表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

タロウ物語

作者: シグルド

この仔犬は『タロウ』。

ちいさなむら『ハギむら』の番犬ばんけんだ。


━━━━━━━━━━


タロウはむら子供こどもあそんでいる。


「タロウ、ってい!」


子供こどもがボールをげる。


(ワン!)


タロウは全速力ぜんそくりょくでボールにかう。


(カプッ!)


ボールをくわえてもどってる。


「もっともっと!」


タロウは尻尾しっぽ催促さいそくする。


「よしよし、け!」


子供こどもがまたボールをげる。


(ワン!)


タロウはまた全速力ぜんそくりょくでボールをう。


(カプッ!)


ボールをくわえてもどってる。


「よしよし。」


子供こどもはタロウのあたまでる。


しばらあそんだあと子供こどもいえかえってった。


━━━━━━━━━━


あるむら領主りょうしゅ家族かぞくがやってた。


「ようこそ、ハギむらへ。」


村長そんちょうの『ヨモギ』が挨拶あいさつをする。


「あなた、こんな辺鄙へんぴところまるの?」


おくさんの『パスタ』がはなす。


「これこれ、本当ほんとうだとしてもったらいかんぞ。」


主人しゅじんの『ボルドー』がパスタをめる。


(ガルルル…。)


「タロウ、領主りょうしゅさまだからダメだぞ。」


ヨモギがタロウをなだめる。


ヨモギは領主りょうしゅ屋敷やしき案内あんないしてった。


━━━━━━━━━━


「なんてえらそうなんだ。」


村人むらびといえからる。


領主りょうしゅだからって。」


タロウのまわりで愚痴ぐちる。


「まあまあおさえておさえて。」


ヨモギがもどってなだめる。


「ヨモギさん、どうしてかえさないんだよ。」


ヨモギにる。


「いやいや、領主りょうしゅさま反論はんろんなんてえませんよ。」


━━━━━━━━━━


領主りょうしゅは1週間しゅうかんほど滞在たいざいし、かえた。


領主りょうしゅさま、またいつでも、おちしております。」


ヨモギがあたまげる。


「のんびりさせてもらった。」


ボルドーがヨモギのる。


「ねえねえ、そのいぬれてかえりたい。」


息子むすこの『ナムル』がタロウをゆびさす。


「ナムルさま、タロウはこのむら番犬ばんけんなんです。

れてかれては…。」


ヨモギが、タロウのあたまでる。


「ナムルよ、いぬなら沢山たくさんるではないか。」


ボルドーがナムルを説得せっとくする。


「このいぬがいい。」


ヨモギもボルドーもこまってしまった。


「タロウはれてかせないぞ!」


そのとき子供達こどもたちてタロウのまえふさがる。


「お前達まえたち…。」


ボルドーがおもむろくちひらく。


君達きみたち、タロウをしてくれないか?」


子供達こどもたちくびる。


ぼく領主りょうしゅ息子むすこなんだぞ!

れてくったられてく。」


ナムルはタロウを無理むりやりれてこうとする。


「タロウはれてかせないぞ!」


子供こどもがナムルをばす。


「まあ!わたしのナムルになんてことするの!」


パスタがナムルにる。


れてくんだ!」


今度こんどはナムルがかえす。


絶対ぜったいれてかさない!」


ナムルと子供こどもいの喧嘩けんかになる。


「お前達まえたちめるんだ!」


ヨモギとボルドーがめにはいる。


「ナムル、このむら大切たいせついぬなんだ。

帰るぞ。」


ボルドーは、ナムルを無理むりやり馬車ばしゃせ、かえってった。


━━━━━━━━━━


領主達りょうしゅたちむらからかえって1ヶ(か)げつった。

ここは大都市だいとし『サクラ』。

ボルドーがおさめる都市としである。


じいじいるか!」


ナムルがじいぶ。


「ナムルさま、おびですか?」


ナムルの部屋へやじいはいってくる。


じい、ハギむらいぬれてきて。」


ナムルが、じいにおねがいする。

しかし、じいくびる。


「ナムルさま、ボルドーさまから、ハギむらいぬはダメだとわれております。」


父様とうさんめ!)


