1人目~田中タケルの場合~ 2
「はぁ~暇だね~。」
「はぁ~暇ですね~。」
店のカウンターでは2人の男女が今にも寝入りそうに突っ伏して暇を持て余している。
男の方はやや長めの銀髪後ろに束ね。丸メガネをしている。大人にも見えるが幼くも見える不思議な魅力がある容姿だが突っ伏している姿から色々台無しである。
女の方は黒髪を耳が被るくらいまで伸ばしたおかっぱ頭で幼さは残るものの落ち着いた雰囲気を醸し出している。こちらは突っ伏しているがカウンターに乗る胸の部分が形を崩し正面から見れば眼福である。
しかしその福にありつける客は残念ながら今のところ一人もいない。
男の方は「烏丸」(からすまる)と書かれた名札の下に「店長」と控えめに記されている。
女の方は「雛形」(ひながた)と記された名札の下に「美人店員」とデカデカと記されている。
「店長~。暇なんでアイス買ってきてください。」
「いやいやひなちゃん。いや、『美人店員』さん。そこは私買ってきますから店長は待っていてください!キャピっ!って言うとこでしょ。」
「いつからそんな巷のJKみたいなキャラになったんですか私は。」
「今」
「は?ないわ~店長まじ無理」
「臨海」
「異世界」
「異界」
「以外」
「痛い」
「またい?い~・・・い~・・・。今井」
「人の名前はアウト!」
「そんなルール知りません。いつ決まりました?」
「今」
「は?ないわ~店長まじ無理。」
「臨海」
無限ループである。
「あの~すいません。」
「いらっしゃいませ~!店長ほら起きて!」
「いらっしゃい。なにかお探しで?」
そこにはスーツは着ているもののヨレヨレでいかにもリストラされました感が出ているうだつの上がらなそうな男が立っていた。
「いえ、買取をお願いしたいんですが?」
「はいはい、何をでしょう?」
「あの~・・・わ、私の寿命を。」




