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かみしゃま

酔って次の日起きたらこの駄文が放置されていました。色々ツッコミどころが満載ですが、どうか見てやってください。

かみしゃまの朝は早い。平日だろうが休日だろうが祝日だろうが関係なく目覚ましもなしに朝四時丁度に起床。


顔を洗い歯を磨き、牛乳を飲みながら家中のカーテンを開け、日の光を浴びる準備をする。飼い主はまだ寝ているのでその部屋だけはカーテンを締めておく。かみしゃまは意外に優しい。


それが終われば台所に向かい、愛用している踏み台を出してきて朝ごはんを作り始める。

かみしゃまは古い考えをいつまでも大切にするので肉と野菜のバランスをしっかりと考える。朝はさっぱりと食べられる物、昼は少しこってりとしているがシンプルで栄養がある物、夜は少し豪華にするがやはり野菜と肉のバランスを考えた物。飼い主がコンビニ弁当でも買ってきた日には烈火のごとく怒り、手作りがどれだけいいかと言う説明を小一時間する程だ。


朝食を作り終えると次は洗濯。

ご飯が炊き上がるまでに済ませてしまう。この家にお世話になってる以上は恩を沢山尽くさないと納得しないのがかみしゃまのポリシーだ。洗濯は洗濯機など使わず、洗濯板と石鹸で手洗い。かみしゃまはあまり機械が好きではないご様子。洗い終われば日が少し出てきた頃にベランダに干しておく。この時も愛用の踏み台は忘れない。


ご飯が炊き上がると同時に飼い主を起こしに行く。料理は作りたてが一番美味しいからその時に飼い主に食べてほしいからだ。


「ほれ、主人様。朝じゃぞ。休日かも知れぬが生活習慣が乱れるのはよくない故、早く起きよ」


ぺちぺちと飼い主の頬を叩くが飼い主は顔をしかめながら布団に隠れてしまう。


「ん〜……昨日寝るの遅かったんだ……だからもう少し寝かせて……」


「今日の朝ご飯は白米に八宝菜とベーコンのバター炒めにキャベツとゆで卵とハムのサラダじゃ」


かみしゃまは飼い主とあまり付き合いは長くないものの性格は知り尽くしているので扱いが上手い。ご飯のネタを言ってしまえば飼い主は空腹に負け、仕方なく起きる。


「……美味しそうだね」


「くふふっ。しっかり食べて一日を元気で過ごすのじゃ」


飼い主の手を引いてリビングに出て一緒に食事を取る。飼い主はテレビがよく見れて日が一番当たるイスに座り、かみしゃまはその横の子供用のイスに座る。それでも飼い主とは頭一つ分違う。


「……いただきます」


「ほい。いただきます」


ボサボサの髪をした飼い主と共に手を合わせ食事を取る。飼い主はテレビはぼぉっとテレビのニュースを見ながら食べているが、かみしゃまは食事に集中してしっかりと十回噛んで飲み込む。白米は小さな茶碗に一杯だけ。飼い主は大きな茶碗に二杯。かみしゃまの胃袋は小さいようだ。


「……ごちそうさま」


「ほい。ごちそうさま」


同じタイミングで食べ終わる。そしてかみしゃまはすぐに食器を片付け始める。踏み台を使いながらお皿を集め流し台に持っていく。適量の洗剤を泡立ててしっかりと汚れを落としていく。少しでも汚いと納得がいかないのがかみしゃまだ。


それが終わればかみしゃまの仕事は昼までほとんどないのでリビングのソファーで一休み。

飼い主の膝の上がかみしゃまの特等席だ。飼い主も最初は戸惑っていたがもう慣れた物で今ではかみしゃまのふかふかとした尻尾の毛繕いなどをしてあげる。かみしゃまはこれがお気に入りだ。櫛で毛を撫でられ、尻尾をぽふぽふと遊ばれると目を細めて喜ぶ。かみしゃまにとってこれが家事を頑張れる理由であり何よりの報酬でもあるのだ。


日がてっぺんにやってくるとかみしゃまはまた動き出す。飼い主が寝ていた布団をベランダまで運び干す。雨の日意外はかみしゃまが干すので毎日布団はふかふかとしている。


それを終えるとすぐにお昼ご飯を作り始める。朝は野菜が中心だったのでお昼はお肉を中心に少しこってりと仕上げる。それでも油っこくなく、食べやすい物を。白米は布団を干す前にセットしておいたので料理が出来上がると同時に炊き上がる。


「主人様や。お昼は白米と野菜炒め、それとほうれん草のおひたしじゃ」


リビングでパソコンに向かい難しい顔をしていた飼い主の背中をぺちぺちと叩き食事に呼ぶ。

やはり料理は作りたてがお好きなご様子。そして朝と同じ様に飼い主と料理を食べ、食事を片付け、一息。飼い主の膝で休憩したいがパソコンに向かっている飼い主の邪魔をするほどかみしゃまはワガママではない。飼い主の横に腰掛けて日に当たる。尻尾同様にふかふかしている耳をぴくぴく動かしながら。


「……よいしょ」


そうしていると飼い主がかみしゃまを持ち上げて自分の膝に乗せる。


「ぬ?主人様?」


「……ん〜?」


かみしゃまを膝に乗せたままパソコンに向かう飼い主。


「邪魔ではないかの?」


かみしゃまがそう問うと飼い主は『ん?』とかみしゃまを見下げ一言。


「……なんか…乗せてないと落ち着かない」


飼い主は普段あまり話をしない。無口だけれど素直で隠し事がない事をかみしゃまは知っている。だから飼い主の一言一言がかみしゃまはとても嬉しいのだ。


気付けばかみしゃまは暖かな日と心地よい飼い主の膝でぐっすりと眠っていた。洗濯物を入れる時間までのかみしゃまのお昼寝。口を開けたまま『くかぁ』と気持ち良さそうな寝息を立てて。飼い主はそんなかみしゃまの頭をくしゃりと撫でながら少しだけ笑いすぐにパソコンに視線を戻す。キーボードを叩く音を出来るだけ小さくして、かみしゃまの昼寝を邪魔しないように。


