26話 いじられキャラ?
服部の友人たちを連れて、適当な空き教室にお邪魔する。
服部が教室のカーテンを閉めてくれたので、俺はフードとマスク、手袋を外した。
「実物のスノウちゃんだ......」
「......ぶわっ」
「美少女だ......」
適当な椅子に座る。服部の友人たちは左から友人A、友人B、友人Cとしておこう。
「は、服部、スノウちゃんとはいつからの付き合いなんだ......?」
「中学の頃からだな」
「だいぶ前だな!?リアルで会う仲だったことに留まらず、まさかそんなに長い付き合いだったのか!?付き合ってるんだな!?付き合ってたんだろ!?俺に隠して!」
「いや、こいつはただの親友だぞ」
「嘘だッ!どうせ、ポテチの開封音は何デシベルが理想か話しあったり、風に吹かれる剥がれかけのポスターのモノマネを一緒にしたりする仲なんだ!」
「どういう仲だよ」
最初に服部と会話し始めたのは友人Aだ。
「ぶわっ」
友人Bはさっきから号泣している。
「す、スノウちゃん、よかったらキモって言ってくれないかな?」
「......?キモ」
「あふ」
俺に話しかけた友人Cは早々に気絶した。
こいつらヤバい(確信)。
「もしかして服部さんの友達って私しかまともなのいないんですかね?」
「何言ってんだシスコン」
失礼な。妹は好きだがそれは俺がロリコンだからだ。かわいいロリがたまたま妹だっただけ。つまり俺はシスコンじゃない。
そしてロリコンはこの世の真理。だから俺はまともだ。Q.E.D.
「スノウちゃん、ざーこって言ってくれないかな?」
「ざーこ」
「あふ」
「つかよ服部、どうやってスノウちゃんと知り合ったんだよ。お前が中学の頃っつうと、スノウちゃんは小学生だろ?」
「あー、どうだったかな」
友人Aが痛い質問をしてくる。助け舟を出しておくか。
「確か、出掛けた先でゲームしてた時に服部さんに話しかけられて、そこから仲良くなりましたね」
「そうだ、よく覚えてるな」
これは事実。まあ、最初に知り合ったのは学校でなので、質問には答えてないね。
「お前ナンパとかすんのか!?」
「ちげえよ!?こいつが配管工カートやってたから対戦したかったんだよ!」
そういえば、超乱闘配信してた時から思っていたが、服部ってもしかしていじられキャラなのか?
面白そうだ。俺もやってみよう。
「あの日は服部さんの家に連れ込まれて、夜まで遊んじゃいましたね」
「配管工カートをな!?お前も敵かよ!」
「服部さんのキノコの使い方はすごかったですね......あれは痛かったです」
「アイテムのキノコな!?」
シスコンって言った仕返しだ!ははは!
「友達ってそっちの友達だったのか!?」
「ぶわっ」
「スノウちゃん、変態って言ってくれないかな?」
「変態」
「あふ」
「俺泣くぞ!?」
誰だ俺の親友を泣かせた奴は。
ーーーーーーーーーー
思ったより服部の友人達が個性的で話し込んでしまったが、そろそろ帰るとする。
「じゃあ、私はそろそろ帰りますね」
「ああ、ありがとなたか......スノウちゃん」
席を立つ。
すると、俺の内ももの辺りに何かが這う感触が。
「ん?」
スカートをたくしあげてみると、俺の太ももに1滴の血が垂れていた。
えっ!?漏れた!?
まじか。地球のナプキンこんなもんか。
「......だ、誰かティッシュ持ってません?」
呆然とする中で辛うじて正気を保っていた服部にティッシュをもらい、太ももを一拭きする。
「「「あふ」」」
友人たちは全滅した。
とんだ恥をかいた。
来る前に替えていればよかったな。
てかこの血だらけのティッシュってどこに捨てればいいんだ?
「......服部、これ要る?」
「要るか!!」
ーーーーーーーーーー
それから女子トイレの個室で汚れたナプキンとパンツに洗浄魔法をかけて新品同様にし、ついでに用も足して、そのまま帰ることにした。
血だらけのティッシュは、血が見えないように新しいティッシュでくるんで女子トイレのゴミ箱に捨てた。
帰路。
最寄り駅で電車を降り、今家に向かって歩いているが......俺は辟易としていた。
「またか......」
駅で降りてから俺の後をつけている魔力反応が1つ。
またストーカーだ。
みーさんと初めてのオフ会をした時もだし、実はみーさんの家や服部アパートを行き来する時にも何度かつけられている。
これ、なんとかならないの?
まあまずはこの状況をなんとかしようか。
とりあえず裏路地に入ると、ストーカーも俺を追おうと走ったのが魔力感知でわかった。
俺は人類を超越した速度で建物をぐるりと1周し、ストーカーの後ろに出た。
「あの、何か用ですか?」
「えっ!?」
アラサーくらいに見えるおじさんだ。
「住所がバレると困るのでやめて欲しいのですが」
「あ、ハイ、ごめんなさい」
えらい。ちゃんと謝れる子は先生好きですよ。
「これあげるのでこういうことはもうやめてくださいね」
髪を1本ぷちりと引き抜いて、渡す。
「あ、ありがとうございます!!一生大切にします!」
えぇ、喜ぶんだ......
まあいいや。さっさと帰ろ。
でも、いい加減これどうにかならないかなあ。




