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デスゲームに巻き込まれたようだけどこのゲーム作ったの俺でした  作者: 恋魂
四月四日 リザードマン討伐ミッション
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⑩ お前、自分が死なないと思ってるんじゃないか?

 

 串刺しのアリスの背後で号泣するルカ。

 その前にいる三つ首の異形のリザードマン。

 ヒロシの姿は確認出来ない。

 床に粉々の肉片が飛び散っている。まさか、あれが。


「おい、あれ」


 キョウヤが指刺す先、異形リザードマンの後ろの壁に顔が貼り付けてあった。

 人の顔。

 恐怖に歪んだ顔は縁日のお面のように、壁に固定されている。


「おっと、これを付けなくては」


 異形リザードマンが床から何かを拾う。

 眼鏡だった。

 壁に張り付いた顔に眼鏡をかける。

 ヒロシの顔が完成する。

 満足そうに異形リザードマンはうなづいた。


「これでよし」


 全身からブワッと汗が吹き出る。

 やばい。一目でわかる。レベルが違う。


「引くぞっ、撤退だっ!」


 扉の先には入らない。

 ハイドだけが鉄扉から中に入っていく。

 一刻も早くここから去らなければならない。


「えっ?」


 思わず目を疑う。

 アイ、ナナ、キョウヤの三人が扉に向かって駆け寄っている。


「ダメだっ、撤退をっ......!!」


 違う。三人は駆け寄ってるのではない。

 吸い込まれているのだ。

 磁力のようなものだろうか。

 自分も得体のしれない力で扉の中に吸い込まれる。

 なだれ込むように四人が部屋に入ったとたんに、大きな鉄扉が音を立てて閉まる。


「逃がさんよ、人間共」


 念動力!? 異形リザードマンのスキルかっ!


「や、ヤバいで。閉じ込められたで」


「ちょっ、どうするの?」


 キョウヤとアイが鉄扉を開けようとしているがビクともしない。


「《《三人》》か。誰から遊ぶ?」


 部屋に入る前から隠密スキルを使っていた。

 異形リザードマンは俺を認識していない。

 認識せずとも吸い込まれたということは、念動力は精密なものではなく、大雑把なものだろう。

 とにかく、姿を確認される前に倒す。

 それしか勝ち目はない。


 床に落ちていた剣が何十本も宙に浮く。

 あれでアリスはやられたのか。


「あああぁああああぁ、アリス、アリスっ」


 ルカは壊れたように泣いている。

 アリスは死んでしまったのか。

 立ったまま、完全に沈黙している。

 ハイドがルカに近寄るが、ルカはアリスに抱きついて泣くだけで気づいていない。

 もう、一人でやるしかない。


「ワ、ワシがやったるわ」


 ナナとアイ、二人を守るように前にでるキョウヤ。

 震えている。

 異形リザードマンが攻撃に入る前に仕留めないと、キョウヤは死んでしまうだろう。


「震えているぞ」「弱そうだ」「いたぶるか」


 三つの首が同時に喋る。

 弱点はどこだろうか。

 真ん中の首が怪しいが、一つ切っても生きていそうだ。

 心臓も三つあるのだろうか?

 尻尾を切って転倒させたほうがいいのか。

 考えている時間がない。

 全部試すか。

 まずは頭。次に胴体。最後に尻尾。


「おら、来いやっ」


 キョウヤが挑発する。

 空中に浮いている剣が回転して、切っ先がキョウヤに向く。

 だがその前に、異形リザードマンの背後に回り込んだ。

 剣を上段に構え、思い切り勢いをつけて振りかぶる。

 スイカ割りのように、リザードマンの真ん中の頭がパッカリと割れる。


「なんと」「もう一匹いたのか」


 残った二匹が振り向く。

 やはり、死なないのか。

 剣を引き抜き、次は胴体に突き刺す。


「ふむ」「中々どうして」


 全く効いていない。不味いな、これは。

 異形リザードマンの六本の腕。

 その手に握られたすべての剣が高速で回転する。


 人間がミキサーにかけられたらこうなるのか。

 六方向から回転する剣の斬撃を受ける。

 身体中の肉が裂け、血が飛び散る。

 致命傷ではない。

 こいつはいたぶって殺す気だ。


「うああああああっ」


 キョウヤが突っ込んでくる。

 だが、その足元に数本の剣が突き刺さり、動きを止める。


「焦るな、一人ずつだ」


 不味いな。勝つイメージが全く浮かばない。

 本当にこのデスゲームは俺が作ったのか?

 こんなバランスの悪いボスキャラを設定したのか?

 ゲームなら負けても生き残る強制イベントでないと、おかしいくらいの強敵だ。


 真ん中の真っ二つにした頭が再生されている。

 回復の能力もあるのか。

 チートすぎるな。

 今から出来ることは限られている。


 1 ここから逃げる。

 2 カムイとクリスの到着を待つ。

 3 全員でなんとか倒す。


 どれも望みが薄い。

 だが4つ目の選択がある。

 神が死ねばゲームクリア。

 つまり俺が最初に死ねば、ゲームが終わってアイ達は助かるかもしれない。


「お前は」 「なんだ」 「なぜ怯えない?」


 全身を刻まれ、立っているのも辛い。

 だが、引かない。

 どうせ勝てずに全滅するなら、せめて仲間を生かしてやりたい。


「なんだろうな、俺もよくわからないんだ」


「「「お前、自分が死なないと思ってるんじゃないか?」」」


 三つの頭が同時に同じことを言う。

 最初のミッションから違和感は感じていた。

 死の恐怖がほとんどない。

 いや、異形リザードマンの言うように、何処《どこ》かで自分は死なないと思っているのか?


「殺すぞ」「うむ、殺そう」 「不気味だ」


 手加減なしの攻撃が来る。

 そう思った瞬間。


 土煙が舞う。

 何者かが粉塵《ふんじん》とともに異形リザードマンの背後に現れた。


「なっ?」 「んっ?」 「だっ!?」

 

 土煙が収まり、隠れていた姿が見える。

 赤と黒の全身機械。

 カムイだ。

 手にビームサーベルのようなものを持っている。

 本当にダースベイダーかっ。


「まだいた?」 「なんだ?」 「人間か?」


 異形リザードマンが振り向くと同時にカムイがサーベルを真横に振った。


 ぶつり、という肉が切断される音がして、異形リザードマンが崩れ落ちた。


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