日が少し傾いた頃。かみしゃまは目を覚ます。飼い主は仕事が終わったのかパソコンを閉じており、かみしゃまの髪を撫でながらテレビを見ていた。ずっとこのまま寝ていようかとかみしゃまは一瞬思ったが洗濯物を入れなければならないので仕方なく起きる。


ベランダに出て踏み台を使いながら洗濯物を取り込んでいく。布団もしっかりと叩いて埃を落として取り込む。そして洗濯物を畳み、布団を部屋に敷き、乾燥させておいた食器を食器棚に戻す。


ここでまた一息。身体は休めるが頭は夜ご飯のメニューを考える事でいっぱいだった。飼い主の為に栄養のあるバランスの取れた食事。料理に使う食材を出来るだけ朝と昼と別にして飼い主を飽きさせないように。


「……」


飼い主はメニューの事で難しい顔をしているかみしゃまを膝の上に乗せて耳をふにふにと弄っていた。こうしていると飼い主が幸せな気分になるからだ。


かみしゃまの考えがまとめ終わった頃には飼い主は耳を触ったまま眠っていた。仕事の都合であまり眠れない飼い主はよくこうして寝てしまう。かみしゃまはそっと膝から降りて飼い主を横に寝かせてあげ、少し幸せそうな顔をふかふかの尻尾で撫で台所に向かう。


夜ご飯は少し豪華にする。朝と昼よりも品の数を増やすがバランスも忘れない。健康にいいものがかみしゃまのお気に入り。野菜なども自家栽培したいと思っているがマンションなのでプチトマトなど小さな物しか作れないのが現状なのだ。将来は畑のある田舎に住みたいかみしゃま。


日が山に消えてしまいそうな頃に料理が出来上がる。炊きたての白米を茶碗にぽふぽふと盛り、料理を机に並べていく。


「……おはよ」


並び終えたと同時に飼い主が頭を掻きながら台所にやって来た。他人から見たらだらしがない飼い主だが、かみしゃまは飼い主の仕事の頑張りを知っているのでだらしないとは一度も思ったことはない。寧ろ誇りに思っている程だ。


「お。一人で主人様が起きてくるとは珍しい。偉いのぉ」


くつくつと笑いながら席に着くかみしゃま。飼い主は目を擦りながら横の席に着く。そして手を合わせてご飯を食べていく。少し前までは慣れなかった風景も、今となっては当たり前になってしまった風景。一人では広すぎたリビングのソファーも二人だとちょうどよく、台所の机は今では少し狭く思える。箸と茶碗が二つに増えただけだと言うのに。


食事を終え、沸かしておいたお風呂にも入り、長くも短かった一日ももうすぐ終わろうとしていた。かみしゃまは最後の仕事である部屋中のカーテンを閉め終えて、今は飼い主の膝で適度に暖めたお茶をゆっくりと飲んでいた。時刻は夜の九時。一般人にはまだ寝るには早い時間だが、かみしゃまは規則正しい生活をしているため、この時間になるともう眠くなってしまう。


「……今日やる仕事は終わったし……寝ようか」


「そうじゃの。明日も朝早いからの」


そう言って二人はリビングの電気を消して寝室に向かう。


窓が一つしかない狭い寝室。飼い主が寝転ぶとかみしゃまは飼い主の横に寝転ぶ。これがいつもの定位置。これが当たり前。


「くぅ……」


寝転んで一分もしない内にかみしゃまは寝息を立てていた。昼寝の時と同じ、口を開けたまま。飼い主はかみしゃまにしっかりと布団を被せてあげてしばらく微笑んだままかみしゃまの頬を指で撫でていた。


小さくても人一倍努力するかみしゃま。いつでも飼い主の事を考えて行動するかみしゃま。飼い主は今まで一度もかみしゃまに『ありがとう』を言ったことがない。恥ずかしくて言えないのだ。


「……」


いつか、かみしゃまに言ってみよう。そしたらかみしゃまはどんな顔をするだろうか?笑ってくれるだろうか?喜んでくれるだろうか?今度、かみしゃまと何処かに出掛けよう。緑がいっぱいの公園にでも。


そう思いながら飼い主も目を閉じる。ふかふかの布団と、ふかふかの尻尾と、ふかふかの幸せに包まれながら。



神様だけれど完璧な神様じゃない。だから『かみしゃま』。ふかふかの尻尾と耳を持ち、小さいけれど行動力は人一倍。崇められる事が大っ嫌いで誉められる事が大好き。和菓子が好きだが洋菓子も好き。


そんな完璧な神様ではない『かみしゃま』との生活を貴方もいかがですか?




END


初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。コノエイクノと申しますっ!今回は久々の投稿ですが、酔った勢いで書いた文章が放置されていたのでせっかくなので投稿させていただきましたっ!よければ評価や感想などをお願いします!では、また。

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― 新着の感想 ―
[一言] 文章は説明が丁寧で、読みやすかったです。ただ、私の好みとしては、もう少し句読点を入れてくだされば、よりスラスラ読めたかも、です。 あと、かみしゃまが平仮名なので、できれば最後のように『かみし…
2009/08/06 15:57 退会済み
管理
[一言] とても面白かったです ほのぼのとしてて心が洗われるようでした 是非とも長編化もしくはシリーズ化していただけたらうれいしいです
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