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35話 なんでいるの



ダブルイリミネーション方式のトーナメント。

もっとも基本的なルールは、『2回負けたら敗退』だ。

その目的は、運悪く序盤で強い人に当たっても、勝ち続ければいい成績を残せるようにすること。


この方式では、参加者が『1回も負けていない組』と『1回負けた組』に分かれてトーナメントをしていく。

通常、勝者サイド、敗者サイドなんて呼ばれるけど、敗者サイドは勝者サイドからどんどん人が送られてくるから、勝者サイドより試合数が多い。

よって、1回目の負けが序盤であればあるほど、いい順位をとるには試合数が多くなるので持久力が必要になる。





「ほ、本物だ......」


「よろしくお願いします」


「よ、よよよろしくお願いします」



動揺して早口になっている1回戦の相手と握手を交わす。


彼は握手に使った手をしばらく呆然として見ていたが、そろそろ試合が始まるようだ。



『では、超乱闘TSF杯、第1試合、開始してください』



スピーカーから流れたスタッフの合図と共に、会場に拍手の音が響いた。






ーーーーーーーーーー






「さすが、強いですね。ありがとうございました」


「こちらこそ、ありがとうございました」



俺は順調に2回戦を勝ち上がっていた。

やっぱり、俺の反射神経はこういう大会の場でも通じるようだ。


2本先取制だが、今のところ負けなしで4試合しかしてないね。



「スノウちゃん!勝ったよ!」


「おお、順調だね」



みーさんも順調のようで、無事勝者サイドの2回戦を勝ち抜いたようだ。

ちなみに、俺とみーさんはトーナメント表の逆の山になったので、当たるとしたら勝者サイドの決勝か敗者サイドってことになるね。



「うん、なんか、スノウちゃんみたいな意味の分からない反応がないから、戦いやすかった!」


「なんかごめん」



この前までオフラインでの対人戦は素人だったみーさんだが、オフラインで強い極端な例である俺との特訓によってオフラインでの戦い方をすっかり身につけてしまっているようだった。



「あっそうだスノウちゃん!私の次の相手の試合が向こうでやってるから見に行っていい?」


「うん、じゃあ一緒に行こう」



『向こう』ってのは、会場の前方に設置されている、対戦が実況される席のことだ。

試合映像が流れるスクリーンを背景に、選手達が向かい合う形でテーブルが設置されていて、1回戦ごとにピックアップされた試合があそこで実況されている。


勝ち残っていけば、いずれ俺もあそこで試合をすることになるだろうね。



『おっとHTR選手、着地を許しません!』


『すばらしい着地狩りですね』



実況枠の試合はなかなか一方的な展開になってい............ん?






