10 時は流れ、わたくし13歳になりましたわ
6月。
暖かな陽気の正午過ぎ
心地よい風が吹き抜ける。
時折り、薔薇の花びらが舞い散り
ほのかなローズの香りが漂う。
屋敷の敷地内にあるバラ園の東屋で
兄を除く家族と、師匠
そして使用人達。
私の大好きな人達に
今年も誕生日を、お祝いして貰っている。
アレから10年
わたくし、立派なレディになりました。
と、言いたい所ですが
【本性ジャジャ馬令嬢】と言うレッテルが付いた模様。
本性と付くのは
お母様のスパルタレッスンのお陰で
外面的には、完璧な御令嬢なのだ。
が、貴族令嬢には珍しく
乗馬はするは、剣術もやる
騎士の練習生に混じって筋トレしたり
男の子に変装してバレない様にやってるはずが
一部の人達にはバレバレらしく
お茶会や、夜のパーティーなどで
噂されている始末だ。
お母様に説教される事、数年
最近は、何処か諦めモードだ。
師匠との魔法訓練や魔術実験なども
中々にハードで、ケンカしたりもしたが
前世では縁が無かった魔法や魔術は
めちゃくちゃ楽しかった。
神の加護とは、本当に、チートで
全属性があやつれちゃうと言う優れ物。
全属性と言っても闇魔法は別だ。
闇属性を持って生まれる人間は存在しない。
人の命を生贄に、魔法陣を使った負のエネルギーを集め
その身に取り込むのだ。
代償は、今世の終わりに魂消滅。
歴史的に調べれば
二百年前に禁術に指定され
それ以降、扱えば重罪で処罰と言う法律が出来た。
処罰は大抵の場合、死刑。
時には、例外もあったらしいが
なぜ、例外だったかは有耶無耶にされている。
3歳から、あらゆる面でスパルタ教育を受けてきた私は
歴代最高の天才児だと言われている。
いったい、幾つの二つ名を与えられるのか
頭が痛い。
この国、カナリィアン王国は
15歳で成人にあたる。
平民は、5歳〜15歳までに
近くにある学舎で勉学や必要最低限のマナーを学ぶ。
何故、十年間もあるのかと言うと
平民の子供は親の手伝いなど小さい頃から働いているのだ。
なので、単位制になっていて
自分のペースで学べる様に工夫されている。
勿論、学舎に通う為の教育費は国が持つ。
平民に、教育費を払う余裕のある者は一部だ。
貴族はというと、家庭教師もしくは親が
その役割を果たす。
貴族とはプライドで生きている所がある
子供への教育は、家の面子に関わるのだ。
優秀な家庭教師の争奪戦はスゴい。
本当に面倒だ。
15歳、成人を迎える年に
魔力量が多いものは、貴族・平民関係なく
二年間、王立魔法学園に入学する事が義務付けられている。
お兄様は、今年の4月から入学している。
なので、誕生日のお祝いの席に今年は居ないのだ。
乙女ゲームの物語が幕を開けていると言う事だ。
何が起きて居ようと、私は静観しなくてはいけない。
『どぉーした?マリー』
色々と考えてたら、ぼーっとしてたらしい。
師匠が心配そうな顔で問いかけてきた。
「あっ、考え事してましたわ。
考えない様にしようとは思うのですけど
お兄様の事が心配ですの。
学園では何が起こってるのか…
起こるのか。
わたくしは、今は知ってはいけないのですものね」
浮かない顔をしながら、話す私に師匠が言う。
『マリー。
心配すんなっ!
後出しジャンケンだって
俺たちなら、ゴリ押しでひっくり返すだろ』
師匠の例え話が、毎度のことながら
ちょっと分かりづらい。
残念なんだけど、励ましてくれる
その気持ちが嬉しい。
師匠は、基本的に優しい。
が、俺様系なので口が悪く
本気でムカつく事がたまにある
魔法攻撃の撃ち込み合いという喧嘩に発展し
傷だらけで家に帰って両親から大目玉を喰う
なんて事もあったりする。
『生意気な弟子は、師匠に敬意が足りん!』
が、師匠の口癖だ。
そうだ。
何が起きても何とかするんだ!
その為に、今まで頑張って来たんだ。
師匠も居るし
わたくしは、1人じゃ無い。
大丈夫!
あと二年弱。
万全にする為には
闇魔法へ対する防衛術や対抗策を重点に考えるべきだ。
明日は、お父様に頼んで
王城にある、図書館に連れて行ってもらおう。
出来れば、禁書を見せて欲しいが無理だろうな〜
「よしっ!
師匠。馬で走りませんか?
思いっきり走らせてスッキリしたいですわ。
付き合ってくれますわよね?」
と、師匠を誘えば
『母上殿に、許可を取れば付き合っても良いぞ』
精霊王なんて呼ばれてる癖に
お母様には頭が上がらないのだ。
私もだが、キレた母はマジで魔王。
うちの、お母様が世界最強な気がするのよね。
「師匠…
師匠が、お母様に許可を取ってきて下さらない?」
それから、どっちが
お母様に許可を取るかの押し付け合いで
時間だけが経過し
結局、乗馬は諦めて師匠と剣術の手合わせをし
サッパリしたのでした。




