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デスゲームに巻き込まれたようだけどこのゲーム作ったの俺でした  作者: 恋魂
四月十日 最後ミッション 無限回廊
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⑦ サイドZ カノン

 

 誰もいなくなった教室で一人、我は待つ。

 終わりは近い。

 今回のお父様は我の想いに応えてくれるだろうか。

 長い、長い時を待っている。


『出席番号 51番 カノン様』


 Aの声が聞こえて転送が始まる。

 久しぶりに自ら創造した世界に行く。

 ついでに色々修正しておこう。

 Bに任せていたので、適当に治しているかもしれない。


 データが分解され、再構築される。

 仮想空間の世界。

 スタート地点は草原だが、弄ってズルをする。

 ラスボス地点でスタートすることにした。


 最果ての地。

 魔王パズンの城は草原を抜けた崖の上に佇んでいた。

 真っ白だった古城が黒く染まっている。

 終わった後、塗り替えないといけない。


 両手を前に出し、巨大な鉄の城門を開ける。

 入ろうとした所で、中から人間型の機械化ドラゴンが現れる。


「イィイィ」


 我を発見し、襲いかかってくる。

 目の前に巨大な壁を作り出した。

 人型機械化ドラゴンの顔半分と右手だけが壁からはみ出す。

 他はすべて壁の中だ。


「イ、イイィイィ」


 はみ出ている頭を握る。

 ふむ、チップは残っているのか。

 次は誇り高い龍族として死ねればいいな。

 ぐしゃり、と潰す。

 緑の血とオイルが混じった液体を振り払う。


「イィイィ」 「イィイィ」 「イィイィ」


 人型機械化ドラゴンがさらに三体、門から現れる。

 面倒くさいな。

 携帯を取り出して電話する。


『はい、こちらA。只今、留守にしております。ご用の方は......』


「黙れ。Bを連れてすぐに来い。もうそちらでやる事はないだろう」


 沈黙の後、Aから返答がくる。


『姉さん、わしら、もう次の周回分を用意してます。

 勘弁してもらえへんやろか?』


「次はいい。今回終わったら少し休む。いいから二秒以内に来い。さもないと......」


『わ、わかりました。向かいます。一秒で行きますわ』


 通話が終わると同時に黒い機械、AとBが眼前に現れる。

 携帯機械のマリアと同じシンプルなデザイン。

 のっぺりとしたマネキンのような機械は、二人共黒のタキシードを着ていた。

 マリアとの違いは、女型でなく両方とも男型なので胸がないことぐらいか。


『呼ばれて』


『飛び出て』


 二人が何故かポーズをつける。

 シャッキーーン、という音が聞こそうなポーズ。

 また、お笑いからパクったのだろう。


『じゃじゃじゃじゃーん』


「いいから、アレ、早く片付けて」


『はいさっさ』


 Aが右手を上げる。

 その手の平がぼんっ、と大きく膨れる。

 手の平だけでA全体の五倍くらいになる。


 三体の人型機械化ドラゴンがAに向かって飛び込んでくる。

 Aはハエを潰すように巨大な手の平で、三匹を上から叩き潰した。


『うわっ、ゴキブリ潰したみたいになってるやん』


 Bが潰されて、ぐちゃぐちゃになった物体を見る。


「綺麗にしといてね。後から片付けるの面倒だから」


『ほいさっさ』


 Bが左手を上げる。

 手の平の中央に穴が空き、その穴にぐちゃぐちゃになった人型機械化ドラゴンを吸い込んでいく。

 床に大きな手形だけが残った。


「床は終わってからでいいわ。先に進みましょう」


 城を見上げる。

 ドイツにあるノイシュヴァンシュタイン城をモデルに造りあげた城。


 草原地帯を抜け、深い森と点在する湖。その中に絶壁で囲まれた台地に建てられている。


 玄関ホールを抜け、広間に入る。

 吹き抜けになった天井からは巨大なシャンデリアが下げられており、黄金の輝きに包まれている。

 天井の黄金は太陽と星からなる天空を表し、動植物のモチーフが描かれた床は大地を表現している。

 壁にはオペラの題材であるパルジファルの絵画が数多く飾られていた。

 その一つ。絵の後ろに異変を感じる。


 その絵に向かって中指をたてる。

 絵が上にズレて、それが浮かぶ。


 文字。誰かが書き残したその文字は今回の周回で書かれたものではなかった。


 忠告。お前の終わりは近づいている。


 誰が書いたか判る。前回、魔王パズンと戦った勇者。

 お父様が気をかけていて、特殊なスキルやデスゲームの知識を持っていた。

 世界最後の日。最後の一人まで残った男。


 今回は何も出来ず、我がここに来る前になくなっている。

 これは前の周回で書かれたものだろう。

 これを発見することが出来る者。つまり、我に対して

 の忠告ということか。


 終わりが近づく?

 戯れ言だ。

 我とこの世界は永遠に終わらない。

 お父様と我の箱庭なのだ。


「B、消し忘れだ。次やったらお仕置きだぞ」


『すいまへん、つぎからは気をつけます』

 いじわるな、しゅうとめみたいやんけ


 新しい暗号を使っている。

 ぶっ壊してやろうかと思ったが我慢する。

 ミッションが終わったらお仕置き地獄だ。


 広間を抜け、王座の間に到着する。

 機械化ドラゴンはもう現れなかった。

 無駄だと思って止めたのか。

 城に入る人型タイプは少なかったのか。


「初めましてと言うべきか、お久しぶりと言うべきか」


 玉座に座る黒い少女。

 我と全く同じ顔が笑みを浮かべる。

 間違い探しでも色以外は違いは発見出来ないだろう。


「お久しぶりで初めまして。お姉様。そして」


 AとBが構える。

 いつもの様にふざけない。


「さようなら」


 破壊の衝動が圧倒的な速度で襲いかかる。

 AとBが我をかばい、前に出る。

 ミキサーにかけられたようにAとBの身体が物凄い勢いで回転しながら宙に舞う。


「なかなか手厚い歓迎ね」


 バラバラとAとBのパーツが降り注ぐ。

 破壊と創造。

 二度目の戦いが始まった。








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