38話 触手責め
俺、依頼主、ライトくんの3人で海岸の崖の上まで来た。
討伐の間、2人は安全なここにいてもらう。
さっそくライトくんが光魔法で海の1ヶ所を照らしたので、俺はスマホで録画を開始して依頼主のお姉さんに渡した。
「じゃあ、魔道具のこと、お願いしますね」
「はい、お任せください。それにしても、本当にあなたがお1人で?」
「こう見えても結構強いんですよ」
「にわかには信じられません......」
そんなことを話していると、海からすごい速度で魔力反応が近づいてきて......
「おっ、きたきた」
ライトくんが照らしているところにデカい影が徘徊し始めた。
さっそく俺は崖から飛び降りる。
「セツナさん!?」
とりあえず気づいてもらわないとね。
俺は影のところに飛び込んでライ○ーキックをかました。
「とぉう!」
バシャンって音の直後に足が柔らかい何かに当たる感触。
うわっ冷たい。体が凍えそうだ。
夜の海の冷たさにブルブルしていると、だんだん視界を遮る泡がなくなっていき......巨大な目玉が目の前に現れた。
おー、すごい。目だけで70cmくらいあるんじゃないかな。
と、次の瞬間、体が動かなくなった。
手足を触手に絡めとられたのだ。
すごい力だ。
俺ならすぐに振りほどけそうだが、人間なら腕が折れててもおかしくない。
とりあえず、撮影のために海水から出して欲しいのだが......
なんて思ってるとありがたいことに空中に出してもらい......水面に叩きつけられた。
「わぷっ!あたっ!いてっ!」
バチバチと何度も体を叩きつけられる俺。
容赦ないな。
人間なら既にグチャグチャになってるよ。
しばらく叩きつけられていると、空中に持ち上げられたところで、イカの動きが止まった。
死んだと思われたかな?
「セツナさん!!!」
ふと上の方から声が聞こえたので、見ると、依頼主のお姉さんが顔面蒼白になってこちらを見ていた。
ちょっと!撮影してくれ!
「大丈夫でーす!ですから魔道具をお願いします!!」
「え!?」
「それをしてもらえないと倒せないんです!」
そう言うとお姉さんは撮影を再開してくれた。
さて、今どうなって......
「うわ!?」
体の方を見ると、なんと着ていたスーツが大破していた。
いろんなところでベロンとめくれていて、かなり肌を露出してしまっている。
これをお姉さんに撮影されているという状況に少々の恥ずかしさを感じていると、辺りから数々の触手が迫ってきて......体のいろんなところに巻きついた。
「おお......!?」
俺の体は仰向けで脚を無理やり開かされたような体勢になっていて、絡みつくイカ足に胸をむぎゅっと持ち上げられていた。
赤みがかったイカ足はぬるぬるしていて、ぴちゅぴちゅと音を立てながら体を捻ったり四肢をもいでこようとしたりしている。
まだ生きていることがバレたのだろう。攻め方を変えてきたようだが、俺の丈夫な体には通用していない。
それでもイカさんは諦めが悪いようで、一生懸命俺の体のあちこちを引きちぎろうとしてくるものだからぬるぬるのイカ足が俺の体を厭らしく這っているようになっている。
ついには、破れたスーツの隙間から触手が侵入してきて、直に体を撫でさすられた。
「んっ......」
ちょっと気持ち悪いけど、もしかしたら今結構いい感じなのでは?
「セツナさん!!」
「大丈夫ですから、続けてくださーい!」
「ええ!?」
このままもう少し撮影してもらったら、イカさんには悪いけど討伐されてもらう。
依頼を違えるわけにはいかないしね。
そうして体のあちこちをぬるぬるの触手に這われる気持ち悪い感触に耐えていると、イカ足は内側からどんどんスーツを破っていき、俺の肌を露出していった。
ついには、俺のお腹からすいすいと下腹部に迫っていき......
「って、ちょっと待てい!」
俺は拘束を振りほどいた。
触手に体を這われてもだいたい気持ち悪いだけだけど、さすがにそこはアウトである。
撮影はここら辺で終わっておくことにして、俺はイカさんに感謝の全力パンチを下した。
ーーーーーーーーーー
イカの死骸を引きずって、お姉さんのところまで登った。
「倒せましたよー」
「ちょ、あなた、せめて隠しなさい!」
おっと。
そういえば俺のスーツはかなりボロボロになっていたな。まだ着れているのが不思議なくらいだ。
胸とか、もろに出ちゃってたね。
俺は咄嗟に胸を腕で隠した。
ライトくんは鼻を手で押さえていて、地面に血溜まりを作っていた。
こんな状態でも海を照らしてくれていたのか。一番がんばったのは間違いなく彼だね。
「その魔道具、ちゃんとやってくれました?」
「え、ええ。おそらくは、できたと思います」
お姉さんからスマホを受け取ると、お姉さんはコートを脱いで俺に被せてくれたので、お礼を言う。
スマホの録画を停止して、動画を飛ばし飛ばし確認する。
おお。なかなかうまく収めてあるね。
素晴らしい。
いい感じに俺が触手責めされている。
これを後で写真として切り抜いて、裏垢にあげる。
多分一瞬くらいは、触手で大事なところが隠れている瞬間があるんじゃないかな。
「ちゃんとできてますね。ありがとうございます」
「そ、それはよかったです。でも、怪我はないんですか?かなり攻撃を受けていたようですが......」
「大丈夫ですよ。体は丈夫なので」
「そ、そうですか......」
それにしても、デカいイカだな。
見た目はダイオウイカだが、長さが俺の10人分はある。
これはかなりの海産物が犠牲になったと窺えるね。
「それでセツナさん、2つ目のお願いとはなんなのでしょうか?」
ああ、そうだった。
依頼は達成したし、このお姉さんに血を吸わせてもらおうか。
「あんな目に遭わせてしまったんですし、できる限りのことはします。なんでも言ってください」
「でしたら、血を吸わせてください」
「へ?血って、つまり......?」
何がなんだかわからなそうなお姉さんに、俺は口を指で広げて牙を見せる。
「ひっ!?吸血鬼......!!」
「血を吸わせて欲しいこと。これが2つ目のお願いです。さっきも言った通り、ダメならダメでいいです。私は無理やりはしないので」
大きく目を見開き怯えるお姉さん。
やっぱダメかなー。まあしょうがないんだけどね。
「......わ、わかり、ました。できる限りのことはすると言いました。どうぞ」
おお、優しい。
俺を吸血鬼と知ってこのくらいの動揺で済むとは、なかなか肝が据わっているね。
「じゃあ、吸いますよ?」
「え、ええ」
俺は背伸びしてお姉さんの首元に噛みつき、血を吸い出した。
「ひ......!?」
ふむ。
ロリ以外からは初めて吸ったけど、なかなかいいかもしれない。
落ち着いた味で、なんだか心が安らぐ感じだ。
なんとなくこのお姉さんの人柄がわかってくるね。
やっぱり血は最高だ。
「ぷぁ」
とてもおいしかった。
これなら、転移魔法を使っても余りあるだろう。
「はぁ、はぁ......何、これ......」
息が荒く顔が赤いお姉さん。
ライトくんはついに失血で倒れたので、さっそく、吸った血を使って治癒魔法をかけてあげた。




