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28話 誘拐

ここから異世界語を『』で表記します。



『はあ、はあ......』



上気した顔で息の荒いユーリア。

とてもおいしかったです。



『それじゃ、行くわよ』


『へ?』



さっそく転移魔法を発動すると、すんと視界が暗くなった。

日本は日が落ちていたようだ。


うん、ちゃんと家の前に転移できたみたいだね。

両親の車があるので、仕事も終わっている時間のようだ。


少し待つと、目の前に突然ユーリアが現れ......



『すはっ!?』



苦しみだした。



『けふ、くるし......ぁ、あたま、が......』


『え、どうしたの!?』



しゃがみ込み、か細い声をあげるが、何か魔法を発動すると落ち着いたようだ。



『だ、大丈夫?』


『はい、重力と気圧が大きいようでしたので、強化魔法をしました』


『そう......知らなかったわ、ごめんね』



てことは地球はあっちの世界より質量が大きいのか。気付かなかった。


ややあって、ユーリアは辺りを見回し始めた。



『ここがニホン......っひゃっ!?』


『ど、どうしたの!?』


『ま、魔物!?いや、中に人が......』



ああ、なんだ、車か。

車に驚くのは異世界人が地球に来たときのお約束だね。



『ああ、あれは車っていう乗り物よ』


『乗り物......移動手段ですか?魔法を使ってる気配はなさそうですが』


『そりゃあ、魔法じゃないもの。ガソリンって燃料を爆発させて、その力で動いてるのよ』


『爆発の力を......なるほど』



ユーリアは何やらぶつぶつと言い出したので、手を引いて家に入れる。



『――いやでも、高度に道が整備されていたからクルマはかなり普及しているはずで』


「ただいまー」


『あ、お、お邪魔します?』


「お兄おかえ......お父さーん、お兄が外国人の女の子誘拐してきたー!!」


「いや誘拐じゃな......!い......のか?」



なんか誘拐とほぼ変わらない気がしてきた。


とりあえずユーリアを紹介しようか。



「この子はユーリア。異世界の知り合いで、凄腕の魔術師だよ。こっちの世界に帰ってこれたのもこの子のおかげ」


「えっ、異世界の人!?えっと、お兄がお世話になっております?」


『......セツナさん』


『ん?』


『なんて言ってるんです?』



おーまいがー。



『一目惚れしたから結婚して欲しいって』


『えっ!?わ、私には心に決めた人が』


「すごい、知らない言葉......お兄、なんて言ってるの?」


「お前フラれたぞ」


「は?」






ーーーーーーーーーー






『な、何ですかこれ。すごい......これも魔法じゃないんですか?』



テレビのモニターに映る生前の俺の動画を見ておもしろい反応をするユーリア。



『これ!この姿と声になりたいんだけど、できる?』


『え、ええ。なんとか魔道具にしてみます。でも、複雑なので1時間ほどかかりそうです』


『お願い!』



魔道具は魔力を込めると魔法が発動する便利な道具だ。

さすが、この子は魔道具を作ることもできるのか。






ーーーーーーーーーー






生前の動画に懐かしみを感じていたらあっという間に時間が過ぎていた。



『セツナさん、できましたよ』


『本当!?ありがとう!ペンダントなのね』


『このくらいの小ささが限界でした』


『うん、丁度いいわ、使ってみていい?』


『ええ、どうぞ』



金属製のペンダント。白い透明な宝石の中に顕微鏡でしか見えないような超コンパクトなサイズの魔法陣がびっしり敷き詰められている。

何これ。どんだけ魔力制御がうまければこんなことができるんだ?


それはさておき、さっそくペンダントを首に取り付けて、宝石に魔力を流し込んでみる。



「あー、あー、おお!」



生前の声だ!



「お兄!?お兄だ!!」


「おっ!?」「雪那!?」



驚いた反応をする家族たち。

見た目の方もちゃんとできているのだろう。

さすがユーリアだ。


そのユーリアさんは、魔道具の出来を確認すると、すぐモニターをぺたぺた触って調べ始めた。



「お兄っ!」


「んむっ!?」



急に妹が抱きついてキスしてきた。


え......!?!?



「あれ?やわらかい?」



......ああ、そうか!


妹は俺が生前の姿で見えているけど俺の本体は女のままだ。

妹は生前の俺に抱きつこうとしただけだけど体格が同じだから当たってしまったと。



「この姿は幻影で本体は女のままなんだよ」


「そうなんだ!急にお兄が居たからびっくりしちゃった!」



俺の頭の上を見て話す妹。



「なあ妹よ、ファーストキスっていつだ?」


「え?まだだけど」



なんと!まさかのファーストキス!

そして気づいてない!知らぬ間に妹のファーストキスを奪ってしまうとは、責任を取って結婚しなければ!



「お前はかわいいなあ」


「えっ?」



なんか無性に食べたくなってきた。

幻影を解いて首元に噛み付く。



「ぱくり」


「え......ひゃんっ!」



血を吸い始めると妹からかわいい声が出た。


やっぱり妹の血は格別だ。

この温かさと鼻に抜ける血のにおい。最高だ。

飲み込むごとに優しい心地良さが体中を巡って浮いているようだ。



「あ......んっ、お兄......!」



吸っていると妹の体がびくんびくんと言い始めたので咄嗟に体を支える。

少しして、ぴちゃぴちゃと水が落ちる音が聞こえた。

また漏らしちゃったか。俺が美味しい分妹も気持ちよくて力が抜けてしまうのだろう。



......



「ぷはぁ」



うますぎる!うますぎてウマイヤ朝になった!最高だ!



「はあ、はあ......お兄の馬鹿。血を吸うなら、私の部屋でって、言ったじゃん......」



俺は妹とその周囲を洗浄魔法でキレイにした。


向こうで顔を赤くしたユーリアがジト目で俺を睨んでいた。






ーーーーーーーーーー






「ふん!」


「許してえ!転移魔法の後に幻影魔法を使ったから血が足りなくて理性が飛んじゃったったんだよお」



妹が口を利いてくれなくなって泣いた。

生理中の情緒不安定も相まってそりゃもう大泣きである。

吸血鬼は涙も無限に合成できるのもあり、さっきより床がびちゃびちゃになってしまったのであった。



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― 新着の感想 ―
最初主人公が何ともなかったのは生物最強の肉体だからか…… というか再生能力とかないのかな。 あ、ちがう。こいつ魔力生命体だからそもそも外的負荷があんまり効かないんだな あとシスターはお兄ちゃんLove…
[一言] 人類最強の言葉を軽んじて簡単に地球に連れてきてしまった結果、危うく人類最強殺しになるところだった主人公はもっと謝った方がいいと思う。基本スペック高そうな吸血鬼なだけあってその辺りは鈍感なんだ…
[良い点] おもしろい!
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