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デスゲームに巻き込まれたようだけどこのゲーム作ったの俺でした  作者: 恋魂
四月四日 リザードマン討伐ミッション
33/111

⑭ 真実

 

『ミッションコンプリート。すべてのミッションが完了しました』


 アナウンスが流れる。


『三分後に教室に戻ります。お疲れ様でした』


 ミッションが終わりカムイやクリスの前に椅子が出現する。

 最初にカムイが、次にクリスが椅子に座って消えていく。


「ルカ、くっつきすぎ、椅子に座れない」


「一緒に帰る。まだ座らないで」


 アリスが椅子に座るのをルカが邪魔している。

 アリスが死にかけてからルカの様子がおかしい。

 側から見ていると百合ゆり全快だ。

 二人の様子をハイドが白けた目で見ている。

 ようやくルカの椅子が出現すると二人で同時に椅子に座る。


 アイと二人きりになった。

 ナナが死んだ時、無謀にもジークに立ち向かうのをアイは身体を張って止めてくれた。

 それから一言も話していない。

 気まずい空気が流れている。

 一言、礼を言っておこうとアイを見る。


 パンツを脱いでいた。


「な、なにしてるんですかっ」


 動揺して大声で叫んでしまう。


「ん、ナナ、下着ないの気にしてたから」


 脱いだパンツをナナの着物の上に置く。

 キョウヤとナナ、二人の遺体を綺麗に並べていた。

 ナナの首は元の位置にちゃんと戻している。


「向こうでも履いてなかったらかわいそうだからね」


「そっか......」


 良かった。痴女的行為でなくて本当によかった。


「それじゃ、俺も」


 スエットのポケットからアルミに包まれたおにぎりを出す。


「食べなかったの?」


「半分のだけ食べた。後であげようと思ってたんだ」


 オカカのおにぎりをキョウヤの身体の上に置く。

 アイと二人で手を合わせる。


 椅子が現れ、座る。


「サヨナラ」


 ナナの笑顔が頭に浮かぶ。

 それがぐにゃりと歪んだ後、すべてが真っ暗になり教室に戻った。


 生き残った全員が椅子に座ってる。

 ナナ、キョウヤ、ヒロシの机に花が飾られていた。

 結局、新人は一人も生き残れなかった。


 キーンコーンカーンコーン


 スピーカーからチャイムが鳴る。

 時計を見ると夜の五時を指している。


『リザードマン討伐ミッション結果』


 黒板に文字が書き込まれていく。


『出席番号1番 カムイ君 8530P』


『出席番号11番 クリス君 50P』


『出席番号12番 アリスさん 910P』


『出席番号18番 ルカさん 910P』


『出席番号 30番 アイさん 135P』


『出席番号 33番 ハジメ君 135P』


『出席番号 34番 キョウヤ君 死亡』


『出席番号 35番 ナナさん 死亡』


『出席番号 36番 ヒロシ君 死亡』


『次回のミッションは四月七日の予定です』


『それではみなさん、また明日〜〜』


 カムイのポイントが桁違いだ。

 ジークを倒したポイントが大きいのだろう。


「さて、それじゃあ、ワタシはA組に戻るわね〜」


 クリスが立ち上がり、携帯を取り出す。


「待ってるわよ、カムイちゃん」


 カムイにウインクした後、こちらを見る。


「あらあら、怖い顔してるわね。ハジメちゃん」


 顔に出ていたのか。

ナナとキョウヤの直接の原因はクリスではない。殺したのはこのデスゲームだ。

 だがそれでも考えてしまう。

 クリスがジークを呼ばなければ、二人は今も笑って、ここにいたんじゃないかと。


「強くなってA組に来たら、話聞いてあげるわ。ここじゃ弱い者が語る権利はないのよ」


『クリスくんがA組に編入します。皆さん、笑顔で見送りましょう』


 スピーカーから音声が流れる。


「それじゃ、みんな」


 クリスが深々とお辞儀をする。


「また地獄で会いましょうね」


 クリスの姿が一瞬で消える。


 教室に沈黙が流れる。

 最初にアリスとルカが席を立ちロッカーに戻った。


「寝るわ。今日、晩御飯いらない」


 アイもロッカーに戻る。

 カムイと二人きりになった。

 左手で携帯をいじっている。

 普通の体型に戻ったときに無くなっていたカムイの右手が再生されていく。

 どうやらポイントで回復をしているようだ。


「カムイ」


 花が飾っているナナの机越しに、黒板の方を見たままカムイに声をかける。


 反応はない。


「カムイっ!」


 叫ぶ。


「なんだ」


 カムイもこちらを見ない。

 二人とも黒板を見たままだ。


「お前が」


 この質問をしてもいいのか?

 いや、すでに答えはでているも同然だ。

 何回もやり直しているなら、俺が神様ということを隠す意味もない。

 これはただの確認だ。


「お前が俺を呼んだのか?」


 沈黙。一秒の沈黙がとてつもなく長く感じる。

 二秒、三秒、永遠とも思える時間。


「ああ」


 カムイが口を開く。


「俺がお前を呼び出した」


 頭のネジが外れそうになる。


「俺はなんだ? 本当に神でこのゲームを作ったのか?」


 立ち上がろうとしたがうまく立てない。

 つまづいてナナの椅子に顎をぶつける。

 カムイの足を掴み、這い上がる。


「だったらなぜすぐ俺を殺さないっ。どうして現実に帰らずに何回もやり直すっ! 」


 カムイは答えずに立ち上がる。

 支えを失い、尻餅をついた。


「来い」


 ロッカーに向かって歩き出す。

 扉を開けてそこで立ち止まる。

 ナナの机を支えに起き上がる。

 まるで地獄の釜が開いたようだ。

 フラフラと吸い込まれるようにカムイのロッカーに入る。

 扉が閉められ教室から誰もいなくなった。


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