゃ〜、ガロ。

私は、ガロを家族の様に思ってます。

ガロが居ない生活とか考えられない。

ガロは、この家の一員です。


邪魔なんて思った事ありませんよ。

たまにイラつく事はあるけど、兄弟喧嘩みたいなものですよ。」


微笑みながら、ガロを見る。


ホッとした様な困った様な何とも言えない顔でガロは私を見つめ


そして、無言で抱きしめられた。



「ガロ?」


問いかける私に


『少しだけ、このままで居させてくれ』

と抱き締める腕の力が少しだけ強くなった。





暫く、そのまま静かな時が流れた。



『ごめん。

俺は、初めて恐れを覚えたみたいだ。


恐るものなど無いと思っていた。

恐れなど、弱い者だけのものだと。


自分を絶対的な強者だと思ってた俺は

恐る想いを認めるのが怖かった。


怖いんだ。


認めたくなくて、お前の前から消えようと思ってた。

もう、俺なんて必要ないと言って欲しかった。


逃げたかったんだ。


俺の目の前から、お前が消えるのが怖かった。


だから、自分から消えたかった。



カッコ悪いな…


自分がこんなに、弱っちぃ〜とはな…



でも

弱くても

カッコ悪くても


やっぱり、俺はお前の側に居たい…


側に置いてくれるか?』



泣きそうな声で、私の首元に顔を埋めながら

話してくれたガロの想いに胸がチクリとした。


私からガロに腕を回して抱き締め返しながら


「命の燈が消えるまで側に居て下さい。

ガロは、私の片割れみたいなものですよ。

一緒に居るのが、当たり前じゃないですか。


精霊と人間は違います。

私は、大人になってお婆ちゃんになっても

ガロは、いつまでも若々しくて

そんな中で、関係性は変わるかもしれません。

それでも…


私の一生を見守って下さい。

嬉しい時は、一緒に笑って

悲しい時は、慰めて下さい。

難問は、一緒に、考えて下さい。


ガロも、今回みたいに悩んだら

私に言って下さい。一緒に悩みましょ?


分かりましたか?」



そう言い切ると

ガロが顔を上げながら私から離れて座り直すと


『分かった。

お前の方が大人だな。』


バツが悪そうに苦笑いするガロに


「いい!ガロ。

私ってば、前世で27年こっちの世界で14年生きてます。

実質41歳みたいなもんです。


精霊と違って人間の一生なんて、あっという間

サッサと大人にならないと死んじゃいますからね!」


と、ドヤ顔すると

ガロがケラケラと笑い出すから


私も一緒に声を出して笑ってしまう。


ガロは、不思議だ。

頼りになる時は父親みたいな感じで

普段のガロは兄妹みたいな双子みたいな感じ

そして、たまに子供みたいになる



精霊だからだろうか?


年齢不詳。


まぁ〜ガロはガロか。




その夜は、同じベットに寝た。

小さな狼になったガロをモフモフしながら

安心感で寝落ちしてしまったのだ。









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