「わかったよ、じいてって!」


ナムルはじい部屋へやからす。


絶対ぜったいれてやる…。」


━━━━━━━━━━


つぎ、ナムルは市内しないあるく。


「たしかこのあたりのはず。」


ナムルは路地裏ろじうらはいってく。


「お、ナムルじゃないか?」


路地裏ろじうらむ『ボルシチ』がこえをかけてた。


「ボルシチ、たのみがあるんだ。」


ボルシチはかお近付ちかづける。。


「なんだ、喧嘩けんかか?」


ナムルはくびる。


「ハギむらいぬさらっててくれ。」


ナムルは、ポケットからおかねす。


「わかったぜ!」


ボルシチはおかねおくえてった。


━━━━━━━━━━


数日後すうじつごむらちかくに、くろいフードをかぶった5にんぐみあらわれた。

かれらはボルシチの仲間なかまだった。


「あのいぬだな。」


ボルシチがゆびをさす。


いまさらったら良いんじゃ?」


仲間なかまの1『チョビーノ』がう。


「いやて、村人むらびとてるかもしれない。」


ボルシチがめる。


「じゃあよるまでつのか?」


仲間なかまの1『ガスパチョ』がく。


「ああ、村人むらびとしずまってからな。」


ボルシチがこたえると、仲間なかまの1『トムヤムクン』がポケットからお菓子かしす。


「お菓子かしべないか?」


トムヤムクンがお菓子かしくばる。


「お、ドーナツか。」


仲間なかまの1『チャウダー』が拍手はくしゅする。


(パクパク、モグモグ。)


菓子かしべながら、5にんしげみでよるまで時間じかんつぶした。


━━━━━━━━━━


よるむらひとえたかのようしずまりかえっていた。


「それじゃあ作戦さくせんどおりに。」


ボルシチのごえで5にんらばる。


け!」


ガスパチョは、ひもきボールをいぬちかくにげる。


(ポン、ポン、コロコロ。)


ガスパチョはひもきボールをうごかす。


(コロコロ、コロコロ。)


「ボールだ!」


タロウは尻尾しっぽりボールをいかける。


(コロコロ、コロコロ。)


ガスパチョがしげみまでタロウをおびせる。


「今だ!」


ボルシチのこえでトムヤムクンがマスクでタロウのくちふさぐ。


(ウー、ウー。)


タロウはくびうごかしはらおうとする。


「よし!」


マスクをめられたタロウをチョビーノとチャウダーとボルシチがはこむ。


(バタバタ、バタバタ。)


タロウははこからようとあばれる。


「さあ、かえるぞ。」


ボルシチたちはこ台車だいしゃかえってった。


━━━━━━━━━━


あさになり、村人むらびとそとてきた。


「さあ、今日きょうはたら

くぞー!」


子供達こどもたちてきた。


「タロウ、ごはんだよ!」


子供達こどもたち犬小屋いぬごやのぞくが、タロウの姿すがたかった。


「タロウ、ないよ?」


子供達こどもたちこまったかおをする。


「あら、いつもなら小屋こやなかるのに…。」


大人達おとなたち不思議ふしぎがる。


「どうしたんですか?」


ヨモギがたずねる。


村長そんちょうさん、タロウがないの…。」


子供達こどもたちがヨモギにうったえる。


「おかしいな、昨日きのうわたし小屋こやれたのだが…。」


ヨモギも不思議ふしぎがる。


「タロウ、どこにったの…。」


子供達こどもたち半泣はんなきでつぶやく。


むらまわりをさがしてみるか。」


大人達おとなたちうなずく。


━━━━━━━━━━


サクラもどったボルシチたちは、路地裏ろじうらでナムルがるのをっていた。


「ボルシチ、いぬは?」


ボルシチたちぬのはずす。

すると、おりなかにタロウがた。


「このいぬいんだろ?」


ナムルはうなずくと、タロウをった。


(グルルル…。)


タロウはナムルをにらける。


ナムルは5にんにおかねわたし、タロウをれてかえった。


━━━━━━━━━━


ハギむらでは、大人達おとなたち村中むらじゅう隈無くまなさがしたがタロウはつからかった。


「タロウ、つからかったよ…。」


大人達おとなたち子供達こどもたちはなす。


「わーん!タロウどこにっちゃったのー!」


子供達こどもたちくことしか出来できなかった…。


━━━━━━━━━━


ボルシチたちから、タロウをったナムルは、屋敷やしきかえってきた。


屋敷やしきには10ぴきいぬれたおりがある。


(ガチャン!)