ーーーーーーーーーー






「なんで、お前がいるの?」


「なんでって、大会に参加してるからに決まってるだろ」



そりゃそうなんだけど。

まさか俺たちが2人でたまたま選んだ大会に服部がいるなんて思わないじゃん。


確かに、こいつは今春休み中で暇を持て余してるから、こういう大会には参加してそうではあったけどね。



「そうそう、すごいんだぞ。今、お前とみーさんがオフ大会に来てるって界隈ですごい話題になってる」


「そ、そうなのか」


「俺も来てるのは知ってたが、邪魔しない方がいいと思ってな。デート中なんだろ?」


「う、うん、まあ、そうだね」



気を使っていたのか。



「で、デートって......」



みーさんは顔を赤らめている。



「あ、みーさん、こいつは友達のHTRだよ。一応、聖天冠のOBだね」


「は、初めまして。みーさんって名前で裏垢してます」


「ああ、知ってるよ。こいつがよく、かわいいー血飲みたいーって言ってるからな」


「あ、もしかして......?」


「うん、こいつは知ってるよ。ちなみに、他に知ってるのは私の両親とみーさんと麻衣だけだね」



これは俺の正体についてだ。

この2人が話すならこの事は伝えておいた方がよかっただろう。服部がうまく仄めかしてくれたね。



「な、なんだかすごい仲がいいんだね」


「まあ、長い付き合いだからね」



中1で出会ったから、あれからもうすぐ7年だね。

まあ、途中で1年半空白があるんだけど。




というわけで、服部は危なげなくさっきの試合に勝利していたので、次の試合は服部とみーさんがぶつかる。


服部は優勝候補の筆頭だ。だからさっきの試合も実況枠だったわけだし。

みーさんとしてはかなりの強敵にぶつかってしまったね。

俺の気持ち的にはどちらも応援したいが......






ーーーーーーーーーー






第3試合は敗者サイドでのみ試合が行われるので勝者サイドの俺たちは休憩になる。


というわけで、休憩しながら3人でトーナメント表を眺めていた。



「どの人が強いの?」


「んー、そうだな、オフ大会でよく勝ち残ってる名前がちらほら見えるな」



と言って服部はいくつか名前を挙げた。



「まあ、俺が一番やりたくないのはお前だけどな」


「そうなんだ?」


「普通のプレイヤーと全然違うからな。戦い方をガラっと変えなきゃいけないんだよ。しかも当たるとしたら最後の最後だし、疲れてるところでお前とやるのはキツい。それ抜きでも、お前には負ける可能性あるしな」



なるほど。俺は持久力も人間より高いし、こういう大会では勝ち進むごとに有利になっていくわけだ。



「まあ、俺はデートの邪魔をするつもりはないから、あっちで知り合いと話してるわ。みーさん、次はよろしく」


「は、はい!よろしくお願いします!」






ーーーーーーーーーー






無事に3回戦を勝ち抜いた俺は、実況枠の観戦席に来ていた。



『みーさん選手粘る!HTR選手、なかなか決めきれません!』


『とても慎重なプレイですね』



服部とみーさんの試合は実況枠になった。

優勝候補と美少女の試合なんてそりゃ注目されるよね。


既に服部が1本取っていて、この試合もみーさんがかなり追い込まれているけど、少し転んだらもしかしたら逆転できそうな感じで......あ。



『HTR選手が決めたー!!』



あーー、負けちゃったか。

いやでも、服部とここまで戦えるのはすごいね。練習の成果かな。


服部は危なかったとばかりに小さくため息を吐いた。

やっぱり、見事だったね。


観戦から恨みがましい目を向けられるのは少しかわいそうだけど。






ーーーーーーーーーー






「うわぁぁあん負けちゃったーー」


「よしよし」



実況枠の進行が終わったと同時に俺に泣きついてきたみーさんをなだめてあげる。



「あいつとあそこまでやり合えるなんてすごいよ」


「うぅ」


「それにまだ敗退したわけじゃないし。今日のみーさんならまだまだ勝ち上がれるよ」


「......うん」



次第に元気を取り戻していくみーさん。


なぜか、周りの男たちは手を合わせてこちらを拝んでいたり上を向いて目頭を押さえていたりしていた。


ていうか人が増えてないかな?

もしかして、俺たちを見に来て......?


あ、ありえる。

ほとんど外に顔を出さない超乱闘系裏垢女子が2人揃ってるんだもんね......


このまま増えて好き勝手されたらいけないね。

大会に迷惑かけないようにOwatterで呼びかけしておくか。




僕はス○ブラの大会には行ったことないので進行や雰囲気は想像です。唯一行ったことあるシャ○バの大会の記憶を掘り起こして書きました。

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― 新着の感想 ―
あと11話しかないの……?300話くらいこの2人のイチャイチャと麻衣ちゃんの葛藤を見てたい……
[一言] みーさんドンマイ
[良い点] スノウちゃんとみーさんの周り良い匂いしそう [気になる点] みーさんに吸血鬼なのに人間の両親と妹がいることどう説明したんでしょう?まだしてない?
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