屋敷やしきおりにタロウをれた。


「これで、タロウ もぼくものだ。」


(ワンワン!ワンワン!)


タロウがナムルにえまくる。


えたってさないよ。」


ナムルは屋敷やしきなかはいってった。


━━━━━━━━━━


屋敷やしきおりなか犬達いぬたちはなしている。


新入しんいり名前なまえは?」


柴犬しばけんはなしかけてきた。


「ハギむらの『タロウ』です。」


タロウはあたまげる。


おれ柴犬しばけんの『ヤマト』だ。」


ヤマトはタロウにえさわたす。


えさべな。

ナムルは、れてきたばかりのいぬには、えさあたえないんだ。」


タロウはまたあたまえさべる。


(ムシャムシャ。)


「ハギむらには、ほかいぬるのか?」


タロウはくびる。


ほかいぬない。」


ヤマトはタロウのかたく。


「そうか、それならがしてやる。」


タロウはかおげ。


本当ほんとうに?」


ヤマトはうなずく。


「お前達まえたち手伝てつだってくれるよな?」


(ワオーン!)


「ありがとう!」


犬達いぬたち作戦さくせんてることにした。


━━━━━━━━━━


作戦さくせん決行日けっこうびよるふかまり、あたりはしずまりかえっている。


「それじゃあ、作戦さくせん決行けっこうだ!」


ヤマトのごえで、地面じめんあなはじめた。


(ガリガリガリ、ガリガリガリ。)


あなふかくなり1メートルほどった。


つぎかべかってるんだ!」


犬達いぬたち交代こうたいしながら真横まよこすすめる。


こと数時間すうじかん今度こんどうえはじめた。


あな貫通かんつうしたぞ!」


あなかべぎ、みちなか辿たどいた。


おれは、ここにのこるが、お前達まえたち自由じゆうだ!」


タロウはおどろく。


「ヤマトもげなよ。」


ヤマトはくびる。


おれは、ここでまれたんだ。

そとことはわからねぇ。


なかかわずなのさ。

それに、ナムルをかなしませるわけにいかない。」


(ワオーン!

タロウたちは、遠吠とおぼえをして、ヤマトを見送みおくった。


「ヤマト、元気げんきで…。」


こうしてタロウは、ハギむらかってはしした。


「おい、タロウ!」


なんと、ほか犬達いぬたちもタロウにいてていた。


「どうしていてるんだ?」


タロウはたずねる。


俺達おれたち何年なんねん屋敷やしきたから、かえみちはわかんねぇ。

だから、タロウとハギむらきたい。」


タロウは頷く。


「わかった、ハギむらこう。」


タロウたち、10ぴきはハギむらはしした。


━━━━━━━━━━


タロウたちはしして数時間すうじかんよるあさがきた。


(ドドドドド。)


タロウたちは『ボタンむら』に辿たどいた。


えさもらってるからっててくれ。」


犬達いぬたちうなずく。


タロウはむらはいってく。


「ワンちゃんだ!」


むら子供こどもゆびをさす。


「ママ、えさあげてい?」


子供こどもははうなずにくってきた。


「はい、ワンちゃんべて。」


子供こども分厚ぶあつられたにくく。


(ガブッ!)


タロウはにくくわえると、むらそとはしってった。


「ワンちゃんげちゃった。」


タロウは犬達いぬたちところると、つめにくけた。


すこしだけどべよう。」


タロウたちにくべ、またはしした。


━━━━━━━━━━


サクラ屋敷やしきでは。


いぬげた!」


ナムルはあわててボルドーをびにく。


父様とうさん父様とうさん!」


ナムルが父様とうさん部屋へやはいっていく。


(バタン!)


「なんだ、ノックもしないで。」


ボルドーが注意ちゅういする。



「ごめんなさい、でもいぬなくなっちゃったんだよー!」


ナムルは父様とうさん必死ひっしうったえる。


かぎわすれたんだろ。」


ナムルはくびる。


「わかった。」


ボルドーはナムルとおりに行く。


いぬは?るじゃないか。」


ナムルは、またくびる。


「ヤマト以外いがいなくなっちゃったんだよ!」


ボルドーはおりなか確認かくにん、するとあながあることにいた。


「ここからげたんだな。」


ボルドーはあなせる。


「せっかくれたのに、あなるなんて…。」


ナムルはかたとす。


「なに!れたって。」


ボルドーはナムルをめる。


「ハギむらいぬってたのか?」


ナムルはうなずく。


「はぁ、じいめさせていたのに、まったく…。」


ボルドーはあきれてしまう。


「それじゃあ自業自得じごうじとくだな。」


ボルドーはなかもどってった。


━━━━━━━━━━


日後みっかご、タロウたちは『ハギむら』に辿たどいた。


(ワン!ワン!)


タロウが吠える。

すると、いえから続々(ぞくぞく)た。


何々(なになに)?」


「タロウかしら?」


村人達むらびとたちあつまってた。


「タロウじゃない!」


「タロウだ!」


村人むらびとがタロウのあたまでをでる。


「この沢山たくさんいぬは?」


「タロウがれてたのよ。」


タロウをでながらはなす。


村中むらじゅうで飼いましょ?」


村人達むらびとたちは頷く。


犬小屋いぬごや沢山たくさんつくらないとな。」


男達おとこたちうでくりし、もりはいってった。


━━━━━━━━━━


つぎ、其々其々(それぞれ)犬小屋いぬごや完成かんせいし、犬達いぬたちはいった。


(ワン!ワン!)


犬達いぬたち尻尾しっぽって喜ぶ。


あそびにくぞー!」


子供達こどもたち犬達いぬたちれ、あそびに出掛でかけた。


ひるぎ、1だい馬車ばしゃた。


そこからボルドーとナムルがりてきた。


「すまないが、村長そんちょうんでてくれませんか?」


村長そんちょうびにった。


今回こんかいは、みなさんにもいてほしいことがあるので…。」


村人むらびと村長そんちょうれてもどってた。


「ヨモギさんやむらみなさん!今回こんかいうちのナムルがタロウをさらったみたいで、ご迷惑めいわくをおかけしました。」


ボルドーとナムルがあたまげる。


「え、えっと、昨日きのう、タロウがかえってまして…。」


子供達こどもたちあそびからかえってた。


「あっ!」


子供こどもの1が、ボルドーとナムルをゆびさす。


いぬわたさないぞ!」


子供達こどもたち犬達いぬたちまえふさがる。


君達きみたちごめんね。

もう犬達いぬたちったりしないから。」


本当ほんとうに?」


ボルドーはうなずく。


子供達こどもたちは笑顔になった。


「さあ、ナムルからもみなさんにあやりなさい。」


ナムルはかおげ。


§「大切たいせついぬさらってごめんなさい。」


ナムルはあたまげた。


迷惑めいわくをかけた、おびに、子供達こどもたちにプレゼントだ。」


ボルドーは、子供達こどもたちに、動物どうぶつしたクッキーをおくりました。


そして、ボルドーとナムルはかえってった。


━━━━━━━━━━


数ヶすうかげつち、犬達いぬたち生活せいかつに慣れ。

たまにナムルがやってて、犬達いぬたちと遊ぶようになりました。


§おしまい§

読んで頂きありがとうございました。


今回の話は、動物を大切にしている所と、悪い方法で手に入れたってロクな事が無いと言う所を考えて見ました。


━━━━━━━━━━


書き終えて文字数に驚きました。

以前に書いていた作品より倍くらい多かったからです。


どんどん書いていくので、また読んで下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] タロウ、大変でしたね。 無理やりは良くありませんねー。 最後には和解できていて良かったです。
2023/08/10 16:28 退会済み
管理
[一言] チョビーノ、私も何のお料理かわかりませんでした。 そうか、魚介系シチュー……クラムチャウダーのような味なのかしら。 領主の息子ともなれば、たいていのわがままは叶ってしまいそうですものね。ど…
[一言] 悔しいことに、チョビーノだけがどんな食品だかわかりませんでした。 アンチョビをモジった子なんですかね? ナムル、悪いことをしてもあんまり怒られずに育ってきたのでしょうね。 今回もめっちゃ怒…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